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悲劇の悪魔は自由奔放に活動する  作者: ねお
第二章 裏の犯罪取り締まり組織
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暴力団消滅

朝になった。

昨日の昼間の内に、学校内いじめが行われてる場所をマークしてきた。

今日はそのいじめ解消のための行動を起こす日だ。


やはりというか、ほとんどの学校で大小問わずいじめが蔓延っている。

中には不登校どころか命を投げ捨てかねない子までいた。…他の場所を後回しにするようで申し訳ないが、流石に命に関わるのであれば放置するわけにはいかない。


だが、1つ問題がある。

軽いものだといじめられる側が隠したりして発覚が遅れることもあるが、過激なもので対処されてないってことは学校側は黙秘、或いはグルだという線もあり得る。

いじめっ子の家族が厄介という場合もあり、正直いきなりここをやらせるのは…とも感じてしまう。


…何より、ここまで過激だと二人の心にも大きな傷を残す可能性がある。


「…しょうがない」


一人で終わらせるか。





学校前にテレポートなんて生温いことはしない。堂々と、校長室内にテレポートをした。


反応は1つ。学校の最高責任者とも言える校長に話してみて、向こうが動こうともしないのなら…

例えテロだと言われようが、武力行使を行わせてもらう。


「誰だ!?」

「あなたがこの学校の校長ですか?」


テレポートの瞬間は見られてないから、いつの間にか侵入されてたって感じるだけだろう。少し怪しまれる気もするが、まさかテレポートで来たとは思うまい。


目の前には50代くらいの、多少老けてはいるものの目つきが鋭く、しかしそれで荒っぽさを感じさせない。いかにも校長らしい、上に立つ者として相応しい雰囲気を出す人がいた。


「名を名乗りなさい。…学校の者ではないようですが、何の用でここまで?」

「いきなり驚かせてしまい申し訳ございません。今日はとある話をさせていただきたく参りました。私は…そうですね。アリエル、とでもお呼びください」


偽名を使おうかとも思ったが、あえて悪魔の時の名を使う。


「アリエルさん…ハーフの方ですか?」

「そこは詮索しないでいただけますと助かります。

本題ですが…あなたは、この学校でいじめに苦しむ生徒がいることをご存知ですか?」


同時に「思考透視」を発動する。

嘘はつかせない。そして、もしグルだと判断したら…制裁だ。


「……把握はしております」


ほう?


「把握しておりながら、問題の対処をしていないのですか?」

「それが…校内でいじめ行為を行ってる主犯とも言える生徒が、市内で有名な暴力団リーダーの弟らしく…お恥ずかしながら、下手に手を出せば別の生徒まで巻き込まれる可能性があったため、行動に移せませんでした」


…嘘はついてないな。

心を覗いているが、「不甲斐ない自分が情けない」と悔やんでるのが見て取れる。


完全に信用できるかは別だが、黒ではなさそうだな。


「なるほど…では、暴力団をどうにかすれば解決のために行動していただけますか?」

「…解決する手段があるのですか?」

「ええ、今からでも実行はできます。信じてくれとまでは言いません、報告があるまではお待ちください」

「それでしたら是非とも宜しくお願いします。ところで…あなたは、一体どちらからやってこられたのですか?警察の方なのかと思ったのですが」


その気になれば警察も動かせるとは思うが…説明をするのが面倒だしな。

ここは一人でやらせてもらおう。


「力を持ってるだけのただの一般人ですよ」





暴力団が住み着いてる場所に着くや否や、即座に建物の壁を吹き飛ばした。


「なんだ、何が起きた!?」

「誰だてめぇ!!」


中から数十人の暴力団グループのメンバーと思われる連中が姿を現す。突然壁が吹き飛んだことに驚きはしているが、すぐさま鈍器や刃物を構え始める。


…壁を吹き飛ばした時点でおかしいって思わないものなのかね。


「よう。これだけ答えろ、ここはお前らが居座ってる暴力団と見ていいか?一般人はいないな?」

「だったらなんだ、雑魚をこんなとこに入れるわけねぇだろ。余計な破壊をしやがって、タダで済むと思ってんのか?」


――あぁ、身体が喜んでるな。

これから行うことを歓迎してるかのように、気持ちが昂っている。


「風派裂傷」


ソニックブームを弾丸風にし、今にも殴りかかろうとしていた目の前の男の右足を消した。

指定の範囲内だけにソニックブームを放てるのは結構助かる。扱い的には…何に当てはまるんだ?風の刃物というよりは、空気の弾丸って表現が正しい気がする。だが一応風の刃も発生してるしな…


下位魔法に「空弾」という魔法も用意しておこうか。これなら上位互換魔法として成り立つ。


「あっ…がああああああああっ!?」

「はっ…?てめぇ、何をした…?」

「あぁ、すまない。穴を開けるだけのつもりが威力を込めすぎたようだ」

「こ、こいつなんなんだよ!?」


今の一瞬で格の違いが分かったらしく、向こうは明らかに戦意喪失していた。

武器を構えはするものの、明らかに襲いかかってくる姿勢ではない。中には逃げ出そうとしているのもいる。

…つまらん。


いや違う、目的は戦うことじゃない。

制圧した上で、こいつらに更生させること。それが無理なら殺すつもりでいること。


何より、暴力団リーダーをどうにかして暴力団を事実上の解散にまで追い込むこと。


「近辺に他の暴力団はいるか?」

「…ここにはいねぇ。地元だと俺等だけだ」

「そうか。…じゃあここを消せば、平和になるか?」

「「ひぃっ!!?」」

「リーダーはどこだ」

「う、上の階です…お願いします、どうか殺さないでください!」


今まで悪事を働いてたくせに、ここにきて命乞いか。


「そうだな」


考える素振りを見せたあと、もう一度「風派裂傷」を使い…今度は、特定の連中の頭に風穴を開けた。

人数にして20人くらいか?


