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同級生との同居〜二人の甘々な同棲生活〜

作者: 龍  岳

「ふぅ〜……ただいまっっっと!」

「おかえり〜〜〜♡」


 僕──(にい)() (さとる)が自宅の玄関を開けると、リビングから可愛い女の子が勢いよく走ってきて、勢いよく抱きついてきた。


「さー君、おかえりっ♡」

「うん。ただいま、里見」

「うん♡ んへへ〜♪ さー君の匂い……♪」

「そんなに嗅がなくても……朝嗅いだでしょ?」

「朝は朝なの〜。それにもう六時間以上経ってるんだよ? 久しぶりに入るんだよ〜」

「里見の感性は本当に面白いよね」

「今、馬鹿にした〜?」

「してないしてない。ただ可愛いな〜って思っただけ。僕の匂いを数時間嗅がなかっただけで寂しくなって、久しぶりって思ってくれるなんて嬉しいなぁって」

「そっか〜。ならいい♪ さー君の汗の匂い……♡」

「それはちょっと恥ずかしいかなぁ!?」


 と、玄関で十分程度イチャついた後、僕達はリビングへと向かった。


「いつもありがとうね。ごめんね、一人で準備させちゃって……」

「何言ってんの〜。お家にいる私がご飯準備するのなんて当然じゃん! さー君は学校に行って、その後バイトをしてる。外で頑張っている人の為に何かするのは当然だよ〜♪ それに、これは私がやりたくてやってる事だから気にしないで♪」


 僕にさっき抱きついてきた少女──(しん)(かい) (さと)()は、キッチンで味噌汁をお椀に掬いながら、声を弾ませて言ってくれた。

 里見はいつもこう言ってくれるんだけど、それでもやっぱり申し訳なく思ってしまう。

 休日は僕も料理をしたり、掃除や洗濯などもする。でも、平日はやっぱり外に出てしまうので家の事は任せっきりになってしまう。

 僕がいない間ずっと一人で寂しいだろうし、一人で家事を黙々と進めなければいけない。

 少しでも寂しい思いをさせないように、昼休みなどを利用して少しの時間でも里見と連絡を取るようにしている。


 もう二度と、里見に ”あんな思い” はさせたくない。


「あ〜! ま〜た難しい顔してる〜! 一人で色々考え込まないって約束したでしょ〜!」

「ほ、ほめんほめん……! いひゃいからはなひへ」

「ちゃんと相談する?」

「ふるふる!」

「ならよし」


 僕が考え事をしていたら、いつの間にか準備を終えた里見が、僕の前に座り頬を両方から引っ張ってきていた。

 里見はあんまり力が強くないからそこまで痛くないけど、それでもやっぱり頬はヒリヒリしている。


「あ、一応確認だけど、その考え事って、私が聞いたり干渉しても大丈夫?」

「うん。大丈夫。だって、里見の事だから」

「ふぇ!?」


 顔を真っ赤にして箸を落とす里見。うん、可愛い。


「もう〜何してんの〜」

「ご、ごめん……! あ、私が拾うから……あっ……」


 テーブルの下に潜り、箸を取ろうとした僕の左手と、椅子を引き、かがんで箸を取ろうとした里見の右手が軽く触れる。

 僕達は意味もなく、ただ見つめ合う。


「ね、ねぇ……相談の前に、ちゅ、チューしてもいい……?」

「いいよ」

「ありがと……んちゅ……」


 椅子から降りて、僕の目の前で女の子座りをする里見。

 そして里見はそのまま目を瞑り、僕の頬を両側から手で包み、顔を近づけてきて……。


 口づけを交わした。


 ★ ♡ ★


「うん、美味しい!」


 今、私の目の前でご飯を美味しそうに頬張る男の子、新見 悟君。

 私の大好きな人。最愛の人。命より大事な人。

 私はそんな大好きなさー君の顔を直視できなかった。


(いつまで経ってもチューした後は恥ずかしんだよ〜!)


