終わりの始まり
昼食時を過ぎ、これから最も暑くなる時間になる。イブは俺のバイク(通称:ディスオーダ)の後ろに乗せている。
レナは自分用のバイク(最新型のフロータータイプ)で後ろを追ってくる。どこにそんな金があったんだ。
インフィニティはディスオーダに同期はしているが、本体である端末の方はイブが背負っているリュックの中に入れてある。
しきりに俺たちを追い抜いて行く、軍やマスコミの車両がある、当然だろうがな。
しかし参った、これでは俺たちが調査をするためにはこういった世間の目を掻い潜らなければならない。
そう思っていたのは俺だけではなかった、ヘッドフォンからレナの声が聞こえる。
「ねね、お兄ちゃん、さすがにこれだけ人がいたら私たちの調査ってできないんじゃない?何か考えてあるの?」
正直、なにも考えていない。
不安そうにイブが会話に紛れ込む「大丈夫でしょうか、あの光は少なくとも追手の人たちが発していることは確実です。この星の人に危害が加わる前にあそこから離れてもらった方が安全なのですが。」
そうなのだ、カプセルが発していた光の残照であれば気にすることはないのだが、カプセルはすでにこのバイクと一体化している訳だから、どう考えても追手側の「何か」なのだ。
ここまで無言を通していたインフィニティが口を開ける。
「その件に関しては問題ない、あと数分で終わりが始まり、その瞬間からサトキ、お前の運命はベクトルを変えることになる。」
今までに無いインフィニティの言葉に、俺も、イブもレナでさえも絶句した。
「おいインフィニティ、お前は何をどこまで知っている、どうなることかさえも知っているのなら全てを語れ!」
俺は怒鳴りたい気持ちを抑制していたが二人を不安にさせたくなかったからできる限り冷静に問いた。
「必要な時に必要なだけの処置はする、今、イブの記憶が喪失しているのは、それが必然であったからだろう」
俺の問いの回答にはなっていない、その旨を問おうした矢先
それは起きた。