表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/156

31 ブチッとプチッ


 勿論豪奢に咲き誇るお貴族様が好きそうな花もたくさんあるわ。私が名前を知らない花がたくさん咲いている。

 だけど知っている花もあったの。それが、呪いの儀式に使用できる花だった。


 呪いの儀式に必要なのは【福音】だけじゃない。儀式には、媒体となる何かが必要となる。


 想像しやすいのは魔女の儀式だろう。薬草や鉱物、動物などを大鍋に入れて混ぜるイメージ。アレも呪いの儀式の一例だ。

 呪いは場を整えて呪いを送るもの。身につけて発動するもの。口にして発動するものなどたくさんの種類がある。飲むなら薬草が多く使われるし、触れるなら宝石などの鉱物が利用される事が多い。


 一応調べたから知っているわ。目的のために本を読んだもの。文字は簡単なモノなら読めるからなんとかなったわ。

 そう、今は手元に無いけど、田舎町から王都に出てくる際、一緒に持って来た荷物に入っている本。


【呪いの儀式初級編】


 うん、簡単な文字で簡単な儀式内容が書かれていたわ。

 因みにその本は田舎町に現れた旅の魔女、キルケの落とし物。落とし物に気付いた時にはもう旅立っていたから返却のしようがなかった。仕方がないから我が家で預かっていたのよね。まさかこんな風に役立つとは思わなかったわ。


 ところで初級編ってことは上級編もあるわよね。文字が難しくなること間違いなしだから、文字の授業は積極的にしっかり受けている。安全に確実に相手を苦しめる呪いが知りたいから、いずれ上級編にも目を通したいわ。まったく、こんな風に利用されるから呪いは取り締まられているのね。警備団も騎士団も大変ね!


 因みに私がしたいのは場を整えて呪いを送る奴よ! それって効果が実感できなくて地味だけど、他の呪いって直接本人に渡さないといけないから成功率が低いのよ。


 とにかくそういうわけで、私は中庭に出て目的の花を失敬している。

 …ちゃんと庭師に許可は取ったわよ! 花摘んでいい? って聞いたわ!

 渋ることなく、快諾されたことがちょっと不思議。


 もしかして呪いに使う花って知らないのかしら。でも、庭師がそんなはずないわよね。

 よく似ているけど実は違う花だとか? そのあたりは流石に詳しくないから自信がないわ。私はこれが呪いに使える草花だと信じて集めるしかない。

 だとしたら、なんでそんな薬草を中心に集めて居るのか疑問が出るけど…細かいことは気にしちゃ駄目よ。何よりこれから、活用させて貰うんだから!


 …ところで根っこからブチッと抜くべき? 途中からプチって折るべき?

 どっちが正しいのかしら…草むしりしかしたことがないわ。つまり根っこから引っこ抜くのが正しい? 意外と根を張っているわ。

 …え、何処まで続くのこれ。もしかして間違ってる? プチって千切る方が正しいの?

 私は悩みながら目的の花を根っこから引っ張る。片手では難しかったので、引っこ抜いた花はしゃがんだ足下に積み重ねてブチブチ引っ張った。


 ワンピースの裾が土で汚れる。しゃがみ込んでいるから問答無用で汚れる。こうなるとわかっていたから、ドレスは絶対着て来られなかった。

 弁償しろっていわれたら破産するもの。無理よ!


 三輪ほど積み上げ…ふと、私の横に摘んでいた花が減っていることに気付いた。一輪しかない。

 どういうこと。

 その残った一輪が、引っ張られる。するすると後ろに引っ張られる。私はその動きを視線で追って…。


 縦縞模様の毛並みが目に入った。


 …なんかいる。

 なんか、小動物がいる。


 頬袋をパンパンにしたリスが、私が引っこ抜いた花をもぐもぐ咀嚼していた。



マスコット登場


『宣伝』

プティルブックス様より

事故チューだったのに!

発売中! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