 これまでも何度もチューはしてきてる。

 でも、いつまで経っても恥ずかしさが取れない……。

 チューした後、顔が真っ赤になって全身が火照ってさー君を直視できなくなる。

 どうしてここまで恥ずかしくなるのか分からない。ネットで色々調べるけど、似たような答えばっかりで全然当てにならない。

 私がこんな調子だから、チュー以上の事ができないでいる。


 そう。私達はまだえっちをしていない。


 多分……ううん。絶対にさー君はしたいと思ってる。だって、男の子なんだもん。ネットで見たけど、男の子は毎日発散しないと大変な事になるらしい。

 だから絶対にしたいはずなのに、私の事を想って何もしてこない。

 よく、こういう男の子の事を意気地なしとか、勇気が足りないとか馬鹿にする人がいるけど、私はそうは思わない。

 私はむしろ、本当に大事にしてくれてるんだと感じて嬉しくなっちゃう♪

 それで、もっと好きになっちゃう♪


 だってそうでしょ?

 目の前にいるんだから手を出そうと思えば簡単に手を出せるに、それをしないと言うことは、本当に大事に思っていて、傷つけたくなくて、お互いにゆっくりと進んで行きたいって思っているって事だから。


 まぁ、私はさー君がすぐに手を出してきても変わらず好きでいると思うけど。

 ううん。絶対にそう。その確信がある。


「ねぇ、さー君」

「ん?」


 口許にお弁当くっつけてる。可愛いっ♪


「今日……さ」

「うん」


 私の雰囲気を察したのか、さー君は持っていたお茶碗とお橋をテーブルに置いて、真剣な表情で私を見つめてくる。

 あ〜直視できない私には堪らない……!


「そ、その……あの……」


 どう言っていいか分からず、あたふたしていると、さー君が私の手を握ってきてくれる。


「大丈夫。ゆっくりでいい。里見のタイミングで、里見が話したいと思った時に話して」

「ありがとう……」


 本当にさー君は優しい……。


 去年、私はこの優しさに ”甘えて縋ってしまった” 。

 だから、今度はさー君に甘えてもらいたい。甘えてしまった分だけ、甘えてもらいたい!

 だから、言うんだ!


「きょ、今日、一緒にお風呂に入ろう……!」

「………………………」


 あ、ポカンってしてる。

 驚きすぎてフリーズしちゃった……。

 でも、そんな顔も可愛くて、好きっ♡


 ☆ ♡ ☆


 ど、どどどどどどどどどどうしてこうなった……!?


 今、僕はお風呂に入っている。

 シャワーの前で、バスチェアに座っている。

 それはまだいいんだ。

 問題は……。


(洗面所で里見が服を脱いでるんだよ!)


 扉がぼやけてるとは言え、色やシルエットは見えてしまっている。

 そのせいで、里見の服を脱ぐ所がばっちり見えてしまっている。

 見なければいいだけ。ただそれだけだ……!

 そうは分かっていても、外から着崩れの音が聞こえてきたら気になって、どうしても見ちゃう……!


「は、入るよ〜……」

「は、はいっ!」


 危ない……! もう少しで外を見てしまう所だった……。


 ガチャ。


 風呂場のドアが開いた。後ろから人の気配が。

 僕は目を強く瞑っている。よって何も見えない。

 だから気配や音に敏感になっている。


「さ、さー君……? なんでそんなに強く目瞑ってるの……?」

「そ、それはだって……み、見ちゃわないように……」

「一緒にお風呂に入ろうって言ったのは私だよ……? それで見ないでなんて言わないよ……? というか、むしろ見て欲しいって言うか……」

「え……」

「それに、そんなんじゃ一緒に入ってる意味がなくなっちゃうでしょ……? だから、普通にして。私の裸見て大丈夫だから。初めての混浴、一緒に楽しもう?」


 ほ、本当にいいのか……?

 ここで素直に『分かった〜! じゃあ見る〜!』なんてしていいのか……?

