ボードファイト
初のバトルシーンです。
バトル難しいですね。チュートリアル的な感じでやるつもりだったのが、危うく負けてしまうところでした…
「そこをなんとかなりませんか…?」
「うーん…そうは言われてもなあ」
イルファナとセリアは、ダンジョンもどきの受付に来ていた。
二人ともソロで予約していたので、急遽タッグに変えようと思ったのだが、どうやらソロとタッグだと使用するダンジョンもどきが違い、別の予約が必要になってくるらしい。
「そうですね……じゃあ一応ソロ2枠とタッグ1枠で予約の交換を募集しておきますけど、それ以外にもタッグの予約入れときますか?
今からだと18時とかになりますけど…」
「うーん、18時かあ…セリアさん、どうですか?」
イルファナは18時となると帰りが少し遅くなりそうだなあ…と思い、セリアに確認すると、さっきまでのセリアのものとは思えないトーンで返事が来た。
「えっとね…セリアは、大丈夫だよ!」
「えっ?……あっ、うん」
イルファナは一瞬誰?と思ったが、今はそんな事を考えている場合ではなかったので、受付の人との会話に戻った。
「えっと…18時に予約お願いします!
それと、ソロの方はやっぱりそのままで大丈夫……だよね?」
「うん!セリアもそれでいいよ!」
「え、えっと…それでお願いします」
「かしこまりました。それじゃあ予約ということで…お支払いはどうしますか?」
「今回はセリアが払ってあげるね!」
「あ、ありがとう……」
イルファナは、セリアさん本当にどうしちゃったんだろう…と戸惑いながらも、ひとまずは予約を完了させた。
「じゃあセリアは先にソロやってくるね!」
「あのフードコートで待ってますね」
「うん!」
その直後、丁度セリアがソロの予約を入れていた時間らしく、セリアは一人でダンジョンもどきへと入っていった。
イルファナは、結局セリアの豹変ぶりの事は訳が分からないまま、フードコートへと戻ったのだった。
☆☆☆
(またやってしまった…)
セリアは、案内役の人にセリアが攻略するダンジョンもどきのコーナーへと案内されながら、いつもの後悔をしていた。
(どうして私はああなってしまうんだ…イルファナだけの前だと、いつも通りで居られたのだがな…)
そんな事を思いながら付いていくと、しばらく歩いたのちに目的の場所へと到着した。
『ウルカーナダンジョンもどきへようこそ。
タブフォンをお持ちの方はバーコードの提示を。お持ちでない方はフリープレイを選択してください』
ダンジョンもどきの入り口に設置された何かの機械がそうアナウンスした。
「それではこちらとなりますので、お楽しみくださいませ」
「うん!ありがとう!」
案内役の人が去っていくのを見ながら、イルファナはまた反射的に反応してしまった…と嘆いた。
「とにかく、入ろうかしら…」
先程までの事を振り切るようにそう言いながら、タブフォンを先程の機械にかざした。
《塔》にあるダンジョンもどきは基本的にどこもそうで、タブフォンで個人を判別し、成績の記録が行われる。
これは管理委員会を通しているもので、必要としないものもあるが、ほとんどのダンジョンもどきがこの制度を導入していた。
陣地を獲得しているチームからすると登録するだけで管理委員会から融通を受けられ、やる方も好成績を残すと、管理委員会から特別賞が出たりする仕組みだ。
管理委員会は個人のデータを収集するためにこれを導入しているらしく、公式戦ではコロシアム的な賭け事も行われるので、そのレートの判断に使われたりもしているらしい。
実はセリアはかなりのダンジョンもどきを攻略してきていたので、管理委員会からはかなり多くの賞を受け取っていた。
『セリア・フリスマン様ですね。
それでは、ウルカーナダンジョンもどき ソロプレイ をお楽しみください』
機械がそうアナウンスすると、セリアは慣れた足つきでダンジョンもどきへと入っていった。
☆☆☆
『難易度 ハードモード が選択されました。
ハードモード を開始します』
機械音のアナウンスとともに、フィールドが展開され始めた。
ルールは1vs3の5×5マスの掃討戦。敵を全員倒せば勝ちというルールだ。
敵はここでは全員自動操作の人形モンスター…というよりは、マネキンのようなもので、1vs3ということもあり、弱めに設定されていた。
