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終 忘れられない思い出

 星影に着いたのは午後八時を過ぎた頃だった。星影駅で解散し、各自家に帰る。親が迎えに来ている者、バスを利用する者、徒歩圏内の者、それぞれだ。俺は歩いて帰ろうとしたが、美幸の親が車で来ていたのでお言葉に甘えさせてもらった。美幸、栄斗、俺の三人分のスーツケースを詰め込み、俺達も乗り込んだ。バスで帰るという日和と別れて、車は動き出した。


 家に着くなり妹が飛びついてきたので、それを想定していた俺はリュックからシカのぬいぐるみストラップを出して渡した。大喜びの妹よ、いつまでおまえは俺に飛び付いてくるのだ。周りにからかわれていたりはしないよな。ブラコンだなんだと言われているのなら教えてほしい。こちらもおまえがそう言われないように対処を試みるから。





「晃一さん、お疲れのようですね」


 スーツケースとリュックの中身の整理を終え、俺はベッドにダイブする。二日目の夜に京都から送った着替えやお土産などの荷物は明日のうちに届くらしいので、今できることは全部やった。


「楽しかったですか」

「まあな」


 明日からほんの少し振替休業日なので、ゆっくりと疲れを取ることにしよう。


 パジャマに着替えるのも面倒臭いな。


 何だか色々あったけど、いい思い出がたくさんできた。


 栄斗も美幸も日和も、楽しそうだった。きっと俺も同じように笑っていたのだろう。これでガリ勉キャラも払拭できる。寺や神社をたくさん回れていい経験になったし、昔の人の考えとか……ガリ勉だなこれじゃあやっぱり。


 明日は届く予定の段ボールを開けて、着替えを洗濯に出す。お土産を出して、家族で食べる。それと、デジカメのデータを確認して……。


「おやすみなさい、晃一さん」


 大人になって再会した時、この修学旅行についてどれくらい話すことができるだろうか。


 四人で色々見られて楽しかったな。


 少しだけ開いた窓から冷たい風が吹き込む。さすがにそろそろ寒くなる時期だな。


 かあ。という鳴き声と羽音がして、部屋の中から気配が消えた。


「おやすみ、紫苑」







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