表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界が召喚されました。 ~モンスターとダンジョンの出現で地球滅亡の危機ですが、気にせず観光を楽しもうと思う~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/50

第22話 暗殺者は第二の拠点に到着する

 俺達を乗せた警察車両は、二つ目の拠点へと移動する。

 途中、馬に乗ったゴブリンの集団と遭遇したが、特に問題なく殲滅した。

 奴らは槍や弓で武装していたが、こちらは現代兵器で武装している。

 その時点で向こうに勝ち目はない。

 接近される前に鉛玉で歓迎し、飛来する矢も撃ち抜けばいい。

 少々の弾を消費しただけで簡単な作業だった。

 運転するケイトがレベルアップしていたので、ちょうどいい経験値稼ぎになったと言えよう。


 夕闇が迫る頃、俺達は二つ目の拠点に到着する。

 そこはゲームセンターだった。

 蛍光色のライトが点滅し、中から騒々しい音楽が絶えず漏れている。


 そばに車両を停めた俺達は、銃を持って入口へと向かう。

 店内へ入る段階で、俺は異変に気付いた。


「ん?」


 濃密な血の臭いがする。

 それも一人や二人といった話ではない。

 大量の死体がなければ、こうはならないだろう。

 暴徒達を殺しに来たつもりが、既に何かが起きているらしい。


 とにかく、慎重に進んだ方がいいのは確かだ。

 俺達は慎重に店内へと踏み込む。


 薄暗い室内は、あちこちからゲーム音が鳴り響いていた。

 様々な種類の筐体が並んでいる。

 そこに紛れるようにして、いくつもの死体が転がっていた。


 黒焦げだったり、全身に氷が刺さっていたり、床から生えた蔦に絞め殺されていたりと、非常にバリエーションが豊かである。

 銃火器による死に方ではない。

 これは魔術の仕業だった。

 つまりどこかの魔術使いが、この拠点の暴徒を殲滅したのである。


(一体何のために殺したんだ?)


 死体を調べていた俺は、いくつかの可能性を考える。


 妥当なパターンと言えば、仲間内での裏切りや外部組織との抗争だろう。

 元々、仲間意識も無いような連中の集まりだ。

 いざという時は、あっけなく瓦解する。


 しかし、銃殺された死体が一つもないのは不自然だ。

 何人で実行したのかは不明だが、武器を限定する意味が分からない。

 魔術が使えるとしても、普通は銃を使うだろう。


 何にしろ、先を超されてしまったのは確かだ。

 これについては別に構わない。

 俺達の手間が少し減っただけである。

 怒るどころか、むしろ感謝すべきだろう。

 少なくとも暴徒よりは仲良くなれそうだった。


 その時、俺はゲームセンターの奥に気配を察知する。

 気配は一つで、耳を澄ますと微かに声が聞こえた。

 この惨事を生み出した張本人だろうか。

 なんとなく、暴徒の生き残りではない気がした。


「…………」


 俺はジェスチャーをケイトに送る。

 彼女は黙って頷くと、端の寄って待機の姿勢に入った。

 意図は伝わったようだ。


 俺は足音を立てないように気を付けながら歩みを進める。

 手にはサブマシンガンを持っていた。

 弾は既に装填しており、安全装置も外している。


 相手の動き次第で、全弾をぶち込む所存だった。

 仲良くなれそうとは思ったものの、相手がどんな奴かは不明だ。

 既に狂っている可能性も十分に考えられる。

 俺達を暴徒だと勘違いして襲ってくるパターンだってあった。

 その際は容赦なく撃ち殺すつもりだ。


 ここは弱肉強食の世界である。

 たとえ勘違いだろうが、結果的に死んだ方が悪い。

 どのような危険思想の持ち主でも、生きていれば正義となる。

 俺の業界では珍しくもない風潮であった。


 そういった物騒な心持ちで店内を進んでいく。


「あれ? うーん、おかしいな……こっちじゃない?」


 電子音に紛れて、悩むような女の声がした。

 距離はそれほど遠くない。

 俺は筐体の陰から相手の姿を覗き込む。

 ゲーム機の前で頭を抱えるのは、ローブを纏う若い女だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