更にウルカーナダンジョンもどきのソロモードは階層式で、敵を倒して徐々に階を上がっていく。というものなので、1階の敵はそこまで強くないだろうとセリアは思っていた。
階層式と言っても今回のは10階までしか無かったので、規定時間内には終わるだろう。
ちなみに階層が多いダンジョンもどきだと、規定時間が来るとそこの階層でセーブされ、次回そこからプレイ出来るという仕組みになっている。
『各チームの配置を確認します。
1-1.1-3.1-5にエネミー。5-3にセリア様。
それでは、戦闘を開始します』
アナウンスと共に、戦闘が始まった。
「さて、今回のはどこまでいけるかしら」
『ターン2 セリア様の行動です。ムーブ可能です』
「序盤だし、ぱぱっと済ませましょうか。
スキル:幽霊生成5-2!ムーブ5-5!」
『セリア様、スキル:幽霊生成を使用。4-3に幽霊Aが出現。
更に5-5へムーブ。
セリア様の行動を終了します』
『ターン4 セリア様の行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り3』
「スキル:マジックカノン!1-5~4-5!」
『セリア様、スキル:マジックカノンを使用。
エネミーCに124ダメージ。
セリア様の行動を終了します』
「思ったより入らないわね」
エネミーに与えたダメージは、セリアが思ったものよりも低かった。
1vs3の敵ということもあり、ステータスは低めかと思ったが、Mガードはそこそこ高いらしい。
セリアのMパワーが装備込みで51、マジックカノンが80%攻撃、乱数が0.8~1.0倍ということから考えると、相手のMガードは43~49となる。
セリアのMガードが46なことを考えると、やはりこれはかなり高い。
その分HPが低いか、パワーが低いか……たまたまガードよりMガードにかなり寄っているかだろう。
『ターン4 幽霊Aの行動です。
4-2へムーブ。
幽霊Aの行動を終了します』
『ターン5 エネミーの行動です。ムーブ可能です。
エネミーA.B.Cそれぞれ3-1.3-3.3-5へとムーブ。
エネミーAの通常攻撃。幽霊A撃破。
エネミーCの通常攻撃。セリア様に327ダメージ。
エネミーの行動を終了します』
「327…やばいわね、思ったよりパワーが高いわ…
私のHPが2741だから、8発くらいで殺られるわね。
しかもムーブが2でレンジも2以上で、それが3体…厄介ね。
マスが狭いし、下手したら圧殺されるわね…序盤から相性が悪い…」
通常攻撃で327ダメージを受けたということは、相手のパワーは38~45となる。
これは、先程のMガードの事を考えてもかなり高いので、恐らくHPが低めのはずだ。レンジやムーブもあるので、これでHPも高かったら無理ゲーというやつだ。
そして、セリアはスキル:幽霊生成で作り出した幽霊を軸に戦うスタイルなので、基本的にレンジの長い相手とは、幽霊が遠距離から撃破されてしまうのと、セリア自身のレンジが1なのもあり相性が悪かった。
今回は無難に幽霊生成、幽霊起爆、憑依、スローダウン、マジックカノンをセットしてきているので、前半三つがあまり機能しなくなり、なかなかに厳しい状況だった。
ムーブが同じ、レンジが向こうの方が上なので、通常攻撃はなかなか入れられない。
装備でMパワーを伸ばしているので、マジックカノンをメインウェポンにうまく立ち回り、じわじわ削るしかないだろう。
1vs3の敵にしてはパワーもMガードも高い分、HPは低いはずだ。
セリアは、まずは一体撃破すれば幽霊も活かせられるだろうと、エネミーCをターゲットに決めた。
『ターン6 セリア様の行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り1
スキル:マジックカノン クールタイム残り3』
「まずいわね…幽霊が使えないとなるとやる事がなくなるのも課題よね…早くレベルを上げて、スキルをもっと獲得しないとダメね。
ここはパス」
『セリア様の行動を終了します』
セリアは、このターンにスキル:スローダウンを使用することも出来たが、敢えてしなかった。
それはこの後の展開を見据えたもので、スキル:スローダウンを使ってしまうと、エネミーの次の行動がターン12となり、ターン10ではムーブが出来ないが、ターン12だと出来てしまう。
これを避けるためだった。
