表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
M星  作者: Nombre
8/10

第八話「南の大地」

 どうしよう……

 私はここから動けない。

 ガラスの雨が降るまでには帰らなくちゃいけないと言われていたのに。



 喉が渇いた。

 私は動く椅子からなんとか転げ落ちて海の水を口にする。

 ちょっとしょっぱい。



 太陽が赤くなってきた頃ようやく迎えが来てくれた。

 迎えに来てくれた人は慌てた様子で私を椅子に座らせると急いで建物に連れて帰った。

 私が建物に帰った直後、空からガラスの雨が降り始めた。


 私は白い部屋に運ばれると鼻から細い蛇を入れられた。

 痛い。

 私は水を飲んで身体を壊すほど脆くないつもりだ。



「本当のお母さんに会いたい?」

 私が眠っていると誰かが私を起こした。

「……うん」

 私がそう答えるとその人は私にボロボロのメモを渡して姿を消した。



 今日は特別な日。

 病気を治すお薬は完成しなかった。

 私はベルトきつく締めると空に飛び立った。

 震える針を頼りに南に向かう。


 私は3つ目の約束を破った。



 この乾いた大地にお母さんがいるのか不安だったけどメモを信じて印を探す。

 コンパスの針がぐるぐる回る。


 あった。

 やっぱり私は運が良い。

 私が印の上に着陸すると飛行機はピタリと動かなくなってしまった。


 誰かが飛行機を一定のリズムで叩く音がする。

 私が目の前のボタンを適当に押すと飛行機の扉は勢いよく開いた。

 やっぱり私は勘が良い。

 椅子の上で大人しく待っているとお母さんが迎えにきてくれた。

 でもこれが『本当のお母さん』ではないことはもう気づいている。


「私を本当のお母さんに会わせて」


「それはできません」


「権限を発動します」


「M計画プロトコル内に存在するThe Oneの固有ID認証を確認」

「オリジナルの元へ、案内します」


 お母さんは私を抱えて飛行機から出ると大きな建物の中に案内してくれた。

 誰かが教えてくれた魔法の言葉。お母さんを説得させるのはやっぱり簡単だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