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悲劇の悪魔は自由奔放に活動する  作者: ねお
第一章 日常の崩壊
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不老

マンションって書いてる部分をコンクリートに変えました。

マンション壊してどうする…


~アリエルサイド~


男を警察署前に放り投げた後、すぐ戻ってきたら風谷が固まっていた。

何か考え事をしてるのかなと思い、「思考透視」を使ったんだが…


数分後。自分は今、心を覗いたことを猛烈に後悔している。


さっき心を見たことを伝えた途端、目に見えて焦りだす風谷。

これで確信した。


…頼むから、そう簡単に好きにならないでもらえるかな?

運命の糸とか言ってる時点で薄々そんな気がしたけどさ。


「…あの、バレちゃった?」

「残念ながら」

「あはは…だよね」


恥ずかしそうにしてるのが頭に浮かぶ。目に見えて、ではなく頭に浮かぶ、なのはいつも通り直視してないからだ。

…いやまあ、直視しようと思えばできるんだけど、何か怖いんだよな。大の男が情けない…


「じゃあアリエルさん」

「分かってるから口にはしないでくれ」

「でも」


…どのみち説明しなきゃだし、それで色々納得してもらえないかな。


「…自己紹介が途中だから言うけど。自分、女の子が苦手なんだよ」


そう言うと風谷が不安そうになる。


「女性恐怖症って知ってるか?」

「名前だけなら…」

「まあ簡単に言うと、何かしらのトラブルやトラウマをきっかけに異性が恐怖の対象になってしまうものだ」


ただ一般的には、力の差とかの関係で女性の男性恐怖症発症者の方が多く、男が女性恐怖症を患うのはそこそこ珍しい。

基本的に家庭内暴力が影響しやすいが、それ以外にも学校でのいじめや誘拐事件への巻き込まれも恐怖症に繋がる…と思っている。


だがこの恐怖症には例外がある。それは「異性に対する意識が強くなりすぎたことによる恐怖症の発症」。

一部の人は異性との会話が恥ずかしい、慣れないとかで変な距離感ができてしまうことがあると思う。このパターンの恐怖症はそれの上位互換だ。

基本的な症状は近いと呼吸ができなくなる、会話がまともにできない、近づけない、視界に入れづらい辺り。だがこの恐怖症を患ったのは自分以外で聞いたことが無いため、全員がこの症状っていうわけではないと思う。


別に意識し過ぎて興奮で鼻血を吹き出す事は無いが。そういうのは漫画の世界だけの話だと思いたい。


「…つまり、アリエルさんは私が怖いの?」

「普通の女性恐怖症ならそれが強いな。だけど自分の場合特殊らしく、『怖いけど可愛い』というわけの分からない状態になってる」


おまけにロリコンだしな。


「どういうこと?怖いけど可愛い…?」

「学校の男子生徒に、女の子と話す際緊張するって子はいなかったか?それを悪化させたら自分みたいになる」

「確かにいたね…アリエルさんが私と話す際に緊張するって変だね」

「やかましい。ただ自分はいわゆるロリコンってやつだから、もしかしたらそれが恐怖心を軽げ…いやむしろ強くなってるのか?どうなんだ?」


自分で言ってて分からなくなってきた。


「ねぇ、さらっと言ってるけどアリエルさんがロリコンって言ったの、私は聞き逃さなかったからね」

「悪かったな…」

「ううん、むしろチャンスが出来たから…」


そういえば、風谷は自分の事が好きなんだった。

好意は嬉しいんだけどな…


「そういえば1つ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「もし私に抱きしめら」

「人間爆弾をご所望か?」

「ごめんなさいっ!?」


んなことされたら死ぬわ。





「『創造生成』。…まあ今はこれで十分だろう」


とりあえず風谷と自分の部屋を先に決めておいて、先に持ってきたものを全て置いてから「創造生成」で足りないものを埋めた。

勿論風谷の部屋のものは先に全て生成した。


色々あった後だから休んでて良いぞって言ったため、本人も今は寝ている…というのが「地図展開」で分かっている。

青い丸に緑の点。登録してないはずなんだが、いつの間にか表示が変わってるのはいちいち登録する手間が省けるからありがたい。


…まさか、父さんの「仲間がいるならくれぐれも巻き込むんじゃないぞ」って忠告が生きることになるとは。

…すまん、既に思いっきり巻き込んでる。助けるためだったとはいえ。


まあでも、ここまで知られてる以上とことん巻き込んでやろうかなとか思い始めてる自分がいる。勿論向こうの同意はいるが。


「…あ、そういえば聞いてなかったな」


風谷に友達はいるのか。学校は通っていたのか。

あれだけ明るく愛嬌のある少女だ。友達の一人二人はいてもおかしくないと思うんだが…まあ後で聞いてみよう。


これだけ大きな土地を得られたんだ。色々試せることは増えている。

魔法の検証だってできるし…例えば、「創造生成」で家は建てられるのか、とか。


もし可能ならやってみたいことがある。町っぽくしたいってわけではないが、この力を使ったらもしかして人間自体を強くできるんじゃないか…と。

直接の強化は今までの傾向を考えると無理だろう。技術の高速習得ができないなら直接強化もできないと見た方がいい。


なら…成長限界を無くして、あとは本人達がひたすら修行を繰り返したら?

もしかしたら、コンクリートを素手で殴り壊せる超人が誕生するかもしれない。…が、人間というのは身体の頑丈さを非常に鍛えづらい。そこもサポートする必要があると思う。


んでもって、修行の設備を整える前にとある検証だ。


「創造生成」


林檎を生成する。林檎というのは、ちょっと時間が経つだけでもかなりの速度で酸化が始まる果物だ。

その酸化で試したいこと。


「風刃」


まず魔法の確認も兼ねて、包丁代わりに使ってみる。事故が起きても困るので、威力はかなり抑えめに。


……ちょっと林檎を動かしただけで、傷すら入らなかった。

もう一回、今度は少し魔力を込めて放つ。今度はすんなり真っ二つにできた。


…切れたには切れたけど、後ろの窓ガラスまで割らないでもらえる?

「創造生成」で即修理。ホント便利だなこれ。


気を取り直して、林檎に向けて別の魔法を放つ。


「歴史加速」


対象を林檎に向けて時間を進める。元々酸化の早い林檎は一瞬にして真っ黒になった。


自分の魔力もごっそり持ってかれる感覚がした…ってあっぶな!?

これ禁術だ。間接的にやめろって言われた気がした。


次にその時間を巻き戻す…思ったけど、この2つは今後使わないんだから詠唱の必要無いな。時間は掛かるけどイメージだけで良さそうだ。


案の定巻き戻す時も魔力を大きく持ってかれるが、結果として切った時と何も変わらない断面の林檎がそこにあった。

んじゃこれらの能力を利用して、


「時空間隔離」


空間そのものを切り離す。

先程の数倍の魔力が持ってかれる感覚がするが、これは成功の合図とも言えるだろう。

魔力枯渇の気配は…ないな。どんだけ上限高いのやら。


「これでいけたはず…」


…不老魔法の完成だ。

多分。

不老、憧れますよね。不老「不死」だと今後の人生が不安になりますけど、不老だけならなってみたいなぁと思ってます。

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