「ひぃぃっ!?」

「今殺した奴らは例外だが、お前らは務所に入って正しい生き方を心掛けろ。そしたら、もう変に干渉したりしない」

「しませんっ!!もうこんなことはしませんからっ!!」

「分かればいい。今生きてる奴ら、後はどうすればいいか分かるな?」

「ど、どうすればとは…」

「さっさと自首しろこの屑どもが!!」

「「はいぃっ!!」」


あ、口止めし忘れてたな…まあいいか、一生忘れられないほどの恐怖を植え付けたんだ。

犯罪者の妄言だと流されるか、自分を知る者に情報をかき消されるかするだろうな。


こんな感じにどんどん片付けていくとしよう。





「戻ったぞ〜」

「おかえ…っ!?」


朝霧が出迎えてくれた…が、自分の姿を見た途端後ずさりをしていた。心なしか怯えているようにも見える。

もしかしてと思い、自分の姿を鏡で見る。


「うわ、なんだこれ。返り血だらけだな」


風派裂傷は当たった場所を破裂させるような魔法だ。当然返り血も非常に浴びやすい。

そのせいでこれだけグロテスクな格好になってしまったんだろう。


「何をしたらそんなことになるの…」


というか、朝霧が凄い怖がっている。え〜と…


「ちょっと待ってくれ。『洗浄』」


泡を出現させる。

無数の泡が自分の身体にくっついたかと思えば、泡が少しずつ変色していく。それと同時に、返り血塗れになっていた服からどんどん血が剥がれていった。


泡が顔にもくっついているが、この泡は特殊なものでできているため見えづらくはならない。感覚があるわけでも、目に染みるわけでもないしな。


あっという間に綺麗になり、変色した泡は身体から離れたかと思えばそのまま割れるようにして消えていった。

なんかお洒落だな、この魔法。


「よし」

「アリエルさん、なんだよね?」

「ああ、何かあったか?」

「…何をしたらあそこまで返り血を浴びちゃうのかなって想像したら、アリエルさんが残虐なことをして誰かを殺したのかと思っちゃって…」


おびただしい量の鮮血を浴びていたし、当然の反応だ。


「残虐っちゃ残虐だが…これでも相手は選んでいる。今回は暴力団を1つ消したからこれだけの状態になったんだろう」

「何があったら暴力団を消すことになるの!?」

「いじめをやめさせるために頑張るって話をしただろう。だから事前に調査したんだが、1つだけ切羽詰まってる所があってな。

仕方なく一人で対応したんだが、裏に暴力団が関わっていた」

「うわ~…いじめられてた子は大丈夫だったの?」


幸いと言って良いものなのか、今回いじめられていたのは男の子だった。もし女の子だった場合、自分一人では対処できなかった可能性がある。

主犯のいじめっ子に暴力を振るわれたり金を奪われたり、果てには友達にまで暴力を振るわれていて精神的に限界が来ていた。


男の子は解決したって分かると自分に抱きつきながら大泣きしていた。ありがとうございます、と何度も言いながら。


「校長にも動いてもらった。警察にも協力仰いだし、今後は安心して動けるはずだ」

「良かったぁ…何をされてた子なのかは…聞いちゃ、まずいかな?」

「聞かないほうが良い。かなり胸糞悪かったからな」


ちなみに主犯以外は逆らえずに協力していただけで、裏では男の子に寄り添ってあげていたのがほとんどだった。

主犯の人物が怖いと言うより、主犯の兄が怖かったってことも。


あのあと、自分はそのいじめっ子の兄を殺した。…殺さないといけないと判断した。

そもそも、主犯である時点で死刑になるだけの悪事を働いてるのがほとんどだ。何より、いじめっ子の行動のほとんどがその暴力団リーダーの仕業だった。

理由までは分かっていないが、私怨でもあったのだろうか。だが何にせよ、自殺に追い込もうとしたのは意図的だった。

どんな理由があるにせよ、自分のために誰かを苦しめるのはやってはいけない。そんなことをすれば、その人自身も嫌いな相手を苦しめるということに手を出してしまい、その結果快楽を覚えてしまう可能性があるから。

復讐のためだとしても、それは人生を諦めてるようなものだしな。


感情を抑え切るのは無理な話だ。それが原因で起きる犯罪だってある。

そういう時こそ、周りの誰かが手助けしてやることで少しでもましになるんじゃないだろうか。


…ま、今となっては知ったこっちゃないが。


「とりあえず…お疲れ様?」

「…おう」


わざわざ自分が殺戮をする必要がない世の中になってほしいもんだが…

国を変えようって思う人が上に立っててもそう簡単に変わらないんだ。皆で変わらないと、上手く行かないものなんだろうな…

ソニックブームのくだり思いっきり間違えてました

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