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異世界のハマルティア  作者: そそい
根源蝕む悪夢編
17/37

魔族として

大丈夫か!

「……(まずい、リュディがいる今、闘ったら巻き込みかねない!)」


隣にいるリュディの様子をチラリと確認するバリウス

彼女は男を不審がっている、だが薄々気づいているだろう、自分が今危険な状況下に置かれていることを


「おい…何か答えろよ!」


!!────


突然魔法弾を放つ男、しかもかなりの高威力

辺りに人がいない訳じゃない、被害はかなり…


「ウォォォォォォ!!」


咄嗟に前に出て魔法弾を防ごうとするバリウス

魔法弾に触れている両手からは火花が飛び散り、次第に血も混じり始めた


「くっぅぅうううう!!」


この時バリウスは悟った、防ぐのは無理だと

ならばせめて


「リュディ!」


魔法弾が着弾したその瞬間、彼女の方へと飛び込んで行った








!!!!─────────












周囲は炎に包まれ、凄惨なものとなっている



ボタボタッ……


リュディに覆いかぶさっている体を上げると、顔から、腕から血が彼女の顔へと爛れ落ちる


「リュディ!!」


彼女に付着した自身の血を拭い、安否を確認する

幸いにも目立った外傷は無い、だが


「バリウスさん…血が……!」


「言ったろ…これくらい慣れて」


!──


立ち上がろうとした瞬間、足から血が溢れ出す

彼の方は傷が相当酷いようだ


「くっぅ……!」


「早く逃げないと…!」


バリウスの体を支えるリュディ

なんとか立てている、と言うのが相応しいくらい彼の体には力が入っていない


「この程度かよ…期待はして無かったが、これなら虫を仕留める方が歯ごたえがあるな」


手に紫色の魔力を纏いながら煽る男

やはり魔族だったようだ


「お前は逃げろ……」


「何する気ですかバリウスさん……?」


「いいから!……とにかく物陰か何か…隠れながら逃げろ……」


息も絶え絶えにそう告げると魔族の方を向く

血だらけで、震えている足を動かし、歩いて近づく


「…はぁ……はぁ…」


「……」


両者向き合う、だが構えも、臨戦態勢に入ることもしない


「褒めてる訳じゃあないけど、お前…格が違うな……俺を狙ってるあたりエリスの奴か?」


「あぁそうだよ、名前はエリニュス、根暗野郎の奴がわざわざ忠告する奴、一体どんな雑魚かと思ったら…一発で死ぬなら何も変わんねぇなぁ今までと」


呆れたような顔をしてバリウスを嘲る魔族


「こっちは連日連戦で休みたいってのに…」


「そいつは悪かったな、日を改めて来てやろうか?全力の上で殺さないと勝利の意味が無いからな」


どうやら頼めば引いてくれるようだ、闘いに妙に律儀らしい

それに対するバリウスの返答は


「別に…どうせしばらくは、闘ってばっかだ…ここで殺してやるよ」


「ハッ、へぇ、その体を動かすだけの力があるのか?」


「…………」


ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべるバリウス


「やってみろ!」


──────────!


瞬き半分の間に目の前まで距離を詰める魔族


「まずは腕!」


!──


左腕を掴もうとするエリニュスの右腕を受け流し、軽く宙に浮かせる

そしてパンチを叩き込もうとした瞬間


「フッ」


──


魔族が一瞬笑うと、気づけばバリウスの背後にいた


「!!(速い!)」


「へッ!」


ドンッ!


強烈な蹴りが背中に叩き込まれる、バリウスは前方へと飛んで行き、エリニュスはそれを追跡する


「こいつっ!」


空中で爆発を起こして自身の体勢を爆風で直し、魔法弾を発射する


!!───


「防ぐまでもないなぁ!」


エリニュスはそれを真正面から防御無しに受けるも、煙の中から現れた姿はピンピンしている

気持ち程度のかすり傷は付いているが


バリウスは地面に着地し、接近戦にに備える


「くたばれぇッ!」


「ハアァッ!」


!!───


互いの拳がぶつかる、瞬時に拳を控え次なる手を撃つ


「レッシャァ!!」


ボゴッ!


エリニュスのパンチが腹部にめり込む

しかし仕返しは素早く


「デェヤァ!」


ボケギャッ!


腹を殴られながらもバリウスのパンチが頬にヒットする

今度はしっかり効いているように見える


「グオォッ……死に損ないにしてはやるじゃねぇかッ!」


「ダァリャァッ!!」


ゴブッ!


バリウスがエリニュスの顎を蹴り上げる

衝撃で唾液を口から漏らしながら苦痛の声を上げる、だが赤子でもつねられた位では死なない、魔族の中でも上澄みである彼には大したものでは無いだろう


「こういうのはどうだ!」


そう言って手に魔力を込めるエリニュス

流石にさっきと同じものを喰らえば命を落としかねない


弾き返そうと腕を構えるも、瞬間、目の前からエリニュスが消えた


「何っ!」


「今度はどうだ!」


腹に手が当てられている


「!?」


気づけば真後ろに奴がいた、蹴りで後ろに反り足を曲げた崩された体勢、力を入れにくく瞬発性に欠けるだろう

だがどうだ、今まさに、目にも止まらぬ速さで後ろにいるでは無いか


!!!──────



「くはっ……けぇ…はぁ…ふぅ…ひぃ……」


魔法で防御はしたものの、致命傷と言って差し支えない域に達している

呼吸のリズムも乱れてきた


「(あれは速いんじゃない…何かある…そう、テレポートの類……)」


ドサッ


バリウスが地面に膝をつく、血溜まりが広がり生命の終わりに刻刻と近づいている


「終わりだ、短かったが、今までの奴らと比べたら結構楽しかったぜ、あの世で人間の滅びを眺めてな」


勝利宣言をバリウスを見下ろしながらする


「死ねないなぁ…あの世に行ったら、めんどくさいのが居るんでね……」


「精々殺した奴らに恨まれてろ!」


魔族の恨みを叫びその拳をバリウスに振り下ろす

だがその時、何か複数気配を感じた


「敵発見!魔族です!」


「一般兵は下がれ!神器を持つ者で向かう!」


どうやら国から寄越された隊のようだ、神器持ちも複数いる


「なんだおかわりか!嬉しい限りだ!」


高らかに叫ぶとバリウスを放置して隊の方へと突っ込んでいった


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