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異世界のハマルティア  作者: そそい
根源蝕む悪夢編
11/37

誰かと自分

バリウス激情!

「だぁぁぁりゃあ!!」


空中を飛び回るローエイに拳を突き抜けさせる、体を後ろに反らして回避されるもすぐさま追撃に移る


「ハァ!」


後ろを振り向き頭上目掛けて踵下ろしを叩き込む


「遅い」


バシッ


足を手で捕まえられ、そのまま重力に従って地面へと落下していく


「このっ!墜ちろぉ!!」


もう片足で再度蹴りを叩き入れる、今度はしっかりとヒットした


「ぐあっ!?中々イイぜぇ、もっとパワーを昂らせろ!」


「くっ!」


落下しながらもバリウスの顔面を鷲掴みにする

その手から離れようと小競り合いを繰り広げもみくちゃになる

そして立場は逆転してバリウスがローエイの首の後ろを掴んで地面へと墜落した


!!!────────


二人が落下した衝撃で地面が凹む、次の瞬間には


ドォンン!!!


魔法による大爆発が発生し、砂塵を巻き上げた

しかしそれでも二人の殴り合いは止まらなかった


「ヤーー!!ダダダァ!!ダァ!」


地を蹴り激しく左右に移動しながら闘う

拳の応酬、互角にも見えたがローエイは僅かな隙を突きバリウスに拳を叩き込んだ


「ヴァッ…!?(まずい、来るッ)」


「ハァァ!!」


拳で虚無を撃った衝撃、それが凄まじい速度で飛来する


「くっ!うあぁっ!!」


ドタッ……バタ…


地面に叩きつけられ何回転かしてから体勢を立て直す


「!?どこだ!」


「馬鹿め、後ろだ」


気づいた時には背に手が押し付けられていた


「登山の景色は好きか?」


「!?お前が邪魔だな!」


!!!──────────


「うああああああああぁぁぁぁあ!」


背に喰らった衝撃により空高く吹っ飛ぶバリウス

手を伸ばせば本当に雲を掴めそうだ


「くっ……!(あの野郎!何が登山だ、スカイダイビングだろこれは!着地…耐えれるか!?)」


「フハハハハ!どうした!あの女の力を持つならもっとやれるだろ!」


「うるさい!なんでお前がアイツの事を!」


怒りを発露させながら手を構え細長い魔法弾を幾つも放つ


「フッ」


軽く笑い流し、地を蹴ると衝撃により高く飛び上がり魔法弾を回避する

そして下にいるバリウスを捉えて手を合わせ


「ハアアアァァ……」


ドッ…ドッ!


徐々に大きくなっていく魔法弾、そして大玉サイズになったそれを


「フフフ……コイツはとっておきだ!」


放った


「ウッオオオォォオオ!!」


手で魔法弾に触れて接近を抑え込む

重力と魔法弾によってかなり速い速度で落下している、このままでは爆発と合わせて確実に助からない


「どうした?まだ力を残しているはずだ、何故使わない」


「クックゥゥ……誰が、あんな物ぉぉぉ!!」


バゴンッ!


