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友達みたいな恋人  作者: DTR
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出会い

あの頃

大学一年春。あの頃の僕には大学デビューという言葉がお似合いだったと思う。

桜の綺麗な地域で、毎年花見客で賑わっている公園がある。そこで、大学入って初めてのイベントが行われる。

サークルでのBBQだ。ろくに友達もいなかった僕には新鮮なイベントだった。高校の時は陰キャというわけではなかったけれども

目立っていたかといわれると、満場一致で目立ってはいなかった。クラスメイトにはよく「特徴のない顔」と言われていた。

サークルの先輩が家まで迎えに来てくれるというので、到着時間の五分前には家の前で待っていた。そこから大体10分後。

先輩からLINEが届く。

 家がわからないから近くのコンビニ教えてほしいということだった。

了解しました。大きな道路の左手にある百均の手前の坂を少し上がっていったところにセブンイレブンがあります。

と返した。そのコンビニは僕の家の最寄ではなく3番目くらいに近いコンビニだ。そもそも、僕の家は入り組んでいてわかりにくい。

ついでに、最寄りのコンビニも説明が面倒くさかった。10分くらい歩いて待ち合わせ場所へ向かった。今日のBBQを企画してくれた

先輩だったので、怒りは全くこみあげてこなかった。むしろありがたいなって思っていた。

おはようございます!お願いします!と元気に挨拶。

先輩は遅刻と歩かせたことに謝ってくれた。車に乗りこむ。助手席にだれか乗っている、同じく一年の女子マネージャーだ。

野球のことについては全くの初心者らしい。というくらいしか知らない。興味もないけれども。この子も先輩の車で送ってもらっているのか。

ちょっと待て!!車の後部座席に乗った僕はビックリ。助手席の女性と先輩は手をつないでいるではないか!

車の運転危なくない?とかの前に付き合ってるの?大学入って一か月だよね?一年と四年だよね?いろいろ頭で考えた。

最終的に付き合っているんだなって自分のなかで納得した。そこから話す気力も出ない僕は前方でラブラブの二人を見ながら目的地へと向かう。

向かうといっても後部座席で座っているだけだが。絶妙に居づらく居心地の悪い車。なんとか公園に到着した。

いち早く車を降りた。


今にして思うとこの二人を見て少しうらやましかったのかもしれない。この後起きる彼女との出会いに衝撃を持たせやすくしていたのかもね。


車を降りても手を繋いでいる二人を見ないように前を歩く。目的地は後ろから先輩が教えてくれた。

歩いていると、桜が絶妙にきれいに咲き誇っていた。今年はそこそこ綺麗な年らしい。後ろで先輩がぼやく。

着いた。全員合わせて15人くらいの小さな野球部だ。全員集まって火おこしをしている。

とても楽しみにしていたイベントのはずなのに、さっきの出来事で大分霞んでいる気がした。

入学して一か月仲の良くなった友人二人と戯れた。先輩ともそこそこに話した。

そんな中、一人悪ノリをたくらむ先輩がいた。

あっちにうちの大学と隣の大学とのインカレサークルあるんだけど行かない?

ちょっと酔い始めている先輩に言われた。

大丈夫っすか?僕ら行っても?

少し心配そうに僕が言う。

大丈夫だよ!俺の友達いるし!

それなら行きましょうか!

僕は間髪入れずに言った。

それも、隣の大学は女子が圧倒的に多い大学なのだ。うちの大学は語るまでもない。その逆だ。

だから、楽しみだった。別の大学の女の子と接点を持てるのかもしれないということが。

歩いて7分くらいのところにインカレサークルはBBQをやっていた。

悪ノリ先輩は友人らしき人に軽く挨拶すると僕を連れて一年生が集まる集団に向かった。

360度見渡しても女子だらけ、ちょこちょこ同じ大学の男が目に入る。

先輩に無理やり座らされた。何もしゃべれない僕に対して、先輩は喋り倒していた。

圧巻だった。もう見ているだけで精いっぱいだった。

先輩を横目に左を向く。僕は人生で上位に入るだろう衝撃を受けた。

桜が似合いすぎる、一人だけ正座で座っていた女性に目を奪われた。

長い髪に華奢な体。整った顔。

とにかく何かわからない衝撃を感じた。


そこからはあまり覚えていない。

結局また、彼女と出会うまで一年以上の時間がかかった。

でも、また会う時まで彼女を忘れたことはなかった。


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