 よくラブコメだと、本当に見たりしたらビンタや怒号が飛んでくるんだけど……。


 ぴと。


「ひゃぁ!? さ、ささささささささささ里見!? な、何してるの!?」

「おっぱい背中にくっつけてる」

「なんで!?」

「だって、いつまで経っても目を開けてくんないから。見てくんないから」


 里見のふてくされてた声が、後ろから聞こえてくる。

 これ、やらかしたな……僕が情けないせいで、里見に嫌な思いをさせてしまった。

 恥ずかしいのに頑張ってくれた里見の気持ちを、僕は踏みにじってしまった……。


「ごめん里見」

「なんで謝るの……?」

「僕が情けないせいで、嫌な気持ちにさせてしまって」

「べ、別に寂しかっただけで、嫌な気持ちには──ひゃわっ!?」


 僕は目を開けて、後ろにいる里見と向き合う。


「ビンタするならしてくれていい。怒るなら怒ってもらっていい。僕はもう迷わない。見るよ、里見の裸を」

「う、ううううううううん……! み、見て……ん? なんでビンタ?」

「僕が見た漫画だと、見てって言われて見たら、男子が女子にビンタされてた」

「どんな漫画!?」


 僕はバスチェアから降りて、そこへ里見を移動させる。


「ごくっ……」


 いかん。つい生唾を飲み込んでしまった……。これは流石に気持ち悪すぎる……。


「ね、ねぇ……」

「ん……? な、何……?」


 流石に言われるか……。


「私の裸、ど、どう、かな……?」

「え……?」

「私、同い年の子に比べたら、おっぱいもお尻も大きいと思うんだけど…こ、興奮したり、する………?」


 こ、これは、どう答えるのが正解なんだ……!?

 素直に『めちゃくちゃいい! 興奮する!』なんて言ったらそれこそ変態っぽいし、でも素直に答えなければ答えないで、勇気を出してくれた里見に失礼だし……う〜ん……!

 なんて、僕が悩んでいると……。


「さ、さー君? また深く考えすぎてない? そんなに考え込まくていいんだよ? さー君か私の裸見て思った事、そのまま伝えてくれれば」

「…………………じゃあ言うよ?」

「う、うん……!」

「里見の裸は、めちゃくちゃえっちでとっても興奮する! 大きなおっぱいやお尻から、全く目が離せなくなってしまうほどにえっちだ!」

「あ、ありがとう……(照)」

「でも、それ以上に、綺麗だ」

「ふぇ!?」

「僕も男だからさ、これまでえっちな動画とか色んなの見てきた。画面越しだけど沢山の女性の裸を見た。比べるのは里見にも、女優さん達にも悪いかもだけど、それでも言わせて欲しい。里見の裸は、誰よりも綺麗で美しいよ」

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」


 里見は顔を真っ赤にして僕に抱きついてくる。


「さ、里見……? どうしたの……?」

「そ、そこまで言ってもらえるとは思ってなかったから、不意打ち過ぎて心が落ち着かないの……だから、少しの間こうさせて……」

「うん。分かった。でも、体冷えちゃうといけないから、シャワーでお湯はかけるよ?」

「うん……ありがとう……」


 僕はシャワーからお湯を出し、里見の背中にかけていく。

 そこまで長くはなかったけど、しばらく抱きつかれたままの状態が続いた。


 ★ ♡ ★



(うぅ〜〜〜……は、恥ずかしすぎる……!)


 裸は見てもらおうと思ったからそこまで恥ずかしさはないんだけど、あそこまで褒めてもらえるとは思ってなかったから、恥ずかしすぎる……!

