やんごとなき面倒事
うれしい、うれしいです。
読んでくれてる人がいるって言うのはとてもうれしいです。
読者の皆様ありがとうございます。
簡素ながらもしっかりとした作りで、高級感を感じさせる一室。
俺、ルシウス・アンタレスは今冒険者ギルドのギルドマスター室へと来ていた。
「で?、ギルドマスターともあろうお方が僕のようなしがない一平民になんの用でしょう。」
気持ち皮肉を込めて聞く。
「ハア、めんどくさいな、なあ、ミリス、この仕事本当に俺がしなくちゃならんか?」
「おや、ただでさえ無能でできる仕事の少ないあなたにそんなことを言う暇があるんですか?」
あれ、俺ガッツリ無視された!?
「僕になんの用かと聞いているんですが。」
苛立ちを隠せずについ語尾を荒げてしまう。
しかし、ギルドマスタ―の一言に俺は冷や水を被ったかのような思いをする。
「ルシウス・アンタレス、クストレ国第二皇子、王位継承権一位十歳。だったな」
「っ!なんでそれを。」
思わず臨戦態勢を取ってしまう。
「おいおい、俺はこれでもギルマスやってんだ、情報に疎くちゃあギルマスはやってられねえ。
第一、そんな業物を、しかも二振りも何の変哲もない一市民が持ってるわけがねえ。
そもそもだ、お前その胸につけてる紋章の意味も分からんと思ってんのか?」
怪訝な顔で俺の胸元の紋章を指さす。
「なっ、あんたみたいな人にばれるとは、不覚だった。」
いや、本当に、このギルマス、キングオブ・脳筋な見た目だし、ばれるにしても後ろに控えてるミリスって呼ばれてた人だと思ってたから。
「いえ、ルシウス様、あなたのお考えはあながち間違いではございません。」
こころ読まれた!?
「す、すごいですね、ミリスさんでしたっけ。」
「ええ、ミリスと呼び捨てで結構ですよ。まあこの人と仕事をするならば、これくらいは必要不可欠な能力ですから。」
「ご愁傷様です。」
心の奥底から気の毒に思うな。
「お心使い、痛み入ります。」
「ねえ、なんでだろ、俺ギルマスなのにすっごいひどい扱いな気がする。」
『黙れグズ。』
こうして俺の初めてのギルマスとの自己紹介は一人の知り合いと、一つの粗大ごみを生み出し、無事終わった。
「はあ、まったく、お前ら目上の奴に対する態度ってもんがなってねえな。」
ギルドマスターであるガルスが大きくため息をつく。
「はて、たとえ無能のグズ野郎でも・・・おっと失礼ルシウス様、王族の方がおられるのに、使ってよい言葉づかいではありませんでしたね。」
「いやいや、そんなかしこまられても、政をしているのは父ですし、僕はただの皇子ってだけですから。」
平等に付き合える友達が欲しいしね。俺は。
「素晴らしいですね、ルシウス様ぜひこのギルドのマスターを請け負ってはいただけませんか。」
いや、それはさすがに・・・・・・・めんどくさいな。
「ねえひどくない、俺の扱いひどくない?なくぞ?俺しまいにはなくぞ?」
『知るかグズ』
うん、相変わらずのナイスハモリだなミリスさん。
「よろしい、ならば戦争だ。」
『やるか?』
「すいません、冗談です。」
目に見えて落ち込んだガルスに質問する。
「で?なんで俺はここに呼ばれたんですか。」
「いや、あんなことしといてよばれない方がおかしいだろ。」
ガルスがいかにも楽しそうに笑う。
だからこそ解らない。
「あんなことって、なんですか?」
「は?おいおい、いまさらしらを切ろうなんて思ってねえよな、人を二人殺しといて。ま、でも大した罪にはならんだろうから・・・」
ガルスが言い終わるのも待たず、ミリスが俺に救いの手を差し伸べてくる。
「ルシウス様、少しこの水晶に手を置いてみてください。」
そういいながら目の前に差し出された球状の水晶。
「え、ええわかりました。」
言われた通りに水晶の上に手を置き、しばらくすると。
ルシウス・アンタレス
age:10
lv:1
ステータス
筋力:B(S)
魔力:S(SSS)
精神:A(D)
知力:B
運:???(???)
