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神縛町の荒女山  作者: 甫人 一車
〇〇三、二日目の昼ごはんとテレビニュース
9/25

〇四



       ○



「そういえばさ、崖崩れってどうなってるのかな?」


 きれいになった座卓の前、ゲンやんはぼんやりとしながら言った。


「はえ?」


 テレビを見ていた真澄は、くるりと首を大きく動かしてゲンやんを見る。


「別にどうもなってないだろ。昨日の今日じゃな」


 セーハチは本を読みながら、つまらなそうに言った。

 キロクは寝転がって小さく寝息をたてている。


「やっぱり気になるの?」


「そりゃあね……。うちの地元だとあんまり考えられない話だし……」


 ゲンやんは煮えきれない苦笑を浮かべて、頭を掻いた。


「珍しいよな、やっぱり。あ、不謹慎ってのはわかるけど……」


 ゲンやんたちの住む街は、この神縛町と比べれば都会ではある。

 しかし、それでも結局は地方都市にすぎない。


 テレビドラマの舞台となるような、大都会とはほど遠い場所だった。

 映画館もなければ、ファーストフードの店もデパートの一店舗があるだけだ。


 特に観光名所があるわけではない。

 ただ車と建物ばかりが多いだけの、つまらない街だとゲンやんは思っている。


 そういった感情は中学に入ってから強くなってきた気がした。

 だからだろうか。


 あの荒女山という山がそばにあるだけ、ここのほうがずっとマシな気がした。

 どうして、そう感じるのかゲンやんにもよくわからない。


「気になるのなら、行ってみる?」


 テレビを消しながら、真澄が大きな瞳でゲンやんを見た。


「え? でも、危なくない?」


「離れたところから、ちょっと見るだけなら大丈夫だよ。どうする」


 尻込みをするゲンやんに、真澄は少し挑発的な声で言った。


「セーハチ……」


 助けを求めるように、ゲンやんはセーハチに話を振った。


「まあ、別にいいだろ。散歩だと思えば」


 本のページをめくりながら、セーハチは消極的な賛成意見を言った。


 横で、眠っているキロクが寝返りを打つ。




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