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「ミケと蓮」

作者: ゆきまる。

【ミケと蓮】


ボクはミケ、名前の通り三毛猫だ。

3年前に今の飼い主の蓮に拾われた。

最初は別の飼い主に飼われていたが、ボクの扱いはとても酷かった。ご飯やお水すらも、まともにもらえず、飼い主の機嫌の悪い時は蹴られたり、ものを投げつけられたりもした。

そして、ある日お世話をするのが面倒になったからという理由でボクは捨てられた。

大して面倒見てもなかったのに。

そんな時にボクは今の飼い主の蓮と出会った。

「お腹…空いてよね?こんなにやせ細って……可哀想に。これ食べな?」

蓮は出会った時からとても優しかった。捨てた飼い主とは大違いだ。

カバンから手作りクッキーを取り出してボクにくれた。

この時食べた蓮の手作りクッキーの味は今でも忘れない。

蓮はそのままボクを抱き抱えてお家に連れ帰ってくれた。

そしてボクは蓮に『ミケ』と名付けられた。

毛の色が三毛だったからだ。

それから僕の人生は毎日が幸せに満ち溢れた。

蓮は前の飼い主とは正反対で、美味しいご飯も沢山くれて、水も切らさずに入れてくれた。蓮はお菓子作りが上手であの日くれたクッキーもよく作ってくれた。沢山可愛がって優しく撫でてくれて、寝る時は一緒だった。

ボクはそんな蓮に懐いた。ボクは蓮が大好きだ。

蓮は社会人の女の子でいつも日中はお仕事に出かけていた。

だから日中離れてるのはすごく寂しかった。

ボクは蓮がお仕事から帰ってくるのを毎日玄関で待っていた。

蓮がお休みの日は猫用バックに入ってお散歩やお出かけに一緒にいった。

そんな日々をずっと過ごしてもう3年が経つ。

この日もいつも通り蓮がお仕事から帰ってくるのを玄関で待っていた。

だが待てど待てど帰ってこない。

『蓮どうしたんだろう。』

普段は19時には帰ってきてたのに、気づけば時間は22時を超えていた。

何かあったんじゃないかと不安になって、寂しくもなって、目から涙が溢れてくる。

「にゃーん…。」

早く帰ってきてほしい。

いつものように優しく撫でて欲しい。

泣きながら玄関でくるまって待っていた時だった。

ガチャ。

「ミケ〜ただいまー」

その時扉が開き、疲れ果てたよ声の蓮の声が聞こえた。

蓮が帰ってきた!

「にゃんにゃん!!」

ボクは声が聞こえた瞬間飛び跳ねた。

嬉しさと安心感が一気に溢れてきた。

この日は飲み会で帰りが遅くなったそうだ。

何はともあれ無事でに帰ってきてホッとした。

次の日天気も良くて、蓮はお休みでお外にお出かけに連れていってくれた。

車で1時間ほどドライブしたところで

芝生の広がった大きな公園についた。

とっても広くて空は晴れ渡っていてとても気持ちよかった。

この日は珍しく離して蓮と一緒に走ったり遊んでもらったりした。

蓮もボクが勝手にどっか行かないのを知っていたから安心して離して遊んでくれた。

1時間ほど遊んだ後の事だった。

「ミケ、少しここで待っててね、喉乾いちゃったから向かいの自動販売機まで飲み物買いに行ってくるから。道路挟んでて車来て危ないから絶対着いてきちゃダメだよ?ここにいてね!わかった?」

「にゃー」頷きながらボクは返事をした。

道路挟んで向かいの自動販売機もここからみえるし、全然大人しく座って待てた。

蓮もチラチラこちらを確認してくれてた。

その度ボクは犬のようにしっぽを振りながら鳴いていた。

ボクはずーっと蓮の方を見てたが、一瞬ボクの前を通り過ぎた人影が見えた。

見覚えのある男の人影だった。

その時ボクは恐怖を思い出し隠れたが遅かった。

その人影に僕は見つかった。

「探したぞ。こんな所で迷子になっていたのか」

聞き覚えのある苦手な声だった。

よく覚えている。ボクを捨てた前の飼い主だ。

「ほらお家に帰るぞ」

「にゃっ!」ボクは抵抗しようとしたが怖くて手が出なかった。

そのままボクは掴まれた。

蓮が自動販売機で飲み物を買ってこっちを振り向いた時にはもうボクは連れて行かれていた。

また気が向いたみたいでボクを見つけるなり、連れさった。

それから僕の日常はまた地獄へと戻った。

ご飯やお水は貰えず、機嫌の悪い時は蹴られ、ものを投げつけられ、ボクは傷だらけになっていた。

自分の傷や苦痛よりもいまは蓮の事が気になっていた。

蓮はきっと今頃ボクを探してるかな。寂しい思いさせちゃったな。

帰りたい。蓮の元に。

その想いでいっぱいだった。

その頃、蓮は捜索願いも出して探していたらしい。

近所のおばさんの声が聞こえてそれが分かった。

でも僕は外に出して貰えない。

扉もしっかり締め切られていて出るに出れなかった。ずっと隙がなかった。

そんな辛い日々が半年たったある日、飼い主の男は玄関のを戸を少し閉め忘れ隙間ができていた。

ボクはそのチャンスを逃さなかった。

男は庭の裏にいる。音でわかる。

逃げ出すなら今しかない!

ご飯もお水も貰えず、やせ細って蹴られたりものを投げつけられて傷だらけになったからだを動かして、走って玄関を切り抜けた。

抜け出せた!!

このまま走ろう。蓮の元まで。

蓮のところに帰れると思うと痛みも忘れられた。

それからボクは丸1日半走った。

夜になってきて辺りは暗いが、見覚えのある街。風景が見えてきた。もうすぐたどり着く。蓮の元に戻れる!

そこの角を曲がれば蓮の家が見えるはず!

そう思って嬉しくなった。

走るスピードも上がって角を曲がった。

しかし、その瞬間、

「ゴォンッ!」

渋い音と共に重い何かが体に当たって飛ばされた。

それは一瞬の何が何だか分からなかった。頭から血が出て垂れてきた。足も折れていた。目も見えにくく、意識も朦朧としたが、不思議と痛みはなかった。

蓮の家……見えた…。

もうすぐたどり着く。

折れた足を引きづりながら、蓮の家に向かって、やっとの思いでたどり着いた。

帰ってくるのにすごく時間がかかった。心配してるだろうな。

帰ってきたよ。出せるだけ大きな声でボクは鳴いた。

「にゃゃぁあーっ!」(ただいまっ!)

その何声を聞こえたようで蓮も走って急いで玄関を開けて出てきた。

「ミケッ!!」

ボクは蓮の声を聞き安心した。

安心すると気も抜けたのか一気に痛みが走った。

そしてボクはフラッとした。

倒れる直前蓮が抱き抱えてくれてた。

「おかえり、ミケ」

泣きながら蓮はボクを抱き抱えてお家に入った。

蓮の腕が暖かい、蓮の匂いがする、蓮の腕の温もりが、匂いが落ち着く。

ボクは蓮と出会えて、一緒に過ごせて本当に幸せだったな。

そして、ボクは蓮の腕の中で眠った。

「ミケと蓮」を読んで頂きありがとうございます!

夢日記に続き2作目ですがこちらも、切ないお話となりました。

まだまだ拙いところは多いですが、たくさんの方に読んでもらえると嬉しいです✨

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