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30 わりと早い段階から狙っていました


 あれから、エヴァはお弁当作りに挑戦中。


 熱々の肉団子を提供する事は出来ないけど、冷めても美味しいのが肉団子。

 庶民の料理だけど、ピーター様もお気に召したらしい。そうね、挽肉だけど丸めたから肉を食べている! って気になるしね。


 エヴァは丸める作業が気に入ったらしく、パン作りにも貢献していた。

 そういえば、パンもこねて丸めて焼くわね…発酵の時間が勿体なくて選択肢から除外したけど、お弁当なんだから主食を作ってもよかったわ。ちょっと思い至らなかった。


 夜の内に下準備して、朝早起きしてお弁当を作り、うきうきと登校していく。

 交流は順調なようで、二人は学園でこっそり付き合いを続けているみたい。


 私はエヴァのお裾分けという恩恵に与り、エヴァの焼いたパンを頂いている。妹の手料理を見逃さないスタンも食事時には現れて、エヴァの用意したちょっと不格好なパンを嬉しそうに食べている。

 気持ちはわかるわよ。どんどん形が整っていく様子とか、見ていて楽しいわよね。


 でも、でもね。


 ねえ、ねえ、それだけの期間庶民の私がお客様としてお貴族様のお屋敷にいるの、流石におかしくない!?

 日々お貴族様の料理の腕が上達していく様子を見守る庶民って何様!?

 おかしいわよね!


 なにより、呪えないじゃない!!

 捕まっていないのに、本来の目的が達成出来ないじゃない!!


 それともこれ捕まっているのと同じ状態なのかしら!? こんな豪華な檻が存在するって!? 馬鹿な! 貴族牢だってもっと質素なはずよ!!


 しかも最初はしずしずとお世話していただけの使用人達が、エヴァが毎日楽しそうにお料理する様子を見てから私へのあたりが柔らかなのよ。どういうこと? 逆じゃない? 普通逆じゃない? お嬢様が今日も楽しそうで何よりってことなの? おかしくない? 私がおかしいの? 私が庶民だから受け取り方違うのかしら!?


 …もうそろそろ、いいんじゃないかしら。

 エヴァとピーター様も順調みたいだし、毎回私がお話を聞かなくたってなんとかなりそうよね。

 それに、文字の勉強をさせて貰って、このお屋敷にある書斎を見せて貰った。

 私が一人で読めるものは少なかったけど…とても有意義な時間が過ごせたわ。


 ええ、おかげさまで。


 だからこそ、行動に移す時が来た。

 着せられたドレスから、唯一私の私物であるアッシュグレイのワンピースに着替えて庭に出た。所々色落ちしてちょっとまだら。首元のボタンを無くしちゃったからクルミの殻で代用している、とっても庶民的なワンピースで。

 私の目的は庭を愛でることじゃない。

 なんかこう、いつ見ても綺麗に整えられた庭だけど、物語性のある生け垣や花の位置に目を奪われながら、気付いたことがあった。

 そう、実は早い段階で気付いていたわ。


 ここに植えられているの、呪いに使われる薬草が多いって。



『宣伝』

プティルブックス様より

事故チューだったのに!

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