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日常煽動劇場  作者: 野神 真琴
由紀夫編 「第三章 ハッピーエンド」
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テリヤキ


 動物園ではスマホの容量を圧迫するくらい写真を撮り、カラオケでは音痴だと散々馬鹿にされて、ゲームセンターではプリクラに悪戦苦闘して笑われ、ショッピングモールでは方向の音痴までもがバレた。僕は格好良い振る舞いが全く出来なかったけど、荒井は楽しんでくれていると思う。


 僕達は映画館を出て久しぶりに外の空気を味わった。時間でいえば既に夜だったが、帷が降りきる気配はまだない。大袈裟な太陽が未だに主張をしており、空は朱色と紺色が制空権を求めて激しい戦いを繰り広げている。


「映画良かったわね」


 欠伸をしながら言う荒井を見て、僕は「よく言うよ」とだけ返した。辺りは居酒屋の匂いや、サラリーマンの浮かれた声が響いており、街全体が夜を演出し始めているので、高校生が彷徨くには不向きだ。


「もしかして、良くなかったの?」

「最高だったよ。開始十分で寝たのは勿体ないくらいにな」


 荒井は微笑みながら「それなら良かった」と言った。ショッピングモールでは荒井の様子が少し変になっていたが、映画館で眠ったお陰か今ではマシになっている。暗い映画館の中で死んだかのように眠る荒井の顔は、スクリーンに映った女優よりも美しくて、僕は思わず見惚れてしまった。肘掛けから伸びる力を失った荒井の白い手を、何度も握る妄想をしてしまったせいで、映画には集中できなかったが、そこまで悪くない内容だったとは思う。


「会った時に言っていたのは、この映画館で最後だな」

「じゃあ、これからどうする?」


「そうだな」僕は考えるふりをしてから、思っている事を口にする決心をする。「お腹が空いたし、何かしら食べにでも行かないか?」


 嬉しそうに「良いわね」と言う荒井を見て、勇気を出して誘った甲斐があったと実感する。どうやら夜の独特な雰囲気が僕を勇気付けているらしい。普段なら言えないような事も、今の僕なら言えるような気がした。


「何が食べたい?」

「何でも良いけど、いっぱい食べたいかな?」

「とりあえず、歩きながら探そう」


 僕と荒井は適当な雑談をしながら歩き出した。朝から歩きっぱなしだったし、昼頃に食べたホットドック以降何も口にしていないので、靴底と同様に腹の方も減りきっている。


 僕は歩きながら目に入った店を二つ指差し、荒井に「マクドナルドかファミレスはどうだ?」と尋ねた。


「それなら、マクドナルドね」

「よし、決まりだ」


 マクドナルドの店内には学生も多く、僕や荒井が居ても場違いな感じはなかった。トレーに乗せられたセットを慎重に運び、狭い階段では緊張感を最大限まで高めて、二階の端にある窓際の席に着いた。窓からは路地を見下ろせるようになっており、行き交う人々は足早に何処かへ向かっている。


「何にしたの?」

「テリヤキだ」


 僕はコーラにストローを刺しながら、荒井に「テリヤキは日本の誇りだ」と続けた。マクドナルド愛好家の僕は、数あるメニューの中でもテリヤキセットをこよなく愛している。眩しいくらいに茶色く輝いているテリヤキソースがコーティングされた肉は、豚なのか牛なのか解らない位に味が濃くて、気持ち程度に乗ったレタスは彩りと食感の為に存在している。このテリヤキソースさえつければ、きっとミミズだろとネズミだろうと美味しく食べられるだろうし、梱包されている包み紙ですら食べてしまいたくなる。


 荒井は興味もなさそうに「あっそ」と言って、ポテトを一本つまんで食べた。その味気ないポテトにも、テリヤキソースを付ければ美味しさが倍増するのだが、そんな品の無いことは流石に出来ないだろう。


「荒井は何にしたんだ?」

「期間限定のやつとスプライト」

「美味しいのか?」

「一口食べる?」


 デジャブを感じながらも僕は首を横に振った。店内を見渡すと高校生らしきカップルも数組居るし、僕と荒井も周りから見ればそう勘違いされるかもしれないが、流石にバーガーを共有している人は居なさそうだ。カップルならばバーガーの一つや二つ共有して然るべきだ。


 いっその事、いま告白してしまうのも悪くないかもしれない。僕は荒井の事が好きだ。この感情に嘘は吐けない。期間限定のバーガーを一口食べる為に、告白するのも悪くないだろう。


「そう言えばさ」荒井はそう言って鞄から薬の瓶を取り出した。「この前、またソクラテスが家に来てさ、まぁ、もしかしたらママが呼んだのかもしれないけどさ。それで、夏休みだっていうのに……」


 荒井は薬をスプライトで流し込む。そんな物を飲まなくたって僕といれば楽しい筈だ。逆に言えばそれを飲むという事は、僕と居るのがつまらないという事になるのかもしれない。


「だって、おかしな話じゃない。わざわざ来るにし……」


 僕は荒井の話を遮るように「それさ」と言った。彼女が何を話しているのか聞いていなかったが、そんな事よりも僕には伝えたい事がある。急に言葉を発する僕に驚いたのか、荒井は薬を飲む事と話を中断した。


「飲むのやめてくれないか?」

「えっ?」

「その、君がいま右手に持っている気持ちの悪い物だよ」


 荒井は目を丸くさせて僕と薬を交互に見やる。荒井に告白をするのはまだ出来そうにないが、代わりに僕はずっと思っていた事を口にした。


のがみまこです☺︎


チョコ食べてます!!

ピーナッツの入ったやつです★


少し文章がヘンテコな箇所がありますが、また後で書き換えます( ͡° ͜ʖ ͡°)

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