サマーソルトキックで後方へと魔法弾を見事受け流した、恐らく海に着弾するだろう


しかし、次にバリウスの視界に映ったのは新たな魔法弾であった


「!?があぁっ!……(デカイ奴の裏について行くようなスピードで隠していたか!)」


体勢を崩され、負傷も負ってしまった彼はそのまま湖の中へと落下して行った










ファサ……


衝撃でこまめに飛び上がって勢いを殺しながら安全に着地するローエイ


そのままバリウスの落ちた湖へと近づく


「所詮か……期待した俺が馬鹿だったか?研究者としてはあるまじき……!……ククク……やはり生きていたか」


湖の中から這い出て来るバリウス、その体は至る所から出血していた


「(軽い自爆で…なんとか勢いを軽減できた……傷は増えたけど……)」


「クククク…俺の目にはもう余裕が無いように見える、なぁ、そろそろ時間だと思うが?」


「……」













シグラ…お前が見た夢の為に、俺は自分の夢を捨てれるかな……


「貴方何持ってるのよそれ…」


「サンドイッチ!」


「それは分かってるわよ!呆れた…」


「……いる?」


「いらないわよ!」


「美味いぞ、これ」


本当に面白いやつだった


「ぐえっ?!」


「すっとろいわね、貴方本当に男?いつかカマキリの様に食われそうね」


「この……目潰し!ぐえっ!?」


「防御がてんで駄目、四肢のどの部位で対応するか考えるのが遅い」


「はい……」


本当に真面目なやつだった


「魔族を見つけたのよあっちで……殺しに行くわ」


「やめた方がいいって!魔族と会ったことなんて無いけど、普通神器を使うものだろ!?誰か別の人に」


「貴方には分からないわよ!魔族に友達を殺された時の気持ちと!家からの期待なんて名ばかりの心の抑圧なんて!」


「そりゃ……でも死んだら!」


「生きてても嫌いな人間の顔を見るばかり……死んだらラッキーよ……」


「……」


本当に……


「シグラ!……シグラどこだ!……あっ……シグ…ラ…」


「なに……しに来たのよ……ばか…」


「おい……その血……」


「もうきっと無理ね、清々……したわ、でも何でしょうね……私には初めての感情だから、分からないわ……」


「うるせぇ…言えよ……なんでもいいから…」


「死にたくない……やり残したことと、見てないものと、味わってない、ものが……まだ、だから、一つだけ貴方にお願い…… 託すのよ、貴方に……魔族をっ…必ず……倒……」


「あ…………」



「カス共が……あ?なんだ貴様」


「……一つ、借りるよ…………お前か、お前かぁ!!」













「本当に……面倒で、嫌な奴だ…」


「どうした…やはり無理だと言うか?ならば死ぬしか貴様にはない」


濡れた顔を上げる、その眼は、依然怒りを込めたままだ、しかし同時に、覚悟を宿してもいた


「やってやるよ……自分がどうなろうがなぁ……」


「!!やっと理解したか、それがお前だ」


腕と脚を引き締め、力を込めていく


…………サァ─


木々が風に揺らぐ


ピィー……カァー……


鳥の鳴き声が微かに聴こえる


ゴロ……ゴドッ……


散らばった地の破片が陥没した地面に落下する


「クッ……ウゥウッ……ガァッ……ウ……」


「!こいつは…本当に…」


「ハァァァァァァァァああああああああぁぁぁ!!」


全身から突き刺すような威圧感が放たれ地面にヒビを入れ、湖を小さく割る

体から水気も飛んで行った


「ハァァ……」


「ここまで来るとは……予想外だ、だがまだ高まる、いいぜぇコイツは……!?」




ドォン!


突如、離れたところから謎の音が発生した

そして、その答えはローエイの腕と、その先にあった


「邪魔するな貴様ァ!セファ・ロータス!」


ボタボタと血が滴り落ちる腕の横方向には、少女の姿があった


「無駄に移動して追跡を手間取らせないで欲しいですね、まぁ、死んでもらいますよ、魔族ッ!」


そう叫んで再び発砲する少女、セファ


「チッ、俺の望んだものが見れると思ったが、邪魔が入るとはな、(ここは逃げるか)また会うのを楽しみにしておこう、バリウス」


そう言って彼は宙を蹴って飛び、逃げていくのだった


「逃がすか……!」


何発か撃つも全て外れ


「ちっ…魔族め……いつか必ず、殺してやる、全部だ!」



憎しみを滾らせるセファの傍で、バリウスは一人考え事をしていた、そして


「なんでこんな所に居るんだ、セファ……だったか」


「あなたには関係ない事ですよ」


「そうか、でも今回こそ、少し話そうか」

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