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魔力の広がる世界で僕らは剣をとる—序章〜一章編  作者: 443
一章 何が為に剣を取る
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ep.14 [陽翔]解消

 榊原隊に戻って一週間。俺はかなりの速度でレベルを上げていた。

 身体強化でモンスターを効率よく倒す。モンスターを倒せばレベルが上がる。レベルが上がれば魔力マナが増える。マナが増えれば身体強化の強度が上がる。

 最高の環境が最高の循環を作って、最高速でレベルが上がる。——そんな渦に俺はいた。


 身体強化を習得する者は数を増やすが、依然として少ない。さらに言えば例外の二人を除いて、誰もが俺の練度に及ばなかった。

 安定したパーティーと強くなった己の力。戦う日々に特別不満があるわけじゃない。それなのに胸のどこかがざらついて、どうにも拭えない。


 原因は分かっている。パーティーのいろはで教わったこと、パーティー内の実力差の隔たりだ。

 身体強化が使えないのはしょうがない。できない人はとことん出来ないと聞いているし、何より全員が努力をしている。だが、それを抜きにしても身体能力の大きすぎる隔たりは、どうしようもないロスだと感じていた。


 歩行速度と個人の安定感は言わずもがな、手洗いの頻度まで洵に合わせなくてはならない。その度に地上へと戻って、また潜る。スタミナも少ないから、俺たちからすればまだ戦えるのにその日の戦闘が切り上げられる。

 強くならないといけないのにままならない。そんな俺たちのフラストレーションは高まり、ついに俺は言い出すことを決めた。


 一日の終わり。次の日に響かない程度に体力を使い込み、風呂に入ったあと。満足感は積み上げられた苛立ちによって帳消しにされたまま。俺は洵の部屋に向かい、促されるままに部屋に入る。


 洵は満面の笑顔で俺を迎えた。

 俺の気持ちなんて知らない、何も考えてないような無邪気な顔で、ベッドの上にちょこんと座って、手を振っている。その姿が、どうしようもなく幼く見えた。


「今日もいい感じだったね! 僕もそろそろレベル5かなって思うんだ! 交換のスキル早く使ってみたいなぁ〜」


 悪意の欠片もない、純粋な表情が言葉を飲み込ませようとさせてくる。

 優しく伝えるべきだろうか、少し厳しく伝えるべきだろうか。少しでも傷付けずに伝えるには……いや、優しく言っても伝わらない。結局は厳しく言わないといけなくなる。それなら初めから厳しめで言ったほうがいい。

 ここで止まってしまえばまた失ってしまう気がして、俺は語調を強めることにした。


「ちょっとさ、真剣な話があるんだ」


 カンの悪い洵でも何かを感じたらしく、ベッドの上で姿勢が正された。


「話って……なに?」


「洵さ、パーティーから抜けてもらえないかな」


 疑問系ではなく、俺は言い切る。

 短く、それでいて鋭く息が吸われた。


「パテメンとも話はしてたんだけどさ、洵だけ俺たちについて来れてないんだよ。特別なにかがダメってわけじゃ無いんだけどさ、全体的にスペックが低いっていうか、パーティーの歩調が乱れるんだよね」


 もう失う訳にはいかないから。まだ、洵は守られる側でいるべきだと思ったから。だから俺は、真っ向から自分の要求を告げた。


「……うん、わかった」


 力の抜けた声が洵から零れる。何を言われたのか、まだ理解できていなさそうなぼんやりとした目を見て、突き放すようになってしまった言葉を後悔した。


「まぁ……また明日な!」


「うん、また明日ね」


 その声は、笑顔いつもを真似た音だった。


 俺から切りに行ったから、これ以上にかける言葉が見つからない。

 あくまでも関係の終了ではないことを告げるも、抑揚のない洵の返事を聞いて、俺は静かに部屋を出た。

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― 新着の感想 ―
正しい判断なんですよね。言葉や行動としてでて不和が出る前に判断行動出来て偉いまであるという……ピクニックじゃないもんね
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