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22 二回目の詐欺被害


 女に二言はないわ。

 ないけど。


 これ絶対詐欺だと思うのよ。


 エヴァの護衛が帰ってくるまで話し相手になるって約束しちゃったけど、その護衛がいつ帰ってくるかわからないなんて聞いてないのよ。つまり私、いつ帰れるのかわからないってことじゃない。


 詐欺だわ。

 ここに連れて来られたいきさつも合わせて、詐欺だと思うの。


 こんな詐欺に遭って、たっぷり贅沢した後が怖いわ。後から滞在費を請求されても払えないから。もし要求されたら、ここぞとばかりに暴れましょう。


 …逃走も考えたけど、こいつら私の住んでいるところ知っているのよね。家賃とか、日持ちしない食材とか、少ない財産があるから一度帰らせろって言ったら数時間後に日持ちしない食材だけ処分して来たって報告されたのよ。

 なにしてんのよ。

 もし何か盗まれたような形跡があれば責任を取るなんて誓約書付きで報告された時の私の心境、誰ならわかるかしら。

 なにしてんのよ、何処に全力出しているのよ。と言うか私の家をどうして知っているのよ。

 だから、逃げられないって察したわ。エヴァが午前中は通学で不在だから、その間にでも逃走しようと思ったのに先手を打たれた感じ。


 逃げないって言ったじゃないかって? 詰め所に連れられるならともかく、金持ちの道楽に付き合う謂れはないわ。エヴァは年頃の少女らしい話を私としたいだけみたいだけど、その背後にいるスタンが怪しくて仕方がないのよ。


 そもそも日がな一日何もしないとか、贅沢が過ぎる。お風呂とか、綺麗な服を着るとか、豪華な食べ物とかより、何もしないでぼうっとしているのが贅沢すぎるわ。怠けるのに慣れたらどうしてくれるのよ。こっちは朝から晩まで働かないと生きていけない階級の人間よ。

 かといって、この屋敷の使用人と同じことをするわけにもいかない。それはそれで使用人達の仕事だもの。彼らはそれで給金を貰っているわけだから、暇だからって私がその仕事を取るわけにはいかないのよ。手が足りていないほど忙しいならともかく、そうでもないみたいだし。


 この屋敷、私にとってはお城みたいな規模だけど、エヴァ曰く小さな屋敷に分類されるらしい。だから使用人は最低限。パーティーを開いたりする分には人手が足りないけど、日常生活では支障がないくらいの人手は雇っているから問題ないらしいわ。


 …それより気になるのは、この屋敷でエヴァ達の両親を見ないことね。


 朝、昼、夜と私は大きな部屋で食事を取る。朝はスタンとエヴァの三人で。昼は一人。夜はエヴァと二人で。スタンは割と忙しいらしく、屋敷にいないことの方が多いと気付いた。

 そこに、彼らの両親が加わることはない。影も形もないわ。


 …庶民な私の顔が見たくないだけなのか、存在しないのか、多忙でそもそも顔を滅多に合わせないのか…気になるところだけど、詮索するべきじゃないわよね。私は走り出したら止まらないけど、気遣う心が無いわけじゃないんだから。

 お貴族様として、この屋敷がどういった立場に該当するのかさっぱりだけど、庶民の私ができることなんかないでしょ。邪魔する未来しか見えないわ。


 …だからって何もしないでいるのは暇よ! こんな贅沢望んでないわ!



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