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不死身の男

 土埃が目隠しになって光をまともに通さない。直感と手探りで見つけたのは半壊した改札口だった。向こう側からはタイタンの咆哮が聞こえてくるが、状況は依然として分からない。

 作動しなくなった改札機を素通りして、丸金は躊躇いなく声に向かって走り出した。


「ここまでは戻って来られた。間に合う。間に、合わせなきゃっ」

 線路に仕掛けられた爆弾らしき物。

 あれが地下鉄の走り抜ける大空洞を破壊できる威力を有しているのならば、仲前は当然十分な距離をとってから爆発するように設置している。その時間は足の遅い丸金を抱き上げて必死になる必要がないはずだ。


「まー」


 足元から声がして何かを蹴飛ばした。

「ひゃ!?」

 膝から転んだ丸金は不格好に床へと叩き付けられた。耐えきれずに「痛い」と小さく呟きながら、それでも跳ね起きて前に進まなければと身を起こす。その足を、ヌメリを帯びた手が捕まえた。

 甘い刺激臭。蹴飛ばした何かとは内臓の巻き付いた肉塊だった。内側から肉を突き破りそうな片腕だけが、剥き出しの赤い膜と血管を纏って生えている。腕の根元には大きく開いた穴がある。縁の外側には歯が並び、顎髭の様に舌が垂れ下がり、へしゃげた胃袋が地面を擦り、長い腸が解けていく。膨らんでは縮む二つの肺、力強くリズムを刻む心臓。

 体の内側が剥き出しとなったおぞましい姿に息を呑む。

「さ、さっきの裏返った人!」

 裏返ったまま強引に元の形に戻ろうとしているのか、掌や足が肉の表面に浮き出してもがきまわっている。絡みついた手を振り払おうとしても、握力は元のものなのか歯が立たなかった。

 今はそれだけだが、いずれは手足を取り戻し、おそらく彼は完全に裏返る。


 丸金は一度目を瞑り不快な臭気もろとも深く息を吸い込んだ。村上の言葉を思い出す。

「すべき事を、よく見て、自分で考える」

 目を見開いて変貌者を凝視する。裏返った身体には心臓の拍動に合わせてうねる血管が全身に張り巡らされていた。丸金は変貌者に手を伸ばす。大人の心臓は小さな手に有り余るが、太い血管ならば十分に握り締めることができた。


 裏返りの口が丸く広がり、内向きに潰れた顔から飛び出した目玉と視線が合った。


 丸金は一思いに肉塊から血管を引き剥がした。弾力のある管が少し伸びる感触の後に皮が千切れて引き裂かれる。

「ぶりゅりゅりゅりゅ」

 声帯が露出した体から噴き出る空気と肉を震わせ、形容し難い断末魔が漏れだした。血管から噴水の様に噴き出す血が出ては止まり、裏返りの体が生気を失くして萎んでいく。

 息を乱し膝を震わせながら丸金は手の汚れを服に擦りつける。

「大丈夫、私は大丈夫、大丈夫、大丈夫」

 初めて自ら手をくだした言い知れない恐怖と興奮で竦んだ足に、まだ痙攣している死骸を見下ろしながら、己を鼓舞して立ち上がる。


 だから背後に気付かなかった。

 あれだけ激しく響いていた破壊音や怒りに満ちた咆哮が止んでいる事を。タイタンが、その黒く大きな拳を頭上で振り上げていた事を。


「菅原君!!」


 タイタンの脇腹に望月が体当たりを食らわせる。狙いの逸れた拳は空を切ったが、重い体は距離を開けずに体勢を立て直して跳ね返ってくる。

「ぐるあああああああああ!!」

 押し潰されそうな小さな体を望月が掬い上げて掻っ攫う。またも標的を取り上げられたタイタンは、急旋回で脇腹に抱えられた丸金に狙いを定め直した。間近で受ける激しい怒気に硬直する。

 タイタンが再び突っ込んでくると、望月は片腕の塞がった体で身を屈めて巨体を壁まで背負い投げてしまった。


「荒妻君の次は君か! 何故こんな所に、まさか線路で何か問題が起きたのか!?」

「あ、あ、あの、しーふぉなんです!!」

「なんだって?」

 タイタンは飛び起きて怯む休むを知らずに肘から拳にかけて硬く鈍器に特化した腕を振りかぶり、それを望月が拳と膝で防御する。

 小脇で振り回されながら丸金は声を張り上げる。

「仲前さんが線路に二つのしーふぉを仕掛けて、望月さん達がタイタンと閉じ込められるから、急いで逃げなくちゃいけないんです!」

「よく分からんが、シーフォを仕掛けた事を知らせる為に単身で危険な場所に戻ってきたと、C4!?」

 望月が目を剥いた。


 単調に殴りかかっていたタイタンが姿勢を崩し、低い位置から丸金に大口を開けて突っ込んでくる。それを身を捻って庇った望月は組み付かれて肩に齧り付かれた。容赦なく食い込む歯に肉が抉り取られる。

