three years ago
調子に乗って今回シリアスを入れてみました。
初戦闘シーンです。
初惨殺描写です。
あと今回からは当分物語の舞台が三年前になります。
俺は今まさにギルドに足を踏み入れようとしていた。
そんな俺に、どこかから聞こえてくる幻聴。
「ルゥーーーシィーーーーーー」
あれ、おかしい、なんでか俺の愛称を大声で馬鹿みたいに呼ぶ声が聞こえる。
いや、気のせいだ、愛称で呼んでくる奴に覚えはあるが、そいつとは、もう数千回はそのことについて話し合いをしている。
まさか、あいつのわけが・・・・・
「ゴボフゥッ!!」
何かが俺に時速百キロメートルの速度で突っ込んでくる。
突然俺の腹に走る激痛、そして衝撃。
俺はそのまま数メートル吹っ飛んでいく。
「ルーシィー、会いたかった、会いたかったよぉ~」
俺に突っ込んできた物体、もといエリナは世迷いごとをのたまう。
対する俺は突っ込んでしまった民家の人に誠意を込めた謝罪をし、エリナの方へ向き直る。
「なあ、エリナ?俺はさあ、何回も言ったよね、いくら変装しているとはいえばれたら不味いから愛称でも呼ぶなって、言ったよね?」
右手の関節をボキボキ言わせながら満面の笑みで問いただす。
「え?そうだっけ?てかさ、怖いよルーシィ、まさかとは思うけどその闘気を纏った体でアレしないよね?」
そういって顔を青ざめさせるエリナ。
「あははは、ひどいなエリナ、いくらなんでも闘気を纏った状態ではしないさ、纏った状態では、ね。」
「ですよねえー、そんな、アイアンクロ―をこんなかわいい私にするはずが・・・あれ?闘気を纏った状態では?」
『ピキピキ』
エリナは頭蓋骨からしてはいけない音を立て、悶絶する。
「ぴぎゃあああアアーーーー!」
「おいおい、大袈裟だなあ、ちょっと強めにしただけだぞ?それだけでこんなに悶絶するかね。」
「ひどい、頭の形変わっちゃうよ!」
そういいながらポカポカと俺のことを軽く小突いてくる。
『主よ、なんというか、鬼畜だな。』
愛刀にまで突っ込まれた。
(ふうー、まったくなんでこんなことになっち、まったのかねえ。)
そう、こいつらとの付き合いが始まったのは三年前、あの時からだったか。
~三年前、クストレ国内・ギルドにて~
めんどくさい。
実にめんどくさい。
俺は今、4人のおっさんに絡まれている。
なぜからまれているかというと、まあ、おっさんの言い分はこうだ。
『おい、クソガキ、ここはなぁ、てめえみてぇ~な甘ちゃんの来るとこじゃあねえんだよ。』
『そうだよ、お前なめてんのか?ガキは家でママの乳でもなめてろや。』
というので少しイラッとした顔をしたら・・
『あ?なんだ手前、んな面して、文句あるんだったらいえよ。』
っていうからお言葉に甘えて。
「だったらいってやるよ、てめえらの方がなめテンじゃねえのかよ、つかてめえらの方こそ、ぶっさいくな嫁さんの乳でも舐めてろよ。」
って言ったらなんかおっさんらがキレだして・・・
『ああ?!上等だよ、ちょっと表出ろよガキ。』
『きっちりと締めてやるからよぉ。』
こ、これは、テンプレってやつか、きっとそうだよな。
俺はただギルドに登録しようとお姉さんに話しかけてただけだ。
そこに絡んでくる微妙な実力の冒険者。
なんか感動!
「そりゃこっちのセリフだな。」
そうして俺は男たちとギルド裏の闘技場へとむかっていった。
どうでもいいことだけど、表でろって言われてるのに闘技場があるのはギルドの裏変わって、これいかに。
さてと。
今おれの目の前にはなんか喧嘩を売ってきたおっさんらがいるんだがどうしよう。
え?聞くまでもなくねえって?
