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悲劇の悪魔は自由奔放に活動する  作者: ねお
第一章 日常の崩壊
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修行開始

買い物から戻り、風呂に入った朝霧と友香は目に見えて可愛くなっていた。

傷1つ付いてない私服に、荒れに荒れた髪が整って清潔感が出たからだろうか。


…直視せず結構距離を取っていたにも関わらず髪の状態が分かってしまう辺り、相当酷かったのかもしれない。

これからは気兼ね無くお洒落してもらいたい。


ちなみに二人には動きやすい服を何枚か買ってもらっている。3万渡してるから足りないって事は無いと思うが…一応聞くか。


「金は足りたか?」

「ギリギリだった」

「貰ったお金だから使いにくかったんだけど、友香が『アリエルさんなら大丈夫。全部使っても気にしないと思うよ』って言ってたから、遠慮無く色んな服を買ったよ」


買ってきたものは既に自宅に置いてもらってるが、戻ってきた時の二人はどっちの両手の袋の数が凄い事になっていた。

朝霧が目に見えて重たそうだったのが印象的だ。


「ところで本当に良かったの?服のためとはいえ、いきなり3万なんて」

「数億くらいなら稼げるしな。3万くらいでけちるのもあまり良くないだろ」

「ちょっと何を言ってるか分からない」


流石に一度にまとめて売ったりすれば怪しまれる可能性があるため、複数の店で宝石や純金等を小分けにして売り続けている。

おかげで現在200億を越えている。生成魔法と転移魔法様々。

…気のせいか、若干貴金属の価値が低下してる気がするが。


勿論悪用するつもりはない。贅沢…はちょっとするかもしれないが。基本的にここでの活動のために使わせてもらうつもりでいる。

これからの活動に向けて資金を用意しておかないと、大事な所で上手くいかない可能性もある。少しでも失敗の可能性は削っておきたい。


ただ、ズルをして荒稼ぎしているのも事実。

裏でこそこそしてる分、悪事への対処も自分達の仕事だと思って頑張りたいものだ。


「…アリエルさんが不正をして荒稼ぎしてるってバレたら大変なことになりそうだね」

「その件なんだが、一人信用できそうな人がいてな。秘密を明かして稼ぎを安定させようかと思ってる」


自分でもズルいってのは理解してるつもりだ。

かといって普通に働いてると、力加減を間違えた時にどうなるか分からない。


その代わり、秘密を明かしてる相手の手助けはできる限りするつもりだ。特に犯罪者の始末は「地図展開」で赤い点がある所に行けば一瞬だ。

無力化…も、まあ簡単だろう。その気になれば視認すらさせずに正面から叩き伏せることだってできるだろうし。


というか視認されたら色々厄介だ。記憶を消せるならそれに越したことはないのだが、実際に試した事が無いためリスクがでかい。


…さて。


「風谷、朝霧。ちょっとこれ持ってみてくれ」


先程まで生成してた白いブロックの数字無しを地面に置く。持ちやすいようにロープ付きだ。

修行用のものだが、これは遊び心で作ったもののためかなり小さい。2cmあるかどうかってくらいだ。


ちなみにこっそり地面を補強している。「硬度強化」という、物体そのものにも表面だけにも付与ができる便利な魔法だ。時間を無制限にしたり一時的なものにしたりもできるから、後々別の人にバレる可能性は低い。


というか…補強しないと、まずい。


「持つだけ?分かった」


そう言って風谷が紐を持ち、引っ張る…が、


「…ねぇ、ビクともしないんだけどっ…!?」


予想通りブロックは1mmも動いていなかった。


「本当?…え、これ重たっ!?」


朝霧も一緒に引っ張るが全く変わらない。


「そりゃそうだ、それ10tあるからな」

「「何やらせてるのっ!?」」


ハモった。

僅か2cmの範囲に10tもの力が入ったら、確実に地面に穴が開く。そのための補強だ。


「というか、小さいのにそんな重いなんて…」

「まあ、なんでこんなことをやらせたかについてだが」


一瞬間を置いてから言う。


「二人に付与されてる不老魔法ってのは、これほど重い物でも片手で持てるようになるだけの可能性がある。流石にそこまで鍛えろってわけではないが、少しは期待できないか?」

