第5話
今日は休日なので駿はどこにも行かずに自分の部屋で漫画を読んでいた。しばらくするとチャイムがなった。
(昨日立川に貸したタッパーか、洗わなくていいと言ったのに律儀に洗ってくれたんだな。)
そう思いドアを開けた。
「あ、小林君。こんにちは。昨日のタッパーを返しに来ました。とても美味しかったです。ありがとう」
「洗ってくれたんだな。まぁ俺のお節介なんだからそんなに気にしなくてもいいよ」
そこまで言ってふと疑問に思った。
「そういやお前の今日の晩飯ってなんだ?」
「きょ、今日ですか。今日は恥ずかしながらカップ麺です。」
「はぁやっぱりか。今日もタッパーに入れて渡してやるよ。それか晩飯食って行くか?男の部屋に入るのが嫌だったらタッパー渡してやるけど」
「いいんですか⁉︎小林君がよろしければ夕食をご一緒したいです。」
余程驚いたのか大きな声で言った後落ち着いて言った。若干日本語がおかしい気もするが。
「食費は半分貰うけど」
「いえ、人件費も考えて8割は払います。」
そのあと色々言い合って立川が6割を払い、後片付けも立川がするという事で落ち着いた。
(俺がこんなに世話を焼くなんてな。なんか妹に似てるんだよな。料理が出来ないとことか、運動が出来る事とか。まぁ立川は妹みたいにポンコツではないか)
「6時半には出来ると思うからそんぐらいに来て」
「いえ、作って貰うんですからできるまで見ておきます。それとなぜ昨日から一度も私の顔を見ようとしないんですか?」
(なぜって言われても引越しする前の家の近くに住んでいる爺さんに読心術習ったなんて言えないよな。目で思っていることがほとんど分かるなんて言ったら引かれるだろうしな)
そう思いながら立川と目を合わせた。
(まじかよ。めちゃくちゃ惚れられてるやん俺)
目が合った瞬間目を急いで目を逸らしたり、頬が赤くなっていたりするので思いっきり分かるまた立川の顔を見て「好き」というのが読み取れる。
(まじかよ、俺なんかしたか?まぁいつもどうりしていたらいいか。もしかしたら念願の彼女が出来るかもしれないし。わざわざ嫌われるようなことをする必要もないな)
立川に好かれているという事実を知り若干浮かれている駿だった。