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異世界のハマルティア  作者: そそい
根源蝕む悪夢編
15/37

盲目的執念

激情その2!

「やるべきこと…?ふざけんな、お前のお使いにパシられるつもりは無い」


眉間に皺を寄せ、不機嫌を隠さないな声色で拒否するバリウス


ローエイはあくまでも嫌な笑みのままバリウスに歩み寄り、目の前まで来て話す


「フフフフ、お前に損することは何もない、お前が今やろうとしていること全てが叶う」


「…何が言いたい…!」


一層目を力強く開き怒りを増幅させる

理性の無い獣ならば今頃殴りかかっているだろう


「ユニ、ひいては円卓のエリス、奴ら全員を殺すことができる、いや、殺せるかはお前次第だが」


バリウスの右肩に手を置いて耳元で悪魔の囁きをする


「……前から思ってたが、お前何者だ?何を知っていて、何をしようとしている」


「前も言っただろ、俺は研究者だ、ただ邪魔があるならどいてもらおうと言うだけだ」


「……」


肩に置かれたローエイの手をはらいのける

怒りは比較的鎮まったように見える、少なくとも表面上は


するとさっきまで緊張の面持ちで見ていた伊野が口を開く


「とりあえずさ、話だけ聞こうよ…聞く分には何の問題もないんだしさ……」


「……チッ、わかったよ、話を聞く、まずはそれからだ」


それを聞いて口角を上げるローエイ


「そうだ、それでいい…まずはそうだ、お前の仲間に集まってもらおうか、その方が楽だろ?」


「仲間なんてコイツくらいしか居ねぇよ、あと聞くならリュディを連れ戻してから…」


「仲間ならいるだろ?ガキが一人」


ドォン!!


「「!!?」」


突如謎の音が響き驚くバリウスと伊野

しかしこの音は二人とも聞き覚えのあるものだった


「だれがチビだ、魔族!」


横から現れたのは三丁の銃を携えた小柄な少女、セファであった


「フフフフ、その銃しまえよ、落ち着いてゆっくり話でもしようぜ!」


バンッ!


パッ─────!


放たれた弾丸を腕で弾いて防ぐローエイ


「バリウス…あなた、なんで魔族といるんだっ!」


「俺だって居たくねぇよ!ただ事情が」


しかし反駁など聞き入れようとしない

今度はその短銃で倒れた魔族二人の方を撃つ


─!─!─────


ローエイも特に庇うことはせず弾丸は二人の息の根を止めるに至った


「……(まぁ、予定と違うがいいか)」


セファは体が粒子に崩れていくのを確認するとバリウス達の方へ目線を直す


「言い訳なんて聞きたくないですよ」


事実、彼女はこれまで幾度も命乞いの類を跳ね除け殺して回っている


「魔族の味方をするなら容赦しない…!」


銃口をバリウスに向ける


「…………」


じっと見つめるバリウス

すると、ローエイが口を出す


「カーパニッヒ」


「!!」


その言葉に明らかな反応を示すセファ、何やら彼女に関係があるようだ


「俺の調べだとそこがお前の生まれついた場所だと思うが、違うか?」


「なんでそんなことを答える必要が」


「お前の声、恐らく例の災害で焼けたものだな?」


「それ以上余計な口を聞くな!」


ローエイの発言に激怒するセファ

しかし深入りを辞めずにしゃべり続ける


「そして記録によると魔族の襲撃により住民は殆ど……犠牲者の名前を一個一個言ってやろうか?」


「貴様ぁ!!」


バンッ!


