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悲劇の悪魔は自由奔放に活動する  作者: ねお
第一章 日常の崩壊
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能力確認

色々気になる事はあるが、とりあえずこの翼をどうにかできないか…?

背中にはかなり目立つ翼が生えている。こんなのを出しっぱなしにしてたら間違いなく目立つし、最悪国に捕まって研究対象にされるかもしれない。

コスプレで通るような時期でも無いし。


試しに翼を動かそうとしてみると、これが案外あっさりいけた。

肩を動かす感覚に近いため、意外と難しくない…が、急に背中に現れた新しい筋肉を動かしてるから違和感が凄い。


ただ、この翼で飛ぶのはまだ厳しそうだろう。そもそも空を飛んだ事が無いし、未知の感覚のため制御が効かない。

おかげで、部屋の中は翼を動かした時に発生した突風で滅茶苦茶な事になっている。


どうにか身体の中にしまえないかと思って背中に念じていたら、背中の違和感が消える。

触ってみても何も無い。翼を畳むわけでもなく、翼そのものが無くなっている。魔力みたいなもので翼を生成してるのか?


しまえるなら仕事に支障は出ない…いや、待てよ?

…これ、何ができるようになったかによっては仕事をする必要が無くなるんじゃ?

それだけじゃない。今までしたかったことが可能になるかもしれない…となると、このままのんびりはできない。


そうと決まったら、一旦外に出て色々検証しないと。

…散らかった部屋は後で片付ける。





街外れにある、人気のない森に来た。

この森はかなり範囲が広く、樹木の密度も高いため他の人に見られる可能性が低い。カブトムシやクワガタみたいな虫がほとんどいないから小学生とかが虫取りに来る可能性は無いし、何より今は夜中だ。

この身体になってから人の気配に敏感になったらしく、一定距離であれば分かるようになっている。

これなら遠慮なく試せるだろう。


先程翼をしまった時、もしかして魔力なるものを扱えるようになったんじゃないかと感じた。

まずはそれを試す必要がある。

とりあえず、頭に地図をイメージしながら念じてみる。


数秒後、この周辺の地図が頭の中に表示され、自身の現在位置に加え周囲の人の位置や状態が細かく表示された。

やはり魔法が使える。しかも魔法を覚える必要もなく、自分で魔法を生み出せるようだ。


地図には複数情報が載ってるが、分かりやすく説明までついている。

人のいる場所には色のついた点が出てるのだが、色や点の状態からその人が現在どんな状態かを見れるようだ。



水色:通常の状態

赤い点:自身、もしくは複数人から敵と見なされる人

青い点:睡眠状態

黄色い点:体調を崩している、もしくは病気に掛かっている

緑の点:自身が仲間と認識してる人

灰色の点:事件に巻き込まれている人


半透明:瀕死の状態だが命に別状が無い人

点滅:死にかけている、もしくは死が近い人



こんな感じになっていた。それに加えて、ちょっと念じれば地図の範囲の拡大・縮小もできるようだ。

試しに真也の家が範囲内になるまで拡大をすると、青色に覆われた緑の点とその上に「真也」と、丁寧に名前まで表示されていた。


他に緑の点が無いのは、仲間と認識してるのが真也しかいないからだろう。…悲しくなってきた。

犯罪が近くで起きてても困るので、一応灰色の点か赤い点が無いか見るけど無さそうだ。


思ったより黄色い点が多くてビックリしたが。


とりあえず、魔法なんだから一応名前は付けないと。

…思い付かん。適当に「地図展開」で良いか。


一旦地図を閉じてから「地図展開」と呟いてみる。問題なく表示。

じゃあ頭の中で呟く「無詠唱」は?唱えてみると、若干無詠唱の方が表示までに時間がかかっている気がする。


他の魔法でも試してみたいな。けど力が分からない以上、無闇に試すのも危険な気がする…まずは無害な魔法を試す必要がある。例えば…生成魔法とか。

試しに自宅の鍵を思い浮かべてみる。間もなく、鍵が手元に出現。


…これ悪用されたらまずいんじゃ?

消せるか試してみる。…が、消せない。


どうやら一度生み出したものはそのまま実在するものとして扱われるっぽい。

金属である鍵がいけたのなら純金もいけるかもと思い、それも試す。


再び手元に念じると、


「…いけちゃったよ」


手元には純金の塊。それも手のひらサイズだ。今の相場だと軽く数千万、下手すれば数億行くんじゃないだろうか。

良くない事なのは分かるが、ここまで自由に生成できるとなるとズルして自給自足をすることも可能だろう。自分の手で家を建てるのも可能かもしれない。


ただここでは試したくないな。もし家を生み出せるなら消せないから困る。

破壊魔法を作って壊せば良いのだろうけど、爆音が響きそうだから今は無し。


生成魔法にも「創造生成」と名前を付けてから、通常の詠唱と無詠唱の2つを試す。

変なので試すとあれだから土で。


予想通り、無詠唱の方が発動までに間があった。通常の生成に1.5秒掛かるのに対して無詠唱生成は3秒ほど。

地図の時は分かりづらかったけど、無詠唱にすると通常の二倍の時間を消費するのかもしれない。


…というか、検証で忘れてたけど生成魔法で出しちゃったら消せないんだってば。どうしようこのでかい純金…まあその辺に置いておこう。


次試したいのは…


「ここで試すのはまずいか…?」


魔法ではなく、純粋な力の事だ。

ハンドグリップを軽々握り潰した、ってことは並外れた力を得てることになると思うんだが、実際それがどれほどのものか分かっていない。


とりあえず近くにあった大木を軽く殴ってみる。


「…殴っても別に痛くはないな」


大木も特に傷がついてるわけではない。

軽くとは言っても、それでもかなり速度をつけて殴ったはずなので普通は痛むと思うのだが…身体も相当頑丈になってるらしい。


痛くないなら怪我する心配も無さそうだし、次はへし折るつもりで殴ってみる…が、


「待て待て、なんでそうなる!?」


へし折るつもりが、物凄い音をしながら一瞬で切断された大木は他の木々を巻き込みながら吹き飛んでしまった。

普通、衝撃が入った方向に倒れてくるよな…?葉の部分は軽いため、空気抵抗が強く生じるはずなんだが…空気抵抗の概念を忘れたかのように、遠くに飛んでいってしまった。


しかも今のでかなり大きな音が響いたため、目を覚ました人がいる可能性があるよな…

「地図展開」と小声で唱える。


「…まずい、完全にやらかした」


先ほどまで青い反応ばっかりだった点のほとんどは、水色の点になっていた。つまり今の音で起きた人が沢山いるということ。

広い森の真ん中でやったのにも関わらず、そんなに音が遠くまで…いやこれ音がでかいとかじゃなくて、普段聞かないような音が出たせいじゃ?

殴った時破裂したかのような音が出たし。


とにかく今森から出るのはまずい。森に近づいてきてる反応がいくつかあるし…そうだ、テレポートできないか?


「瞬時移動」


咄嗟に考えた魔法を、移動先に家の中を思い浮かべながら小さく呟く。

急ではあったが問題なく成功し、直後自分の意識が一瞬途切れた。

ルビ振ってませんが、読み上げ自体は英語です。創造生成ならクリエイション、地図展開ならオープンマップみたいな

やっぱり英語ってかっこいいと思うのです

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