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(4) 汚く笑う子
嘘吐きだと笑うかい?
「…どうしたんだい、坊や。
ここは駄菓子屋じゃないよ。」
いつも通り迷い込んできた人間を追い返そうとする時。チラッと少年の顔を見ると女は目を見開いた。
「お姉さん。俺の笑い方、汚いの?」
純粋に、悲しそうに、だけど笑って。
女は少年を見ると虚しかった。
自分に嘘を吐いているようで。
「君は不思議だ。
悲しいのに笑うんだ、苦しいのに笑うんだ。
楽しい時すらも、嘘の笑顔を作るんだ。」
少年の驚く顔を見た女はふっと微笑みこう言った。
「汚くなんかないよ、寧ろ君は優しくて勇敢なんだ。
君は感情を表に出すのが苦手なだけ。
少し、素直に思ったことを言ってごらん。」
少年は子供特有のイントネーションで、
「汚くない?」
女は諭すように、教えるように、そう思わせるように。 手元で編んでいた編み物をやめて、
「あぁ、汚くなんかないよ。」
少年は優しく笑った。
いつも以上に口角を上げて。
いつも以上に涙を浮かべて。
いつも以上に手をぎゅっと掴んで。
君は少し臆病なだけだよ。