 思わず丸金は「痛い!」と叫ぶ。

 焦った望月はタイタンに全体重を乗せて自分ごと地面に叩きつけて距離を開ける。

「大丈夫か! どこがやられた!?」

 深い歯型から血が流れ出して服を染めていく。

「ごごごごめんなさい。私はどこも」

 しかし、間接的にも関わらず交通事故に匹敵する重い衝撃で間接がはずれそうだった。元より勝利が見えない消耗戦を強いられる死神相手だ。このままではいずれ害が及ぶ。


「くっ」

 望月は丸金の握り締める懐中電灯を奪い取って、階段に向かい走り出した。すぐ後ろからタイタンは追ってくる。

 裏返りの死骸、改札と過ぎて、望月は階段に向かわず駅務室の半壊した扉に向かって直線を駆け抜け、部屋が見えた瞬間に速度を落として背後を振り返った。タイタンの手が伸びる。

 それを潜って捕まる寸前に望月は横へと直角に曲がった。扉の横に衝突する望月の横で、ぶつかる壁の無いタイタンだけが駅務室へと飛び込んで壁に激突しに行った。

 すぐさま望月は階段へと身を翻して駆け下りる。一時的に見失わせて距離を稼いだのだ。


 そのまま行こうとする望月に、抱えられた丸金は服をつかんで喚く。

「荒妻さんは!?」

「あそこには既にいない。それよりも仲前君はいつ爆破すると言っていたんだ!」

「わ、分からない、です」

 ホームドアごと飛び越えた望月は線路に着地して左右に光を向ける。

「どちらだ」

「え!? あ、えっと、えっと……」

 タイタンの咆哮が壁を挟まず空気を震わせる。遂に階段を降りてきた。答えを聞く前に線路に散らばる殺戮者の死骸を見て走り出す。

「菅原君、C4の位置を教えてくれ。君はそこから一人で走るんだ」

「ど、どうしてですか? 望月さんは」

「いいか。このままではタイタンを連れて行ってしまうことになる。民間人を危険に晒すようなことはあってはならない」

 タイタンがホームドアを突き破って線路に飛び降りた。猛り狂う声は線路を反響して遠くまで響き渡っていく。

「でもそれだと望月さんは」

「……自分のことは」


 その時、ワイヤーが望月の首に食い込んだ。両側から金属同士が接触する高い音が鳴る。

 ワイヤーの先に繋がっていた物が何かは確認するまでもない。背の低い老婆や丸金が素通りして、タイタン程の巨漢だけに作動する罠だった。同じ体格である望月も当然それにかかる。


