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転生ダンプは時にスローリィ
俺はいま、雨でスリップして歩道に突っ込んできたダンプに、轢かれようとしている。
まったくさあ、これじゃ、なろう小説の主人公みたいじゃねーか、ふざけんなよ。
あーあ、食べきれなかったスーパーカップ、全部食ってから死にたかったぜ。まじで。
まぁでもこれで高校行かなくて済むって考えたらもういいか? 受験なんてやりたくねーし。
あーでも母さんなんて言うかな、一人でやってけんのかよ、まじでさ。
でも事故死だったら保険金?とか出るんだろ?わかんないけどさ。
母さんならまたいい男見つかるよ。俺なんか忘れて出会い系登録していいからさ。幸せなってよ。
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……てかさ、なんでこんなに考える時間あるんだろうな?
これが<走馬灯>ってやつか? めんどくせー、ダンプもゆっくりしか動いてねえし。
っていうか、なんでこうなったんだっけ?
……えーっと。死ぬまでちょっと時間あるから、思い出してみるか。