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異世界が召喚されました。 ~モンスターとダンジョンの出現で地球滅亡の危機ですが、気にせず観光を楽しもうと思う~  作者: 結城 からく


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第24話 暗殺者は決着させる

 直後、ローブの女は我に返った。

 接近する俺を見て、魔術を使用する。


「おっ」


 床から蔦が生えてくると、俺の足に絡み付こうとしてきた。

 なかなかのスピードだが少し遅い。

 俺は捕まる寸前で跳躍して、迫る蔦をものともせずに前進する。


「……ッ」


 女があからさまに舌打ちした。

 彼女の足元から、床を割って氷が発射される。

 しかし、数が少ない。

 咄嗟の迎撃ということもあり、数も狙いも半端だった。

 悪あがきに近い行為である。


 俺は片腕で顔を庇い、飛んでくる氷を防御した。

 腕の肉が抉れて、骨の折れる感触が伝わってくる。

 無論、気にすることではない。

 俺は片腕を犠牲にしながら近付き、無事な手でナイフを握った。

 既に白兵戦の間合いだ。

 対するローブの女は、その手に炎で形成された剣を生み出していた。


(多彩な奴だ)


 彼女は剣を横薙ぎに振るってきた。

 俺は氷を食らった腕でガードする。

 燃える手を強引に突き込むと、女の手を掴んでひねり上げた。


「い……っ!?」


 ローブの女が痛がりながら前のめりになる。

 俺はその剥き出しの首筋にナイフを添えて、優しく宣言をした。


「チェックメイトだ。無駄な抵抗はするなよ? せっかくの美人が台無しになっちまう」


「…………」


 女は唇を噛む。

 とても悔しそうだった。

 その姿を見るに演技ではない。

 さすがの魔術使いでも、この状況から逃れる術はないようだ。


 何かしようとすれば、それが発動する前に彼女の首は切り裂かれる。

 それを悟っているからこそ、どうしようもない。

 ローブの女は自嘲気味に笑いを洩らす。


「隙を狙うなんて卑怯者……と罵りたいところだけど、あなたには褒め言葉かしら?」


「ははは、よく分かったな。殺しにはルールとモラルを持ち込まない主義なんだ」


 これはスポーツの試合ではない。

 秩序の崩壊した場での殺し合いだ。

 したがって、あらゆる手段を実行していい。

 何も躊躇うことはない。


 それは向こうも理解していた。

 推測だが、ローブの女は俺と同じような戦法を愛用してきたのだろう。

 賞金稼ぎをやっていたというのが本当なら、さぞ派手に暴れていたに違いない。

 卑怯な手だって腐るほど使ってきたはずだ。

 故に彼女は諦め切っている。

 ここから生きて出られないと思っているようだった。


 俺は苦笑いして、彼女に説明をする。


「それと誤解しているようだが、俺達は暴徒じゃない。こいつらを殺しに来たヒーローなんだ」


「……どういうこと?」


 ローブの女は、理解できないとでも言いたげな表情をした。

 俺のようなタイプは、相手を絶対に殺すと知っているのだろう。

 だから大きく困惑している。


(まったく、そこまで粗暴じゃないんだがね)


 俺は殺人に躊躇はない。

 好き放題に暴れるのは楽しい。

 だが、決して快楽殺人者ではない。

 損得を踏まえて衝動を抑える時だってあるのだ。


 ローブの女には、利用価値がある。

 だから今は殺さない。


「ケイト、このお嬢さんに俺達の目的を教えてやってくれ」


「は、はいっ!」


 やり取りを見守っていたケイトは慌てて拳銃を仕舞うと、ローブの女に説明を始めた。

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