6ナイルの好きな人
「クリスタ。シルベスタはいつもああなのですか?」
ナイルは信じられないものを見たとばかりに問いただす。
「ええ、あそこにいるフェリオって男にいかれてるの。ばかな事はやめろって言ってるんだけど…全くそんなつもりはないみたい」
「そうなの。ナイル様からも言ってやって下さい。彼ほんとに嫌な奴であの女の子達もどうかしてるわよ!」
そこに現れたのはクリスタの婚約者のアルナンド第2王子とリオナの婚約者のレックスだった。
アルナンドはすぐにクリスタの隣に座った。レックスはリオナの隣に。これもいつもの光景だ。
「あれ?ナイルじゃないか。そう言えば留学するって言ってたけど、今日だったのか?」
アルナンドは昨年アルロード国に留学していたのでナイルとは顔見知りだった。
「ああ、そう言えばアルナンド殿下もこの学園だったんですね。僕、今日からこの学園の生徒です。よろしくお願いします」
「ああ、ナイルよろしく。クリスタは俺の婚約者だ。お前ら同じクラスか?おい、ナイル誘惑するなよ。クリスタは俺の「わかっています。そんなめんどくさい事などしませんよ。安心して下さい。僕には好きな女性がいるんです。そのためにここに…」おい、お前今なんて言った?」
「ナイル殿下。この学園に好きな子がいるんですか?」レックスもすかさず聞いた。
「誰とは言えません。そんな事を言えば相手が迷惑するじゃないですか。いいですか、うっかり僕が言ったのも悪かったですが、絶対ここだけの秘密にして下さい。頼みますよ」
「それを言うなら名前を教えろ!」
アルナンドは立ち上がるとナイルの横に座った。腕を顎に当ててナイルをじっと見据える。
「困りました。絶対秘密に出来ますか?クリスタさんもリオナさんも?」
「「「「ええ、絶対に出来ます!」」」」
「仕方ありませんね…僕が好きなのはシルベスタです。彼女とは数か月前彼女の家族がアルロード国に来た時に知って…」
「シルベスタはその事を知ってるんですか?」
「いえ、僕は直接彼女に会った訳ではありませんから‥父、国王の所に家族で謁見に来た時に見かけて…」
「もしかして一目惚れ?」
ナイルは耳まで真っ赤になって俯く。
「あなたなら問題ないんじゃない?シルベスタの目を覚ましてやってよ」
ナイルがちらりとシルベスタの方を見やる。シルベスタはフェリオ様をじっと見つめてその横にも同じ眼差しの令嬢が数人。
「あのような状態の彼女をですか?そんな方法があるとは思えませんが…まさか彼女は恋をしているとは考えてもいませんでしたので」
ナイルはぐったりとうなだれる。
「私達が協力するわ。まずはデートね」クリスタとリオナは任せてとばかりに張り切る。
「無理ですよ…」