 激しい衝撃と音が聴覚を破壊して意識を千切り取る。頑丈に設計された地下トンネルが、崩落する。






 禁術を使ってまで最強の大人を味方につけた。


 負の感情で鬼と化し、凄惨な死体の山を積み上げ続ける凶悪な死神。出会う前から畏怖があった。本意ではなくとも大勢の人間を地獄に落とした大量殺戮者。

 どんな人格かはまるで分からない。

 しかし、その戦力が人間側に戻れば、きっと化け物の群れを簡単に蹴散らしてしまえるだろう。

 どう頼めば戦ってくれるだろうか。

 何を犠牲にすれば味方になってくれるだろう。


 その悩みは徒労に終わる。

 彼らは死神としての凶悪さとはかけ離れていた。至極優しく、絶望的な状況にあっても正気を保ち、勇気を持って困難に立ち向かう。


 まるで正義のヒーロー。


 それでも助けを求める人が死体となっていくことは止められず、地獄は未だに凄惨なまま、贖罪は終わりを見せるどころか泥沼にはまっていく。






 全身の痛みで目を覚ますと暗闇だった。一切の光も無い狭い空間で、本当に目を開いたのか瞼の裏を見ているのかすら分からない。

 体重のかかる背中や足に硬い何かの角が食い込み、生臭い水滴が降ってくるせいで髪や服が濡れていく。


 身じろぎすると、すぐ近くにいた誰かに触れた。

「意識が戻ったのか」

「……望、月、さん?」

「そうだ」

 呼吸がつむじに当たる。

「怪我をしていないか、君の状態が知りたい。無事なのか? 体調について、内容を選ばず、細かく報告してくれ」

 夢現なまま、丸金は手首と足を回してみる。狭い空間で十分に確認は出来ないが「なんともないです」と答えた。

眩暈めまいや吐き気はどうだ」

「別に」

「違和感は」

「無い、と思います」

 喋れば気道が思い出したように引き攣り酷く痛んだ。

「そうか」

 漏れた溜め息は切れぎれで少し震えていた。声にも疲労が色濃くうかがえる。意識を失ってどれほどの時間が経ったのかは分からないが、酷く心配をかけてしまっていた。

 そして少しずつ状況を思い出す。


「居心地は最悪だろうが、しばらく我慢してくれ。まずは、そうだな、まずは落ち着いて、話さなくてはならない。出来そうか?」

「大丈夫です」

 線路に入ってすぐだ。

 仲前が仕掛けていたと思われる位置を過ぎたところで記憶が途切れている。

 冷静な声が状況の答え合わせをしていく。

「C4という物は君が察した通り、自衛隊の使う爆弾の一種だ。爆発のタイミングにはタイマーや電波が使われたりもするが、これは獲物がかかれば起動する仕掛けだったらしい」

 記憶を整理すれば簡単な話だ。

 地下で爆弾を使う狙いは道を潰す為だった。あわよくばタイタンに直撃して生き埋めになる期待もあっただろう。


 ここは、崩れた瓦礫の中なのだ。


「ごめんなさい。私が、私がちゃんと、周りを確認しなかったから!」

「知るはずのないものは、気をつけ、られないだろう。気に病むことはない。君が反省しなければならないのは、危険を冒し、勝手に、戻ってきてしまったことだ」

「そ、それは……」

 言いかけた言葉を噤み、堪えきれず消え入りそうな声で「でも」と後を引く。


 納得しかねて葛藤する丸金を望月は追及しなかった。

「まあいい。今は、気をすり減らすような話は止めに……ぐっ!!」

「ど、どうしたんですか!?」

 突然の呻き声で反射的に手を伸ばす。

 触れたのは固く割れた腹筋だ。纏う衣服は丸金よりも水気を含んでいるのに、どこか生暖かく粘り気を帯びていた。

「気にするな。大したことじゃない」

 触れた両手で望月の形を辿る。彼は丸金に覆い被さるようにしてい立っていた。頭上から降ってくる生暖かい水が生臭いのは何故か。地下深くで生き埋めになっていながら丸金が潰されいないのは何故か。

 ようやく頭が本当の現状に追いついた。


 望月が無事な訳がなかった。


「無い。無い無い無い無い、懐中電灯、失くしちゃった」

「落ち着け、菅原君。本当に、なんでもないんだ」

「どうしよう。さっきまでちゃんと持ってたのに!?」

「聞いてくれ」

 丸金は手の届く限りを探し回り、懐に見つけた紙の手触りで光源を見出した。

「光、幻術で炎を作って光にすれば」

「菅原君、光は必要ない。止めなさい!」

 放り出した札に書かれた文字が筆の軌跡を光でなぞり、紙の形を崩して青白く光る靄と化して周囲の光景を浮かび上がらせた。

 つまり、己の血で全身を赤く染めた男が壁に腕を突っぱねて厚い瓦礫に潰されないよう耐え続けている姿を。

「う、あ……」

 頭が、耳が、頬が、肩が、腕が、肉を覗かせ焼け焦げていた。狭く逃げ場の無い空間は気も狂わんばかりの圧迫感で、血の臭いが一層濃くなったように感じて吐き気が湧き上がる。

「間違え、た? やっぱり、私が、だって、だってだってだって、ごめんなさい!! 私のせいで望月さんが、私がしーふぉの所に連れてったせいで、どうしよう、どうしたら」

「落ち着くんだ、菅原君。負の感情に流されれば変貌してしまうんだろう」

「また繰り返した。いつも私のせいで死ぬ。私が悪いから。私が、私が私が私が私が」


 望月は眉間に皺を寄せ、深く息を吸いこんだ。

「話を聞くんだ!!!!」

 恫喝が周りの壁まで震わせ、砂が細い滝となって流れ落ちていった。あまりの衝撃に丸金は茫然として言葉を失った。

 しかし、まだ終わりではない。


 かける言葉を間違えれば、少女はこのまま堕ちてしまう。


 望月は満身創痍の姿とかけ離れた力強い声で「嘘は言わん」と前置きした。

「刺し違える覚悟でいたタイタンから、生きて解放されたんだ。自分にとって、この状況は最善でなくとも最悪ではない。心配するな。自分は頑丈が取り柄だ。例えば、変貌すれば、不死身の死神として恐れられる程度、だがな」

 銃撃斬撃で致命傷を与えられないタイタン。

 変貌で人の常識から外れた死神と人の身である望月が同じ頑丈さを持ち合わせているかは分からない。蝙蝠が空を飛んでも村上が飛べるはずはないように、変貌の仕方で素体の能力に差異はある。