再び銃弾を撃ち込むとダッシュで接近するセファ

ローエイもそれを防ぐと近づき両者相対する


接近の途中で短銃をベルトに固定しトリガーを散弾銃の方に付け替え手に持つ


「シィッ!」


ローエイの右フックを瞬時に左に持ち替えた散弾銃の体で受け止め、蹴りを入れる

少し後退した所に散弾銃を構え、放つ


「くっ、ハァ!」


魔法弾で相殺するも、貯めが短かっただけに不完全であった

威力は減衰したものの一発、ローエイの頬を掠った




「ねぇ闘い始めちゃったよ!どうすればいいと思う!?」


かなり焦っている様子の伊野、バリウスの方を向いて大声で叫んでいる


「俺が止めてもセファが止まらないだろうし、どうしようも無い」


「そんな……」




「フン、セヤッ!」


「このっ、しつこい!」


ガンッ!ドッ、バンッ!


インファイトを繰り広げる二人


ローエイのパンチを避け、銃を構える動作を掴んで押さえつけ、見切りをつけてトリガーを外して短銃に付け替える


バンッ


短銃の発砲を避け、追撃の蹴りの足を掴むと空に放り投げる


「喰らえッ!」


両手から一つずつ上空に魔法弾を放つローエイ

セファは二つともその小さな体を捻って避けると、三発発砲する


「……!」


後退して弾丸を避け、ローエイ

その隙に安全に地面に着地するセファ


「まさか、お前か、お前がやったのか!」


「フフフ、生憎と意味の無い行動は嫌いだ、否定しておこう、だが……」


「……」


「そういう事をやりそうな奴なら知っている」


「!!…適当な事を!そうやって苦しくなると嘘をつくのがお前らの本文だろ!」


ローエイの急な発言に対して怒りをより強くする


「あぁ適当な発言であるのはそうだ、それならかなりの数の魔族が対象だ」


「言われなくても知ってる…お前もどうせ!」


「だがそいつがクソ野郎である事に変わりは無い、一度確かめてみるか?」


「どうせ魔族は全て殺すから関係無い!」


銃を振り翳して憎しみの返答を出す


「復讐を終えたらどうするつもりだ?今度は自然にでも復讐するつもりか?」


「…今はこれだけが私の全てなんだ、お前には分からない!」


「俺は心理学は分からないが、一つの例を全てに適用するのは人間の悪い癖だ」


軽く笑って言うと、そのまま言葉を続ける


「バリウスにはこれから軽い旅に出てもらう、今言ったクソ野郎共を倒す旅にな、お前もついて行くといい、お前の目的も叶うだろ?」


「!?、何を言って」


「それが身のためだ、お前と、お前が大事にしているであろう物のな」


動きを止めるセファ、少し考えが見える表情をしている


「本当に、私の故郷を襲った魔族に会えるのか?」


「少なくとも、そいつと同等以上のクソ野郎には」


「騙すつもりか?」


「まさか」


トッ……トッ……


数歩歩くと足元の散弾銃を拾い上げ、見つめる


「(魔族…殺してやる)」


ギュッと握りしめると、それをベルトへと戻した


「お前を殺すのは利用してからだ」


「フフフフ、騙すなよ?」


「お前が何もしない限りは」











「仲直りした、のかな?」


「そんな訳ないだろ、どうせ録でもない言いくるめ方したに違いない」


「あぁうん、そう……」


バリウス達に近づくローエイ


「お前達は明日この場所に来い」


そう言って一枚の紙をバリウスに渡す、伊野もそれを覗き込む

紙には住所が書かれていた


「俺の家兼研究室だ、そこで話し合おう」


「……わかった」


「僕も行っていいですか?」


「あぁ、闘う覚悟あるならだが」


「前よりかは結構持ち直してるんだ、やりますよ」


勇気を出して啖呵を切る伊野


「そうか、なら待っておこう、素晴らしい仲間も一人いるからな」


「……?誰のことだ」


「フフフフ、強い奴だ」


「そうかよ……あとリュディは安全に帰せよ?」


「優秀な生徒だからな、そうさせてもらおうか」


「……帰る」


そう言い残してバリウスは家へと戻る

何故か足取りはかなり重そうに見える


「(軽い旅に出る、か……リュディに、言うべきか……俺の事、何も無しは、酷いからな)」

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