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鬼畜変態呼ばわりされた最強の魔術師3
我の天敵たる幼子が、喃語を話し始めた。
身体の持ち主やその夫はママ、パパとどちらが先に呼ばれるかで児戯のような争いをしている。
だが、我の記憶がどうにかなったので無ければ、幼子が話しているのは喃語ではなく、ノザラノムの言葉だった。
よもや地球で故郷の言葉が聞けるとは夢にも思わず、我に正しき身体があれば望郷の涙を流していたであろう。
あぁ、天敵よ。我が視えるのか。
お前やお前の母の命を摘みかけた我が憎いのか。
誰にも何にも干渉できない日々が辛かった。毛人のあの娘を喪った悲しみを思い起こさせる日々から抜け出したかった。
我は懸命に幼子に話かけた。その度に幼子は我が憑くあたりを無言で視ている。
だが、話せるようになっても、幼子はついぞ返答をすることが無かった。
そもそも髪は顔の延長線上にある。
我を視ていたと思ったのは気のせいで、母の顔を見ていただけと思い至り、意思の疎通が出来るかと俄かに沸き立った感情が急速に冷えていった。