『ターン8 セリア様の行動です。
スキル:マジックカノン クールタイム残り1』
「うーん…ここは思い切っていこうかしら。
スキル:幽霊生成5-4!」
このターンに幽霊生成を使うと、次のターン10の行動順でかなり左右されてしまう。
幽霊から行動した場合、そのまま爆撃。
セリアから行動した場合、憑依してその後相手のレンジ外に出て、憑依状態で爆撃を行って、その後本体でまた爆撃を行うといった感じの作戦だ。
それでもここを打ち所だと思ったセリアは、幽霊生成を使うことにした。
『セリア様、スキル:幽霊生成を使用。4-4に幽霊Aが出現。
セリア様の行動を終了します』
『ターン10 セリア様の行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り3』
「うーん…私からね」
正直幽霊からの方が助かったのに…と思いながらも、ランダムの行動順に文句を言っても仕方が無いので、憑依を使った。
『セリア様、スキル:憑依を使用。幽霊Aが憑依状態に、セリア様が抜け殻状態になりました。
セリア様の行動を終了します』
『ターン10 幽霊Aの行動です』
憑依の強い点の一つに、スキルのクールタイムがリセットされるというものがある。
幽霊は幽霊、セリアはセリアでスキルのクールタイムがあるので、憑依を挟んで強力なスキルを2連打することも可能なのだ。
今回は幽霊起爆を連打したいので、無駄なスキルの使用は避けた。
「5-4へムーブ!」
『幽霊A、5-4へムーブ。
幽霊Aの行動を終了します』
『ターン10 エネミーの行動です。
エネミーC、セリア様へ通常攻撃。357のダメージ。
エネミーの行動を終了します』
「やっぱりスキルは持ってないわね。これだけステータスが高ければ、そうよね。
それに、レンジも2みたいね。
パワーは…前のと合わせて41~45ね」
エネミーの行動から、ステータスやスキルを判断していく。
対戦相手の情報がわからない時は、こうしてプレイするのが基本なのだ。
『ターン12 幽霊Aの行動です』
「また私からね…まあ、ここは対して変わらないわね。
スキル:幽霊生成4-4。5-3へムーブ」
『幽霊A、スキル:幽霊生成を使用。4-4に幽霊Bが出現。
更に5-3へムーブ。
幽霊Aの行動を終了します』
『ターン12 セリア様の行動です。ムーブ可能です。
スキル:憑依 クールタイム残り48
4-5へムーブ。
セリア様の行動を終了します』
『ターン14 幽霊Bの行動です。
3-4へムーブ。
幽霊Bの行動を終了します』
「おっと…危ないわね」
このターンの行動で幽霊Bを起爆をする前に幽霊Bが4-5へムーブしていたら、セリアの行動を封じ、幽霊Bが消滅していたので、危ないところだった。
『ターン14 セリア様の行動です。
スキル:憑依 クールタイム残り46
セリア様の行動を終了します』
「うーん…今回は運が悪いわ…」
本体より前に行動できていれば、幽霊Bの起爆に巻き込まれる事で幽霊Aが撃破されセリアに戻ってから行動できたのだが、幽霊Bが先に行動してしまったこともあり、かなり運が悪かった。
『ターン14 幽霊Aの行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り3』
「じゃあさっそく…幽霊起爆!幽霊B!」
『幽霊A、スキル:幽霊起爆を使用。
セリア様、幽霊A、エネミーB、エネミーCに300の固定ダメージ。
幽霊B消滅。幽霊A撃破』
「うーん…まだ倒れないわね…」
セリアはエネミーCはこれで削りきれると思っていたのだが、そうはいかなかった。
さすがに次の爆撃で削りきれるだろうが、少し厳しい状況になった。
『ターン15 エネミーの行動です。ムーブ可能です。
エネミーA.Bそれぞれ4-2.3-4へムーブ。
エネミーB、セリア様へ通常攻撃。380のダメージ。
エネミーC、セリア様へ通常攻撃。365のダメージ。
エネミーの行動を終了します』
「うわっ、痛い…かなり高乱数引かれてるんじゃないの、これ。
もうHPもあと半分…でも、次の爆撃で2体倒せれば、なんとか持ちこたえられるはず!」
先程のと合わせて相手のパワーが43~45に絞られたが…今回のダメージはかなり痛かった。
『ターン16 セリア様の行動です。
スキル:憑依 クールタイム残り44』
