想定のし過ぎは逆に残念感を生む
「俺はお前が好きだ!!!!」
「どんなとこが好きなの?」
「え、えっと……ってか!これやめにしない??傍から見たら」
「だ、だな……まぁでも最初に比べるとだいぶしっかりしてきたぞ」
「はぁ、やっぱ緊張してくるわ」
「そうだなぁ。よし!いつも通りで行け!」
「結局そこに戻るのか!!」
「けん~お茶」
母親が部屋をノックせずに入ってきた
「ちっす!ケン母。あ、お茶持ちますよ」
「母さんノックしろってば」
「あら、陽介君ありがとね。それとやましい事してなかったらノックなんてしなくても大丈夫でしょ?」
「むぐ……」
「ほら、健。菓子でも食べて落ち着こうぜ」
「あら、もうこんな時間。ご飯の買い出し行ってくるわ」
「はぁーようやく行った」
「相変わらず若々しいよなー。なんつーか姉みたいな」
「お、お前友達でもそれは許されないぞ」
「いや!訳ねぇって俺は天川さん一択だし」
「さてさて……親も行ったしそろそろゲームするか!」
「だな、よーし!今日も俺の一人勝ちだ!!」
その日も僕はズタボロになった。
遂に決戦の時が来た。
「うぅ、緊張するよ」
「本当コロコロ内情変わるよなー」
「周りに流されやすいと言ってくれたまえ」
「あんま意味変わってねぇーよ!」
「よし、勝負曲でも聴くか」
「曲の意味知らずに聴いてるだろ……確か殆ど暗い意味だぞ」
「今回はオガセンじゃなくってモクタン」
「木炭?ぱちぱちって焼ける音でも聴くのか?」
「いや、黙々煙って人なんだけど簡略化プラス愛称呼びの『たん』でモクタン。歌ってよりリズムだけかな」
「少し聴かせてみ?」
「ん、いいよ」
「なんというか、子供が適当に組んだ音符に音を当てたような感じだな」
「でもこの独特さがこう。脳内に響くというか」
「やぁ2人とも相変わらず雑談かい?」
「おっす!月岩さん。今コイツと音楽海ってアプリで人気を馳せている人の話してたんだよ」
「そんなとこかな、どちらかと言うと僕が勧めて陽介が聴いて感想を言い合う感じだけど」
「私も知ってるわ。好きなのはオガセンとかモクタンかなー。最推はエンオレかな」
「おっ、月岩さんこいつと思考似てんじゃん!」
「そう?案外似てるのかもね」
「そ、そうだね。でもエンオレ好きなのは以外だった」
「ん?えんおれ?」
「あー、陽介知らないか。エンドロールは俺が飾るjeって人」
「機会があったら聴いてみるといいわ、きっと気に入るよ。じゃ今日の放課後だったね」
と言うと月岩さんは教室を出ていった
「意外と話せてるじゃないか」
「今はな、本番はキツイかもしれないが」
「しっかり気を持て、全く。その意気じゃ先が不安だよ」
「そんなぁ~」
その後授業には身が入らなかった。
1時間目の数学は成功率を謎の計算方式で計算していた
2時間目の国語は痛々しいストーリを作り成功図を考えていた
3時間目の社会は寝ていた。
昼飯の時も何処か遠くを見ていた
4時間目の英語はやたらLoveやlikeの単語にビクッと反応していた
5時間目の検定模擬試験は先生が病欠で代わりの先生が自習と言っていた為、ひたすらパソコンに今までに聴いた歌の歌詞を打ち込んで精神統一をしていた
6時間目の総合も寝ていた。
そしてホームルーム
「んじゃ、不審者も増えてる事だし寄り道せずに帰れよー」
長々と担任の話が続き
「きりーつ!きょーつけ!さようなら!!」
「「「「さようなら!!!」」」」
委員長の掛け声で別れの挨拶をしバラバラと散り始める。
今回の掃除は俺らの列だったのもあり掃除を始めた。
数分後先生の「よーし終わり。日直は後で日記を下に持ってくるように」と言う言葉と共に終了
「さよならー」と掃除班の奴らがどんどん下校していく
「あ、あの月岩さん残ってくれてありがと。それで僕の伝えたい事は月岩さん!貴女が───」
その言葉は遮られ
「私が好きだからでしょ?」
と返ってきた。
「え、なんでそれを」
「私から言うか迷ってたけど勇気が無くて、チラチラ見て満足してたのだけど。貴方から話があると言われた時、その、恥ずかしそうに言われたからそうなのかなって……もし見るな気持ち悪いとかだったらごめんなさい」
「そ、そんなことないよ!僕は君が好きだ!」
「そう、じゃ改めて私から言わせてもらうわ。私は貴方を──────────好きだわ」
運悪く野球部の走り込みの声が重なり掻き消された。
「え、なんて」
「まぁいいわ。掻き消されてしまった。これもまだ言わぬが良いという掲示なのやもしれない」
「ん??」
「とりあえずこれからよろしくね?月下君」
『で?上手くいったのか?』
「いったとおもうけどなんかイメージと違うなって」
『月岩さん?』
「いや、告白ってモノが」
『なんだよー恋愛小説読みすぎただけだろ?ロマンチックな展開を求めるなら結婚式中にステンドグラス割って入るくらいにしないとな』
「どこの漫画だよ!!」
『で、番号も交換したんだろ?結果オーライじゃねぇか』
「この後はどうすればいいの?」
『そうだな、俺としては相手の都合に合わせて出掛けたり。時には少し強引に誘う事で相手が自分を必要としていると思わせる手法を』
「そんなガチ裏みたいなのじゃなくて初心者的にいいやつを」
『とりあえずは互いを知る。ファミレスとかで食事して食べ方、好きな物、などを見定める所かな』
「少し探偵っぽいけど確かに一理あるな、よーし!!頑張るぞ!!」
『応援してるぞ!ダブルデート出来るまで持ってけよ?もつれも多いが友達の恋人が自分の恋人と友達になるってのは将来的にもかなり大きな点だ』
「お前、もしかして今回はガチの」
『いっつもガチだよ!』
「ほんとかぁー?」
『ほんとだわ!!全くどいつもこいつも取っかえ引っ変えしてる奴と思いやがって』
「冗談だってば、そんな感情的になるな」
『やれやれ、まぁ今回は俺にとって特別かも知れねぇがな』
「あ、夜ご飯!んじゃ切るよー」
『おけーんじゃおつかれ〜』
電話を切りリビングへ向かった。
「あらー、告白成功したって顔してるわね」
「何故それを?!」
「そりゃ母親だから?ってのは冗談で昔あんたの父さんの恋愛相談をよく受けてて成功したって報告来た時似たような顔してたからさ」
「な!そんな理由で!まぁ間違ってないけど」
「今度どんな子か見させてねー」
「まぁ、いつかな」