「10tを片手って…」

「その事を踏まえた上でついてこい。そろそろ修行の説明をする」


そこそこ長い時間突っ立ってたせいで二人とも若干疲れが見え始めてたので、いい加減中に入れよう。





中に入ると、ジムに置いてあるようなトレーニング器具や野球やサッカー等のスポーツ道具。

そして実際に戦うために作った模擬戦場に、休憩スペースと色々ある。

修行場の端には「重量」「硬度」と書かれた紙が壁に貼っており、その下には数字の書かれた白いブロックが順番に並べられている。

重量関係のブロックには持ちやすいよう取っ手を付けている。


硬度の方には鞘に仕舞われている真剣らしきものが置いてある。


「…外で見た時からでかいなぁって思ってたけど、想像以上ね」


この建物は一階建てだが、模擬戦の事を考えて天井をかなり高くしている。

当然横幅も広く、大怪獣バトル前提の場所取りだ。


まあ実際にやる場合は結界を張ると思うけど、広い方が思う存分やれるだろう。


「んじゃ、ある程度はどんな感じか分かったか?まず二人には真剣…の前に、木刀に慣れてもらう」


「想像生成」でごく普通の木刀を生成して、二人に投げる。


「ちょっ、投げないでよ!」

「わきゃっ」


…二人ともキャッチに失敗していた。


「反射神経ってのは大事だぞ?今みたいに、投げられたものを掴めるようになってもらう必要もある。

特に相手がフェイントを掛けてきた時、咄嗟に対応できるだけの実力が必要だ」


そういって適当な玉を風谷達に向かって投げる…ように見せかけて、途中で「念力移動」による方向変換をさせる。


風谷がキャッチしようとしていたが、突然明後日の方向に飛んでいった玉を見て驚いていた。


「ちょっと、今のどうやって取るの!?」

「慣れろ、実戦を考えるとむしろこっちの方ができないと話にならない」

「えー…」


「本当にできるの…?」という顔をしてるが、これから修行をしていくことで嫌でも実感することになるだろう。


「じゃあ、とりあえず素振りを…そうだな、10回やってみてくれ」


そうして振り始めた二人の様子を伺う。

…あ、どうやら真面目に様子を見る分には恐怖心はそこまで強くならないらしい。普通に直視できる。

もし見れなかったらどうしようかと思ってたが。


ただ顔にモザイクが掛かってるかのような感覚はするが。


二人とも木刀を振るのは初めてなんだろう、どちらも動きがぎこちない。

パッと見、風谷の方が形になっている。身体全体を使って振っていて、疲れやすくはなるがその分成長が見込める。

今の段階だと実戦向きの振り方ではないが…まあ良いだろう。


対して朝霧は、腕先だけで振っているように感じる。

これだと風谷とやらせた時力負けをしやすい。が、体力の温存はしやすいから長期戦であれば有利を取れるかもな。

成長速度は怪しいかもしれないが。


…そうだな。成長速度の違いも気になるし、最初はアドバイス無しで様子を見ようか。


観察をしてる内に二人とも終わったようだ。


「疲れた…10回だけでこんなに大変なんだね」

「そう?私そこまで疲れなかったけど」


とは言ってるが、二人とも同じくらい疲れているような気がする。

…もしかして。


いや、気のせいかもだしまだ触れないでおこう。

一ヶ月後、どう化けるか楽しみだ。


「さて、二人とも軽く走ってこい。100mほどでいい」

「は~い」


二人に軽く走らせる。これはさっき感じた疑問の解消も兼ねている。

その間に模擬戦場の準備をする。


「仮想空間」


仮の空間を用意する。

いくら修行のためとはいえ、身体を痛めてまですることではない。勿論、実戦を考えて痛みに慣れてもらう必要があるかもしれないが、今の二人の身体は弱い。

もう少し強くなってもらう必要がある。

…いや、できれば痛みを経験する事態にはなってほしくないが。


この魔法はそんな痛みを消し、与えたダメージや残り体力、掛かっている状態などを表示する。

とはいえ衝撃までは抑えられないため、普通に吹き飛ばされるけど。


「退人結界」


そして、人を通さない強力な結界だ。

仮想空間から出てしまえば当然怪我をする。その対策と、試合中に他の人を巻き込んでしまわないようにするためだ。


さて、これで準備完了。

模擬戦用の頑丈な木刀を生成しつつ、二人を待った。

一般的な硬度基準とは関係無いです


今は結界の名前を退人結界ってしてますが、語呂が悪いので変更するかもしれません

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