「幽霊生成5-5」
『セリア様、スキル:幽霊生成を使用。5-5に幽霊Aが出現。
セリア様の行動を終了します』
『ターン18 セリア様の行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り3
スキル:憑依 クールタイム残り42』
「とりあえずセーフね…」
ここで幽霊Aから行動されていたら、エネミーCが範囲外になってしまったので、セリアはなんとか負け筋を拾わずに済んだ。
「さすがにこれで撃破されてよ……幽霊起爆!」
『セリア様、スキル:幽霊起爆を使用。
セリア様、エネミーB、エネミーCに300の固定ダメージ。
幽霊A消滅。エネミーB、エネミーC撃破』
「やったわ!」
なんとかエネミーを2体とも撃破出来たことに安堵した。
ここで2体とも撃破されたので、やはりHPは低めで425~600だ。
残りのエネミーも順当に行けば倒せるはずだ。
『ターン20 セリア様の行動です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り1
スキル:幽霊起爆 クールタイム残り3
スキル:憑依 クールタイム残り40』
「うんうん…相手がマジックカノンの範囲内に入って来てくれるから、ありがたいわ。
今回はなんとか勝てそうね。
マジックカノン!」
『セリア様、スキル:マジックカノンを使用。
エネミーAに109ダメージ。
セリア様の行動を終了します』
「ダメージ低っ!?…もしかして、最低乱数引いてるんじゃないのこれ…はあ…」
行動順でそこそこ運がいいので、ダメージの乱数にツキが回ってきてるのかな…と思ったが、行動順が悪いよりはましなので、仕方ないかと諦めることにした。
ちなみに、今回のダメージからは相手のMガードが47~49ということがわかった。
しかし、配置と行動が上手く回ったので、今回はもう大丈夫だろう。
『ターン20 エネミーの行動です。
エネミーの行動を終了します』
『ターン22 セリア様の行動です。ムーブ可能です。
スキル:幽霊起爆 クールタイム残り1
スキル:マジックカノン クールタイム残り3
スキル:憑依 クールタイム残り38』
「幽霊生成4-4。ムーブはなし」
『セリア様、スキル:幽霊生成を使用。幽霊Aが4-4に出現。
セリア様の行動を終了します』
『ターン24 幽霊Aの行動です。
4-3へムーブ。
幽霊Aの行動を終了します』
『ターン24 セリア様の行動です。ムーブ可能です。
スキル:マジックカノン クールタイム残り1
スキル:幽霊生成 クールタイム残り3
スキル:憑依 クールタイム残り36』
「幽霊起爆。ムーブはなし」
『セリア様、スキル:幽霊起爆を使用。
セリア様、エネミーAに300の固定ダメージ。
幽霊A消滅。
セリア様の行動を終了します』
『ターン25 エネミーの行動です。ムーブ可能です。
エネミーA、4-3へムーブ。
エネミーA、セリア様へ通常攻撃。350のダメージ。
エネミーの行動を終了します』
「うわっ、HPあと362よ…いきなりギリギリの戦いだったわね…」
次のマジックカノンと通常攻撃でさすがに倒せると思うので、セリアは勝利を確信していたが、かなりギリギリの戦いだったので安堵していた。
『ターン26 セリア様の行動です。ムーブ可能です。
スキル:幽霊生成 クールタイム残り1
スキル:幽霊起爆 クールタイム残り3
スキル:憑依 クールタイム残り34』
「マジックカノン!」
『セリア様、スキル:マジックカノンを使用。
エネミーAに132のダメージ。
エネミーA撃破。
セリア様の勝利です』
「ふう…なんとかなって良かったわ…」
初戦から苦戦させられたので、セリアはこの先はどうなるのか不安を覚えながらも、ワクワクしていた。
結局、セリアは6階の1階と同じタイプの敵を捌ききれずに負けてしまった。
セリアは久しぶりに白熱したなあ…と思いながら、イルファナの待つフードコートへと向かっていった。
もし良かったら、評価をお願いします。
一応、今回のエネミーのステータスを載せときます。
──────
エネミーA.B.C
HP 500
パワー 43
Mパワー 41
ガード 40
Mガード 47
スピード 5
レンジ 2
ムーブ 2
リターン なし
リーダースキル:なし
スキル:なし
装備:なし
───────