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神縛町の荒女山  作者: 甫人 一車
〇〇三、二日目の昼ごはんとテレビニュース
6/25

〇一



 朝食の光景も、昨夜と同じくにぎやかなものだった。


 半分以上は昨日の残りものだったけど、元の料理が美味しいので問題はない。

 それに炊き立てのご飯が加われば、もう言うことはなかった。


 にぎやかにしているのは、やっぱりキロクだったけど。

 さっきまでは、そのまま眠ってしまいそうな状態だったが、いざ朝食が始まると目を爛々と輝かせて食事に勤しんでいる。


(こいつは、なにか食べている時が一番幸せそうだな……)


 動作はのそのそとして、どことなく大きな牛のような印象のキロク。

 しかし、体格からわかるように三人のうちでは一番体力も腕力もある。


 そのせいか入学当時は柔道部をはじめ、色んな運動部から勧誘を受けていた。

 ただ、気性というのか性格的に合わなかったらしい。


 だから、こうしてゲンやん、セーハチといるわけだが。


 セーハチは相変わらず、しつこいくらいに食べ物を噛んでから飲み込んでいる。 

 ゆっくりしているのに、食事時間は短いわけでもない。


 平和な食事風景が、ちらりと聞いた崖崩れの話とひどく剥離しているようで、


(変な感じだなあ……)


 そう考えてしまうゲンやんだった。


 だから、だろうか?


「朝から車が走ってますけど……。崖崩れがあったとか?」


 ゲンやんは、なんとなくそのことを話題に出していた。


「ああ。アレなあ。いやあ、まいった! 時間のおかげか、ケガ人にはなかったらしいけど。どうもなあ? 道が完全に埋まって通れなくなってるらしい」


 おじさんは頭を掻きながら、困った、困ったとうなる。


「お父さん、あのへんの道よく通るの?」


 意外そうに真澄が言うと。


「いや、別に。でも地元のことだからな。うちには関係ありませんではすまない」


 おじさんは首を振って、味噌汁を一気に飲み干した。


「三人にハイキングとかキャンプに、と考えたばかりだったのになあ」


 と、おじさんはとても残念そうだった。


「自分が楽しみにしてたんじゃないの?」


 真澄は少しさめた声でそう言ったけど、おじさんは聞いてないようだった。




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