第2話
こんにちは!鈴宮です!第1話を読んでくださった方々ありがとうございます!とても嬉しい限りです^^
思ってた以上に多くの方に読んでいただけて本当に驚きました、鈴宮の作品は短いけど刺さる人に刺したいって思いで作っております!今回の第2話もぜひお楽しみください!
冬の空気は、放課後になると急に鋭くなる。
昇降口を出ると、白い息がこぼれた。
校門の近くに、人影がひとつ。
見慣れた後ろ姿だった。
帰ったはずの時間なのに、そこにいる。
気づかないふりをして通り過ぎようとする。
「……ちょっと」
名前を呼ばれたわけでもないのに、足が止まった。
振り向くと、彼女はスマホを下ろす。
画面は暗いままだ。
「最近、よくいるよね」
横に並ぶでもなく、正面に立つでもなく、
微妙な距離のまま、そう言った。
「たまたまだよ」
できるだけ軽く言ったつもりだった。
彼女はすぐには何も返さない。
視線だけが、少し長い。
「ふーん」
短い相槌。
風が吹き、マフラーの端が揺れた。
「別に、悪いって言ってるわけじゃないよ」
その言い方が、余計に心拍を速くさせる。
悪くないなら、どうして聞くんだ。
そんな言葉は飲み込んだ。
彼女が一歩だけ近づく。
「ただ、気になっただけ」
気になった。
その言葉が、思っていたより重い。
「……そっか」
何に対しての相槌なのか、自分でもわからない。
彼女は少し目を細める。
「じゃあさ」
間が落ちる。
遠くで自転車のブレーキ音が鳴った。
「明日もいるの?」
問い詰める声ではなかった。
選択を渡すみたいな言い方だった。
逃げるなら、今だと思った。
たまたまなんだと言い張れば、それで終わる。
明日からは、また遠くで見るだけに戻れる。
それはきっと、楽だ。
関わらなければ、壊すこともない。
でも。
明日いなければ、何も始まらない。
いると答えた瞬間、
何かが少しだけ動き出してしまう。
それが怖いのか、嬉しいのか、わからない。
喉が乾く。
視線を逸らす。
白い息だけがこぼれた。
言葉は出なかった。
代わりに、小さく頷いた。
自分でもわからないくらい、ほんのわずかに。
彼女はそれを見て、息を吐く。
「そっか」
今度のそれは、やわらかい。
「じゃあ、また明日ね」
背を向けて歩き出す。
約束なんて、していない。
時間も、場所も、決めていない。
それでも。
明日も、そこにいるつもりだった。
冬の空は、何も言わなかった。