俊敏性:A(SS)
???:G
犯罪履歴:――――
職業:偽りの皇子様
種族:人間族
スキル
蒼き闘気、紅蓮の魔力、刀術、魔の声を聴くもの、天地流、俊足、失われし魔法、索敵、鑑定眼、創世魔法、複合魔術
称号
理の侵入者、天地の異端児、無限の可能性、内なる獣、失われた魔法使い、創世の魔法使い
こ、これは、もしかして。
「どうですか、ルシウス様、ステータスに何か書かれてはありませんでしたか?」
ミリスさんが確認するように俺に話しかけてくるがもう、俺には何も聞こえていない。
ス、ステータス!
「キタ――、やっと、やっとステータスが、見れた!」
『え?』
唐突に叫びだした俺を見て、可哀想なものを見る目様な視線を俺にぶつけてくる二人。
しかし、そんなことはどうでもいい。
ステータス、それは異世界の代名詞とも呼べる存在。
俺はそれを今の今まで見ることができなかった。
あれは、いつだったか、異世界に転生してから5年ぐらいたっていただろうか。
魔法の練習をしていた俺はふと思いついてステータスを見ようと試みた。
ありがちな奴から適当な奴まで、詠唱をそりゃあ唱えに唱えまくってみた。
でも何も出ず、ヒートアップして大声で叫んでるうちに、俺の部屋に、メイドさんが、はいって、きて・・・
駄目だ、思い出すのも辛い黒歴史だ、転生して5年で。
喜びを噛み締めながらも自分のステータスを見ている俺に、しびれを切らすガルス。
「おいっ!どうだったんだって聞いてんだ、さっさと答えやがれ!」
「で、ミリスさん、何か、というと何のことでしょう?」
なんか聞こえた気もするけど・・・大丈夫だ、問題ない。
「はい、見ていただきたいのは犯罪履歴の欄なんですが・・・」
「おい、お前ら。」
「いえ、何も書かれていませんね。」
?気のせいかさっきからなんか野太いオッサンの声が聞こえる。
「本当ですか!?おかしいですね、あなたは確かに、あの場で・・・・」
ミリスさんが言いよどんだのを見て、ガルスが割り込んでくる。
「まあどっちにしてもギルドカード作っちまえ。」
ガルスの一言にミリスさんは唖然とする。
「ま、まさかそんな。」
「どうしたんですか、ミリスさん。」
「すいません、ギルドマスターの発言に、多少なりとも頭を使われた感じがしまして。」
「ああ、なるほど、そういうことですか。」
ミリスさんの驚きの表情に合点がいく。
「お、お前らなぁ・・・シクシク」
「ではそうと決まればさっそく作りましょう。」
そういってミリスさんは近くにあった箪笥の中から一枚のプレートを取り出す。
「ルシウス様、ここに1滴、血を垂らしてください。」
「はい。」
そういって俺はサーベルを軽く抜いて、自分の指に傷をつけ、言われた通りに血を垂らす。
「ありがとうございます。これでこのカードにはあなたの魔力が記憶されました。」
そういって渡されたカードにはさっき水晶に浮かび上がってきたものと同じことが表示されていた。
「ルシウス様、失礼を承知で申しますが、そのカードを我々に見せてください。」
ミリスさんはとても申し訳なさそうにしている。そんな人の頼みを断れるわけもなく。
「ええ、別に構いません。」
そういってカードを渡した瞬間に、ミリスさんの表情は一変する。
「な、なんですか、これは~~~!!!??」
ええ!?何、俺、何かやらかしたあ~?
ルシウスの災難は続く
最後まで読んでくださってありがとうございます。
実は只今、もう一作投稿中でして、どっちも少し投稿が遅れます。読者の皆様、本当に申し訳ないです。