 ただ、望月が人離れした力や回復力を持っているのは確かで、これまで実際に耐えてきたのを見知ってもいる。


 頬の傷に手を伸ばし、震える声が問いかける。

「痛いですか?」

「のたうちまわる程ではない。難しいとは思うが今は泣くな。狭い空間では空気が限られている。泣けば余計な酸素と体力を消耗する。冷静に目の前の問題を解決する為に頭を使いなさい」

 丸金は血に濡れた手で口を押えて目を瞑り、声を押し殺して涙を零す。溢れてしまった感情だ。努力で止まるものではない。


「あー……」

 言葉を詰まらせた望月は眉を下げ、困った様子で声を和らげる。

「すまないな。心細い状況で説教臭い事しか言えず、その、自分は子供をあやすのが得意ではないんだ。ここにいたのが他の者なら、もっと気の利いた事が言えただろうが」

 口を押さえたまま激しく首が横に振られる。震えの止まらない手の下から、くぐもった涙声が絞り出される。

「悪いのは、いつも、私、なので」

「何故そう思う」

 正しい選択。

 贖罪。

 すべき事。

 全てが裏目で空回る。

「ずっと、ずっと、誰一人助けられない。人を不幸にしてばかりで、役立たずのまま、成長してなくて。いつまでも償いが、出来なくて。私は、私が目の前にいたら、こんな疫病神、殺してやりたい」

「君はいつも正解に執着しているが、答えは状況によって複雑に変化していくものだ。その悩みには近道や王道が存在しない。だがそれに挫けずにいれば、失敗を重ねることで実る力もある」

「失敗の、力?」

 疑わし気な丸金に、望月は口の端を上げて話題を変えた。


「こういった状況で助かるかどうかは、七十二時間の勝負と言われている。一日は二十四時間。つまり、三日間で上にある岩を取り除けば助かる、という事だ」

「……こんなに深くて見つけてもらえるんでしょうか? 掘る機械とか無いし、手で掘り起こすなんて」

「モグラやミミズだって地面を掘って地上に出るだろう。待つばかりではなく、瓦礫を押し上げてしまえば見つける手間は省かれる」

「押す? じ、地面を押すってことですか? でも、地下一階とかなら地面一枚だけど、地下二階だともっと深くて、上に部屋がなかったら土とかで厚みがあるし、建物が上に乗ってたらそれだって」

「地下鉄の線路は騒音や振動の問題が出る為、可能な限り道路の下を通っている。地下鉄の階段前には太めの道路があった。方向感覚から言っても上は道路で間違いない。地下トンネルにはかなりの空間がある。そこを埋めるために地下一階分の土は周辺に雪崩落ちていることだろう。つまり、実質は地面一枚半程度をどうにかすれば助かる計算となる」

「そ、え? それでも、あの、多分、重いと、思うのですが」

 理路整然としているはずの望月が突然強引に押し出した荒唐無稽な理論に困惑する。

「その通りだ。馬鹿げているな。自分一人であれば諦める道も考えるが、助けなくてはならない相手がいて死力を尽くさない選択は自分には無い。制限時間はまだきていないのだからな」


 人間の力で持ち上がるはずがない。

「うおおおおおおおおお!!!!」

 望月の顔に血管が浮かんで筋肉が更に盛り上がる。

 割れた瓦礫一つ一つは持ち上がっても積み重なる深さで重量は増す。大勢の人間、走るトラックを支える地面だ。頭上の瓦礫が砂を降らせて位置が動く。細かな小石が下に流れて砂埃を舞い上げる。

「支えてやれる腕がない! 構わないから膝でも靴でも乗れる所に足をかけて自分の力でしがみついていろ!」

 四肢を踏ん張り地上に向かい背負った絶望を押し上げる。


 その姿はまるで――――――――。






 感覚は途中で完全に狂ってしまう。

 本当に望月が瓦礫を持ち上げて上へ登っているのか、夢か現実か時間にいたるまで判らない。

 光を保つだけの札が足りず、視界はすぐに失われた。暗闇の中で感じ取れるものは互いの体温と声だけだった。


 瓦礫の隙間から暗闇の中に夕焼けの赤い光が差し込んだ時、まずは夢を疑った。

 少しずつ増していく光はいつまでも消えず、望月が腹から声を絞り出して頭上の岩盤を持ち上げる。大きな瓦礫が蓋を開くように立ち上がり、それが大きな音を立てて反対側に倒れて砕け散った。


 太い両腕を地面についた望月が、丸金を乗せた両膝を一気に持ち上げた。望月の肩越しに丸金は赤く染まった空を見る。

 あり得ない話だ。

 地下深くから這い出た望月は地面に座り込む丸金の横で大の字に倒れ込んだ。

「どうにか嘘つきに、ならず、済んだようだな。さすがにこれは、骨が、折れた、ぞ…………」

 疲労困憊ながら満足そうに笑う彼は、紛れもなくヒーローだった。

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