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17 贅沢なおもてなし


 そんなやり取りをしたあと、私はまたたくさんの人に囲まれてあちこち洗われた。一回では洗いきれないってこと!? そんなに汚い!? 庶民が毎日お風呂には入れると思わないでくれない!?

 全身もみくちゃにされてテカテカした液体を塗られまたもみくちゃにされ、あちこち測られて朝とは違うドレスを着せられ…気付けばお日様は大移動。お昼をあっという間に過ぎていた。

 授業に向かったエヴァが帰ってきていて。

 私達は向き合うように座ってお茶をしている。


 …なんで私、まだここにいるのかしら?

 だって【会いたい】【お礼を言いたい】のミッションは完遂…してなかったわ!

 思い返せば私達、自己紹介しただけだったわ! 夜遅かったし!


 …なるほどエヴァからの【お礼が言いたい】がクリアされていないから、私まだここにいたのね。やっと得心がいったわ。なんで繰り返し洗われたのかは解せないけど、おもてなしだと思えばまあ…お風呂って贅沢だし…。


 …いやおかしいわよ。


 今日だって、エヴァは授業で出て行った。つまり学園へ行っていた。今日は普通に学園で授業があった。

 そこの生徒だと主張していた私を普通に置いていったということは、ちゃんと私が学生ではないって認識しているってことよ。


 つまり、あの時あの場所にいる筈のない人間だってわかっているはず。


 そう、私が不法侵入した素性不明の、不審者だと!


 わかっているのになんでこの子にっこにこで私とお茶しているのかしら?


 この場に、朝と違ってスタンはいない。モーリスもいない。いるのは傅く使用人達。その使用人達も距離が遠く、私の方がエヴァに近い。私がエヴァに何かしようとしたら、止める手も届かない。届く前に何かしらできちゃう距離に私がいる。


 だというのに、にこにこ笑顔なのは何故。このお嬢様、思っているより肝が太いのかしら。


 視線を合わせれば、ぱっと花が綻ぶように笑った。

 …何その可愛い笑顔。四日前は主に泣き顔だったから、笑顔なの凄く可愛く見えるわ。え、可愛い。本当にスタンの妹なの? それこそ詐欺じゃない?


「本日は、お客様を大変お待たせして、申し訳ありませんでした。メイジーさんが寛げるよう指示を出しましたが、不自由はありませんでしたか」

「寛ぐ…なるほどお風呂」


 それもなんか違う気がするけど、そこで繋がるのね。もみくちゃに揉まれて身体の凝りが解れた気もするし、寛いだと言えばその通りよね。


「極楽に連れて行かれたわ」


 戸惑いが大きかったけど、ものすごく夢心地だったわ。気持ちよかった。


「それは良かったです」

「お貴族様のお風呂っていつもああなの? 時間掛からない?」

「アレはマッサージです。特別な日に身体を整えるため、時々するんですよ。毎日は流石に贅沢ですね」

「お貴族様が時々する贅沢を庶民にさせないでくれる!? 戻れなくなったらどうするのよ!」


 正直昨夜のお布団ふっかふかも、これから硬いベッドに戻ると思えば耐えられないわ。贅沢を覚えさせないで頂戴!



明日の投稿から、投稿時間を12:00→19:00に変更致します。


『宣伝』

プティルブックス様より

事故チューだったのに!

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