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猫をワンと鳴かせたい  作者: シタノ・サソリン
1/5

猫神さん

「月下健こと俺はこうしてめでたく高校に入学出来たのだ」

(はぁ……また始まった俺の脳内詮索)

こうして手前の席を拝借しこっちに軽いノリで話しかけてくるのは小学生来からの友達の今野陽介だ、見た目は俺よりはやや良く黒より茶色に近い髪色の青年である。

「まったくやめてくれよ、なんだよその小説の第1章の始まり的なのは」

「なんだよってそうだなぁ。しらねっ」

「まぁにしてもよかったよ、知ってるやつと同じクラスで」

「俺も安心したわ!しょーみこの学校にほかの友達居ないから」

「あれ?お前部活の関係でって」

「あーそんなの女関係だけだって!男はみんなライバルさっ」

(羨ましくなんてないからな!!!)

「そ、そうかお盛んなことで」

「ところでよ、このクラスの女子水準高くねぇか?」

「わかる。なんだろガチャのSSR確定チケを10連した感じのレアリティというかなんというか」

「俺の一押しは俺の前の席にいる天川さんかな」

「あー、お前昔っから茶髪の子好きだよな」

「そそ、やっぱこうそそられるものがあるというかな」

「俺はそうだな」

ふとクラス中を見渡した時手前から入ってくる1人の少女に目が合った。

(あれ、どこかで)

「ぉーいーおーい」

「ん?あっあぁ」

「何ボケっとしとるじゃっ!」

「いや、よくよく考えたらクラスの女子の名前覚えてないや」

「えぇー、もう教室来てたから10分はたったぜ」

「いや、それで覚えるお前がキモイわ」

「そうだな、お前の心情を語るなら。じゃ、じゃぁさっきの子の名前も?!ってな」

「近しいようで遠いが近いからムカつく」

「さっきの子は猫神鈴ってんだ」

「へー、猫神さんか」

「呼んだ?」

「ほへ?!」

(ね、猫神さん?!!)

気付けば僕らの近くに居た。

「おっす俺今野!よろしくな」

「そ、よろしく」

「つ、月下健です」

「ん、よろしく。呼んだのはこれだけ?」

「おうよ、今な!クラスの女子と何人仲良くなれるかってしてんだ!」

「不純ね」

(あ、あれぇ猫神さんが去ってゆく……まぁ初対面だし)

「嫌われたな」

「たな、じゃないよ!まぁいいよ。とりあえずクラスで変な奴の紋章を背負うのはおまえだけだ!」


~放課後~

「やべっ、健!俺バイトあるんだわスマン先帰ってて」

「ん?寄ったろか~」

「寄ったろかってお前、裏方だから見えねぇぜ」

「ちぇっ、まぁ頑張れよ」

「おうよ」

(さーて、帰るかな。ん?メールだ)

件名:ご飯の材料

卵買ってきてね∧_∧by母

「いや自分で買いに行けよっ!!」

ガンッ

(おっと、スマホを落としてしまった)

「月下君?何してるの?」

「あ、あ!ね、猫神さんこんにちは」

「スマホ落としたけど何かあったの?」

「いやー、親が卵買ってきてって」

「そう、私帰りにスーパーよるけど一緒に行く?」

「お供させてもらいます」

(何この展開!!神降臨!!)

「あのー猫神さん朝はごめん」

「いい、男子はあんなもの」

「はは、ソダヨネ」

「でもあなたは少し違う。懐かしい感じがする」

「懐かしい?」

「田舎のおばあちゃん家の様な」

「そっちか!」

「そう、どこか懐かしい」

「もしかして昔どっかで?」

「そう?知らない」

「ダヨネー」

「そう、知らない」

(何、この子見た目は好みだけど興味無いことの話はツンドラ気候の如しな対応……)

「さ!なんはさておきスーパーに着いたよ!」

「え?」

「ん?」

「いえ、私が普段使ってる所と同じだったので」

「あぁーそうじゃん。高校は電車とかできてる人も居るから同じ場所とは限らないの忘れてたァァァァ」

「いや、ここです」

「ほぇ?」

「ですから私もここですよ?」

「そ、そうなのか」

「露骨に嫌な顔しないでください」

(嫌な顔ってより睨んでくるのやめませんか……)

とは思っても言えないので

「いや、よく家族と行くから恥ずかしい所見られたりしてたのかなって思って」

「大丈夫多分貴方とはあったことない」

(なんだろ時折不機嫌な雰囲気が僕はなにか仕出かしたのか)

「少し安心した、さて。卵を買わなきゃと」

「ちょっとまって」

「ん?」

「これよ、これ」

「えっと」

スーパーの入口に毎度貼られているお値打ち商品のチラシに『極上サラミ!お酒の肴によし!ペットの餌によし!今なら1袋150円税込!※おひとり様ひと袋までとなっております』

「あー、詰まる話僕も買った方が?」

「うん、買うでしょ?」

「今月ピンチで」

「さっき教室で500円玉落としたでしょ?渡し忘れてたわ。ほら」

(そこまでして欲しいのかこのサラミを。まてよ、ペット飼っててそのご褒美にあげたいとか?猫神さんってんだから猫?案外犬とか?いや、オウムとかもあるかも)

「買う?」

「あーはいはい、買います」

「よろし」

「じゃ、じゃぁ僕はお家計したら外で待ってるね」

「うんうん」

(卵売り場は、よしっ卵98円!あとは……サラミ……)

「あいよ、お家計248円ね。ポイントカードは?」

「はい」

「ポイントから端数分落とせますがどうしますか?」

「じゃぁお願いします」

「ほいさ、差し引いて240円ね」

(500円玉は使うべきか……返すべきか。いや返すだろ!150円税込は女子と帰れたって分でチャラだチャラだ)

「はい」

「240円お預かりします。はい、レシートは?」

「貰います」

(レシートを貰うのは簡単だ。自分がそこにいた証明になるのと今日という吉とも凶とも言えぬ日を記録する為だ)

「お買い上げありがとうございます」

「ふぅ……買ってしまった」

しばらく待っているとマイバッグに沢山食材を入れた猫神さんが出てきた。

ネギがマイバッグから出ているのが特によか。

「はい、猫神さん500円玉とサラミ」

「お金なんていいのに。それで買ったら」

「いや、いいよ」

「そうなの、ならそのサラミを、開けて」

「え?」

「はやく」

「は、はい。これでいいですか?」

「ん、はやく」

(口開けてるってことは食べさせればいいわけ??)

「あ、あーん」

「パク」

(あ、食らいついた)

「ん~うみゃあ」

(なんだその反則技はッッ)

「あの、今思ったけど俺がマイバッグ持てば良くない?」

「あ……」

(なにその飼い主から餌を取り上げられたペットのような目は……マイバッグもサラミも逃げません!ってか食べる為だったとは)

「それもそうねなら頼むね」

「んんーおいひぃ」

(ん?メールが)

件名:はよ来い

お前遅い。by母

「猫神さんそろそろ行こっか」

「サラミ……はっダメよ私が沢山買っては他の人が」

「猫神さんは家どちら向き?方向によってはマイバッグ持っててあげれるから」

(うわぁ露骨にナンパ野郎を見るような目はやめて)

「あっち」

「同じですね」

「そうなのね……」

「い、嫌なら僕時間ずらして帰りますよ」

「いや、いい。荷物が重いから猫の手でも借りたかった」

「案外家同士近かったりして」



作中ではペット用にサラミをあげるのか?と考察しているシーンがありますがペットにはペット用のものをあげましょう。

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