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ある日の家族

初投稿なので、いろいろ間違いとかあると思いますが、頑張って更新します!


◇◇◇◇◇


修正内容:ジャンル変更。異世界恋愛→ハイファンタジーへ。


◇◇◇◇◇


訂正内容:誤字脱字、言い回しの修正。





「第二王女のナンバーが発表されたぞ」


 父は新聞に目を通すと、鍋からお皿に料理を盛っている母の背に向け、そう声をかける。

 父の言うナンバーとは、『運命のナンバー』のこと。

 運命のナンバーは個人差があるものの、十歳前後で体のどこかに自然と浮き出てくる。それは国を表す文字、もしくは絵(これらは国文字と呼ばれている)と、数字の組み合わせで成り立っている。


「発表? ということは、貴族の中から相手が見つからなかったのね」

「なんで分かるの?」


 母を手伝っている私は、引き出しからスプーンを取り出しながら尋ねる。


「王族や貴族といった身分の高い人たちは、運命の相手と結婚しなければならないという、暗黙の風習がこの国にはあるの。特に王族は、ほぼ運命の相手と結婚すると言っていいわ」


 自身の運命のナンバーと一致するのは、世界中でただ一人。その相手を『運命の相手』と呼ぶ。

 運命の相手。それは神の選んだ、唯一無二の存在とされる特別な相手。

 私の生まれ育ったフレイブ王国では、その『特別』とは結婚相手をさすと考えられている。

 とはいえ、必ず運命の相手と結婚しなければならない決まりはない。特に平民の間では、相手以外との結婚が珍しくない。

 だって、いくら神の選んだ運命の相手とはいえ、異性にだらしない人や犯罪者だったり、生理的に受け付けない人との結婚なんて、無理だから。


「身分の高い人たちは、不思議と相手も同じような立場の人が多いの。だから爵位を持つ家の人は、ナンバーが現れたら必ず王様……。国に申告して、ナンバーを登録するの。身分の高い人たちのナンバーを国が管理することによって、王族の相手を捜しやすくしているの。爵位ある家の人たちも、自分の相手が登録されていないか問い合わせできるから、簡単に相手を見つけることができやすいの。

だから今回も、まず登録されている中に同じナンバーの人がいないか探したはずよ。それで見つからなかったから、世間にナンバーを公表したの。貴族以外が相手の可能性が高いからね。公表することで、相手が名乗り上げるのを待つの」

「名乗り上げたら、その相手はどうなるの?」

「王女と結婚するから、王城にひきとられるか、どこかの貴族の養子になるわ。そこで将来のために、上流社会の教育を受けるの。王族の相手には、そういう決まりがあるのよ」

「えー、そんなのひどくない? 家族と離ればなれにされるってことでしょ? あたしは絶対に嫌だな。無理やり結婚される感じもして……」


 自分が両親と離れるなんて、絶対に嫌。

 それに上流社会の勉強というのも面倒くさそう。今でさえ勉強は嫌いなのに、もっと特別な勉強をするのはご免だ。


「あれ? 第三王子の相手も見つかっていないんだね」


 食卓にスプーンを置きながら父の持つ新聞をのぞき見した私は言う。新聞に第三王子の相手はいずこ? という文字が書かれていたのを見つけたのだ。


「ああ。何年か前にナンバーは発表されたけど、まだ見つからないということは、年齢差がある相手かもしれない」


 父はそう言うと、新聞を折り畳んだ。


「年齢差?」

「発表されてから何年も名乗り上げないんだ。まだナンバーが現れていない子の中に相手がいる可能性があるってことだよ。相手は今ごろ生まれたばかりの赤ちゃんかもしれない。第三王子は今、十二歳くらいだから……。もし相手が現時点で赤ちゃんなら、二人に年齢差があるだろう?」

「それなら逆にすごく年上で、もう他の人と結婚しているから名乗り上げないのかもしれないよ。家族と離れたくないから、名乗らないのかもしれないし。あ、もしかしたら外国の人が相手かも! それなら自分の相手が王子様だって知らなくても、おかしくないし」

「そうだね、知らないかもな」


 伏し目がちに父は同意する。


 そう、運命の相手が外国人のケースもある。

 国文字は生を享けた国と同じ場合がほとんどだが、まれに外国の場合がある。

 国際結婚は基本的、他国の文字が現れた人が国文字の示す国へ行き結婚し、国文字の示す国で生活するパターンが多い。隣国の王様も、それで奥さんを迎えたと聞いたことがある。

 生まれ親しんだ国を離れ、外国に行くのが嫌だからと、出生国で運命の相手以外と結婚する人も多い。


「王子様って、相手が見つかるまで結婚できないの?」

「それはどうかしら。王家の血を絶やさないためにも、どうしても見つからなかったら、さすがに他の人と結婚するでしょうね。ああ、でも……。王族の相手が見つからなかったなんて話、聞いたことがないわね……。そういえば……」

「この話はもういいじゃないか。まだ見ぬ第二王女のお相手が素敵な人だといいな」


 それから私たちは神にお祈りを捧げ、夕食を楽しんだ。

お読み下さりありがとうございます。


◇◇◇◇◇


平成31年2月14日(木)追記


誤字脱字、言い回しの修正は順に行います。

内容は変えませんが、加筆がある場合もあります。

また作業中は、誤字報告を受け付けない設定にします。なにか報告したい間違いなどありましたら、活動報告や感想でお教え下さい。

ご理解ご協力、よろしくお願いいたします。

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