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現在地、異世界

 目を覚ますと、蛍光ペンで着色したような黄緑の糸が視界を覆っていた。

 窓から差し込む陽の光が半透明の糸を透かしていて綺麗だなと、ぼんやり考えながら体を起こす。

 どうやら机につっぷして寝ていたらしい。

 薄暗い部屋はとても静かで、窓から差し込む光が埃を反射してキラキラと輝いている。


「っていうか、ここどこ?」


 おかしい。室内に全く見覚えが無い。

 昭和の学校チックな無骨な木机。壁に埋め込まれている高速回転する時計らしき物。

 小さな明り取り窓の下半分は、土的な物が見えている。てか、窓を半分だけ地面の中に作る意味がわからない。


 室内を見渡すと黄緑色の髪をした美女がこっちを見ていた。


「うわっ、びっくりした。あ、あの、怪しい者ではないくてですね、何が何だか」


 気配がなかったので本気で驚いてしまい、変な日本語を話しながら近寄ると、美女も驚きの表情を浮かべていた。


「・・・・・・・・・え? 私?」


 これ以上近づけない程近づいて、自分のほっぺたを引っ張ったところで美女が鏡的な物に映った自分だと判明した。

 いや待って、そして待とう自分。

 今までの人生で自分が美女だった試しがあっただろうか、いや無い。

 そして、寝起きの蛍光緑の半透明糸は髪の毛だったんかいという事実。

 頭をブンブン振ってもズレない。引っ張ったら抜けて痛かった。

 何という、まがう事なき地毛。


 だめだ。事実と現実に頭が追いつかない。

 そもそもほたる色に微発光する髪は見たことがないしそんな脱色方法も知らない。

 きっと夢だな。早く起きようと思った瞬間、左側頭部上方に痛みが走った。

 あまりの痛みに目をぎゅっと閉じると見知らぬ記憶が喚び起こされた。


 ―追憶の中で、大勢の禿頭に囲まれる自分。

 ―老いも若きもツルッパゲなのは体内の魔力を体外に放出しない為。

 ―スタジアム規模の荘厳な建物の中央で講義する自分。もちろんハゲだ。


「ふわっ!!!??」


 ここは違う世界だった。


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