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44 学びを活かす


 決断を求めて、チラッとスタンを見上げるが、ゆったり首を振られた。

 なんでこういうやつって地味に需要があるのかしら。遺憾の意。


「お互い打ち解けたことだし、そろそろ仕事の話をしようか。メイジーはエヴァが帰ってきたらティールームから出ないよう側にいてくれる?」


 そういえばそろそろエヴァが帰って来る時間だわ。

 ロドニーの滞在時間は私と遭遇したから、いつもより時間が伸びたのは明白。エヴァが帰ってきてロドニーと遭遇するのはよろしくない。


「わかったわ。万が一遭遇しても近付かせないから」

「酷い」


 必要な処置でしょ。

 しょんぼりしたロドニーを置いて、笑顔のスタンと呆れ顔のモーリスに見送られながら応接室を出る。

 部屋の外には誰も居ない。道はわかるので、特に困ることなく歩き出した。


 エヴァが帰ってきたらティールーム。それは日課になってしまったエヴァからの報告会。ピーター様と今日はどんなやりとりをしたのか、頬を染めながら可愛いエヴァが頑張って説明するお茶会。

 勿論宿題というか、淑女教育のあれやこれやもあるけれど、学園から帰ってきたら小休憩を挟む。この時にロドニーが帰ったと聞くまで話を長引かせれば良いってことよね。


 一人頷きながら角を曲がる。

 目的地はティールーム…ではなく、書斎。


 エヴァはまだ帰ってきていない。そろそろだけど、まだ帰っていない。

 だから問題ないわ。


 文字の勉強を始めてから、いつでも利用して良いと言われた本の山。迷わずそこに足を踏み入れた。

 簡単な言葉しかわからなかった文字も、エヴァのついでに受けた授業のおかげで今では専門用語以外なら読める。

 目的の本を探して背表紙を眺めながら、立ち止まることなく歩き続けた。

 そして見つけた本を本棚から引き出す。

 その場で開き、項目を確認し。


(あった)


 見つけた。


 貴族図鑑に載っている家紋。

 弓を背負った鷲のエンブレム。

 エフィンジャー公爵家。


(あった)


 見つけた。


(間違いない)


 見つけたわ。



 私の敵。



 臙脂色の目をギラリと光らせ、私は弓を背負った鷲を睨みつけた。


 その日の夜。

 私は一人、客室から抜け出した。



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