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美術館へ

修正内容:加筆訂正を行いました。内容には変更ありません。





 美術館は王都の東側に位置する。祖父の館から馬車でなんと、片道二時間かかるそうだ。

 北門から水路までも半日近くかかった。改めて王都はなんて広いのだろうと思う。村やその近辺しか知らない私にとって、一つの都でこれほどの広さがあるのは驚きだった。

 ずっと見慣れぬ景色が窓の向こうに広がる。それを眺めるのが楽しくて、移動時間が苦にならない。


 途中、大きな広間の前を通る。その中心には、高さがあるやぐらが組まれていた。台の両端に左右一本ずつの棒が立ち、その上部には一本の太い棒が横になり、二本を繋げている。


「あれはなに?」

「……処刑台だよ」


 感情のない声で父が答えた。


「処刑台?」

「悪い人に罰を与える台なんだ」

「どうやって?」


 父はなにかを言いかけ、その口を閉じると私の頭をなでてきた。


「ジャスティーが大人になった時に話すよ」


 使い方は分からずじまいだが、人に罰を与える台だと知ると、不気味に見えてきた。

 広場を歩いている人たちはなにも感じないのか、台の近くを普通に歩き、怖がっている風に見えない。皆、怖くないのだろうか。


 後に、この処刑台にある人物が立つことになるが、この時は知る由もなかった。


◇◇◇◇◇


 長く馬車に揺られ、ようやくある大きな建物の前に停まった。

 何階建てか分からないほど巨大なその建物を、馬車から降りると見上げる。

 入口の左右には石で造られた像が鎮座している。どちらも大人の背丈の倍以上はある大きさだ。向かって右の男の像は剣を持ち、左の女の像は水平に右腕を振っている。男性は騎士、女性は魔法使いで、国を守る人々を表現していると母が教えてくれる。


 階段を上り像の間を通り、建物の中へ入る。

 正面には入ってきた人を迎えるように巨大な石像が座していた。大人の男性の何十倍もの大きさで、入口の像の比ではない。

 頭の先が見上げても見えない。その像は両手で足元に差している剣の柄を握り、正面を見据えている。白い石で造られた像は軍服を身にまとい、口は真っ直ぐ閉じられている。

 すごい迫力だ。口を大きく開け、何度も足元から頭上まで視線を動かす。


「この像は、このフレイブ王国を建国した初代国王なんだ。立派な方だろう?」

「この人が……」


 学校で先生が話していた。昔この辺りは小さな国が数多くあり、国同士で領土を取り合う争いが頻発していた。戦争で傷つき嘆く人を減らそうと、時に武力、時に会話で周辺の国々を統治し、フレイブ王国を作った中心となった人物こそ、偉大なる初代国王だと。

 一体どんな髪の色をして、どんな色の服を着ていたのだろう。像は白く、彩られていないので色が分からず残念だ。想像するのは楽しいけれど、実際にどんな色をしていたのか気になる。


 次の部屋へ通じる通路は、石像の右足の横にあった。


 次の部屋は石像の飾られていた空間より天井が下がっているが、十分高い。細長い造りで、壁一面に大小様々な絵が飾られている。どれも人物が描かれており、着ている服装から、身分の高い人たちがモデルだと思われる。


「この部屋には、歴代の王族が描かれた絵が飾られているんだ」


 絵の下には金のタイトルプレートに黒い文字で、絵のタイトルが書かれ、さらにその下に、描かれた人の名前や経歴などが記された、木製のプレートもある。

 描かれている多くの人が、茶色い髪の毛なので、初代国王もそうだったのかもしれない。


 次の部屋へ向かう直前、ある夫婦と子ども二人、赤ん坊一人、計五人が描かれている絵が飾られていた。赤ちゃんを抱いている女性の髪の毛は黒く、どこか顔の造りが他の人と違っており、外国出身の人だとすぐに分かった。


「この御方たちが、現国王様と王妃様。そして、その御子様たちだよ」

「第一王女が生まれた頃の絵だから、もう十年以上も前の作品ね。七人揃っている新しい絵は、まだ完成していないのかしら」


 現在国王夫婦の間に子どもは五人。王子が三人、王女が二人生まれている。

 この絵に描かれている三人は、今日この時点で運命の相手が見つかっているが、この絵が完成された時にはまだ生まれていない二人は、まだ相手が見つかっていない。


 第三王子は兄たちに負けず劣らず利発で、運動も得意。真面目で厳しい一面もあり、幼くも王家の一員としての誇りを持つ心が溢れ、見た目も大変よい、まさに理想の王子だと噂されている。

 おかげで娘を持つ多くの親が、自分の子どもが第三王子の運命の相手かもしれない! なんて期待しているらしいけれど……。


 それを期待している親は、自分と娘と離ればなれになっても平気なのだろうか。


 もちろん王子と結婚なんて憧れると私も思っていた。だけど、家族と別れることと比べたら、王子との結婚なんて御免こうむる。

お読み下さりありがとうございます。

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