 さー君に今、背中を洗ってもらってるけど、背中で良かった。

 前にいられたら、顔が赤いのバレちゃう……。


「じゃ、じゃあ次は私が洗うね」


 私が体を流した後、今度はさー君の体を洗う事にした。


「痛くない?」

「うん。大丈夫だよ」


 体を洗うやつで、さー君の背中を優しく洗っていく。

 これ、結構いいかも。

 大好きな人にご奉仕できてる感じがして、幸せ感が半端ない。


「ありがとう。じゃあ、入ろうか」

「うん」


 お互いに体を流した私達は、湯船に浸かる事にした。


「「ふぅ〜〜〜……」」


 湯船に浸かるときって、声出ちゃうよね……。


「里見? 遠慮しないで寄りかかっていいんだよ」

「う、うん……ありがとう」


 私は、さー君の足の間に入り、さー君の胸に背中を預ける。


「ねぇ……」

「ん?」

「これから、さ……ずっと一緒にお風呂入らない……?」

「僕は全然いいけど……里見はいいの?」

「うん……さー君と一緒だと、すごく落ち着く……」

「分かった。じゃあ、これからは一緒に入ろう」

「うんっ♪」


 良かった。断られなかった……。

 これからさー君と一緒にお風呂……考えただけで……。


「ふへへ〜♪」

「どうした突然!?」


 ☆  ♡ ☆


 お風呂から上がった僕達は、リビングのソファに座っていた。


「どお? 痒い所とかない?」

「ん〜気持ちいいよ〜」

「良かった〜」


 僕は今、里見にドライヤーをしている。

 僕はこの、里見にドライヤーをする時間が大好きだった。

 僕にとっての癒やしとなってるみたいだ。


「よし。いい感じかな」

「んっ。ありがとう〜」


 ドライヤーをテーブルに置くために、真正面を向いたら、膝の上に里見が横になってきた。


「ドライヤーが置けないんだけど?」

「私が置く〜」


 右手に持つドライヤーを、里見が取ってテーブルに置いてくれる。


「ふへへ〜♪」


 僕が里見の頭を優しく撫でると、里見は嬉しそうに顔を蕩けさせた。


「眠くなってきた?」

「ん〜……でも寝ない……寝たらさー君を一人にしちゃう……それに、さー君の方が疲れてるのに一人で寝れないよ……」

「そんな事気にしなくていいよ。家事をやってくれてるんだから、里見も疲れてるんだよ。だから、このまま寝れそうなら寝て」

「ん〜……でも〜……さー君ともっとお話……したい……から……んん……すぅ〜……すぅ〜……」

「んふふ。可愛いな」


 里見はそのまま眠ってしまった。

 可愛らしく寝息を立てて、気持ちよさそうに眠る里見。

 この寝顔、この時間。これだけは絶対……。


「守らないと……!」


 僕は、里見を起こさないようにそう決意を口にした。


 ★ ♡ ★


(あれ……? 私いつの間に寝て……)


 なんか心地良いと思い、体を左に動かし、上を見上げると、そこには……。


「さ、さー君……!」


 さー君の寝顔があった。

 座っているので、カクカク船を漕いでいて、とても可愛い。

 お口も少し開いていて、完全に熟睡してるのが分かる。


「あ、よだれが」


 さー君のお口からよだれが垂れそうになってる。

 私はティッシュを取り、優しく口許を拭う。


「うん。そっか……私がここで寝ちゃったから、さー君動けなかったんだ……ごめんね……でも、どうしよう……気持ちよさそうに眠ってるのを無理に起こしたくないし……う〜ん……」


 どうしようかな……このままじゃ体痛くなっちゃうだろうし……。


「あ、そうだ」


 私はゆっくり体を起こす。決してさー君を起こさないように。

 そして、ソファから立ち上がり、さー君を横にする。

 今は夏だからタオルケットでいいか。

 タオルケットを持って来て、私はさー君の隣に横になる。

 そして、お互いの体にしっかりとかかるようにタオルケットを被せる。


「おやすみ、さー君♡」


 リモコンで電気を消し、私は眠りに就いた。


───────────────────────────


 この二人はいかにして知り合ったのか。

 いかにしてこの関係になったのか。

 それを語るのは、またいずれ……。

 なろう様では初の短編を書かせていただきました!

 急に頭に降ってきたものを、勢いで書き上げたので、おかしなところだったり、変な所があるかもしれません。

 もし、あったとしてもそれも含め、楽しんでいただけますと、幸いです……!


 純愛やラブラブを書くのが初めてなので、しっかりと書けているのかかなり不安ではありますが、書いている最中、僕自身ニヤニヤしてしまっていたので、きっと大丈夫だと思っております!

 なので、皆さんもニヤニヤしながらお読みいただけると嬉しいです!


 少し生意気に聞こえてしまうかもしれませんが、この作品のご評判がよろしかったら、連載作品として二人の関係や出会いを描いて行きたいと思っております!

 お気に召していただけましたら、ブックマークやご評価、ご感想など、ぜひとも宜しくお願い致します!

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