ですよねえ。
「じゃあさ、おっさん達が1分持ったらあんたらの勝ちでいいよ。」
『おいガキ、手前あんまし調子のんな、おいたがすぎるってもんだぞ。』
「へえ、ただの脳筋馬鹿かと思ったら、そこそこ頭働くんだね。」
『死ぬぞ?』
「何?1分じゃ負けそうで怖いのおっさん?」
いい感じに挑発に乗ってくれるな。単純で助かるよねえまったく。
『わかった、おまえがそこまで言うんだったらやってやる、でもな・・・』
あり、なんか急に物わかりのいいダンディなおっさんでてきたよ。
『死んでも後悔すんなよ?』
(ぞくっ!!)
その言葉を聞き、俺の背中を電撃がほとばしる。
それと同時に俺の中に渇きが生まれる。
この世界に来るまでずっと抑え込んできた途轍もない衝動。
一度でもそれに駆られてしまえば歯止めは効かない、いや効かなかった。転生する前の俺は。
その正体は誰しもの心の奥に潜んでいるもの、破壊衝動。
壊してしまいたい。単純で、原始的なそれは、いとも容易く俺の精神を蝕む。
俺はそれを必死に抑え込みながら、問う。
「おっさん、一つ聞くぞ。」
『なんだ。』
「その言葉は、あんたの覚悟と、そう受け取っていいんだよな。」
『ガキが粋がってねえでとっととかかってこい。』
何かがきれる感覚があった。
僕の問いに答えが返ってきた刹那、一閃が走ると相手の首は、真紅の花を咲かせながら、宙を舞う。
『え?』
集まって賭けやらをしていた野次馬たちの顔は一気に歪んでいく。
その視線はたった一人の少年へと向けられる。
一振りのサーベルを持ったその少年の表情は、見るものすべての口を無意識のうちに開かせ、こう呟かせる。
『狂っている』と。
死神さえもその狂気には勝るまい。
この場にいたものは誰しもそう思った。
そして、少年の蹂躙は続く。
(愉しい、楽しい。)
その二つだけが今の少年を支配する。
目の前で起きた光景を受け入れきれず、呆けている獲物の首を、また刈る。
その光景を目にし、現実に引き戻され、レベルの違いを知った獲物は必死に逃亡しようとする。
それを逃すほど、少年の狂気は甘くない。
たとえ戦意を喪失していようがしていまいが、今の彼には関係がない。
ただひたすらに、目の前の獲物を、命を、首を刈り取ることを愉しむ。
誰の目にも追えない速度で二匹目の獲物を追い詰めた少年は、無慈悲に、冷酷にその刃を振るう。
しかしその刃は獲物の首を半ば切り裂き、何者かによって止められる。
「そこまでにしておきなよ。戻れなくなる。」
その声は幼い少女のような声でありながらも、どこか威厳を感じさせるものだった。
「これ以上は過剰防衛になる。」
野太い男の声を聴きやっと天地海人の理性に、ブレーキがかかり、昂ぶっていた感情も収まり始める。
あたり一帯を覆ったいた狂気も消え去る。
「誰だあんたら。」
なぜか体に倦怠感を感じる俺は、少しけだるそうに聞く。
「お前、こんな公共の施設であんなことしといて、よくそんなふてぶてしい態度がとれるな。
まあいい、今はそんなことよりもお前に話がある、自己紹介もそこでしてやっからついてこい。」
男はそういってギルドの中へと消えていく。
「おい、何をぼさっとしている、早くこんか小僧。」
明らかに俺よりも年下の少女に小突かれる。
「は、おい、ちょっと待て、どういうことだよ。」
突然のことに理解が追い付かず、弁明を求めるものの返事は帰ってこない。
そうこうしている間に少女もギルドの中に入ってゆく。
「なんなんだよ~、面倒事の予感100パーセントだな。」
理解不能のことに多少腹を立たせながらも俺は言われた通りにギルドの中に入っていく。
~時空の狭間~
この時、この言葉を無視していれば、彼の人生は変わり。
喜びは少なくとも、憂いはなく。
楽しみは少なくとも、悲しみのない。
そんな人生になっていたのかもしれない。
これからは、彼の一挙一動が世界を滅ぼす可能性を孕んでくる。
でも、これでようやくだよ、ようやくまた君とともにいられる。
世界の外側に広がる闇の中で、一人の少年が、そっとひとりごちた。
いや~、なんていうんでしょうか、戦闘シーンって書いてると興奮しますね。
…出来栄えはともかく。