表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/156

140 婚約より前にすべきこと


 こんな当然のことで驚かれるなんて不安になってくる。

 それでも言いたいことがたくさんある。

 まず第一に。


「そもそも結婚相手としてスタンを見たことがないわ!」

「わあ、ばっさり」

「正直ムカつくやつって印象が何より強いわ!」

「だろうねぇ」


 そうよねこいつわかっていてあんなだったわよねむしろなんで私に恋してんの!? 私こいつに優しくした記憶なんかないわよ!

 いつだって私には余裕がなくて、喧嘩腰で対応していたはずなのに。なんでそんな愛を語るくらい想われているの。私ってば何をしたの。


「色々余裕がなかったからちょっとドキとかしたのは気の迷いだったかもだし!」

「ドキとかしたんだ?」

「気の迷いよ嬉しそうにするな!」


 そうよムッツリモーリスとセクハラロドニーと相対的にみてまともだったスタンに惑わされただけよ!


「ちゃんとお付き合いしないと生涯添い遂げられるか判断できないでしょ! それに婚約とかしたら合わないと思っても別れられないじゃない。貴族もっとよく考えて!」


 貴族は個人としてではなく家同士の契約の面が強いんでしょうけど、だからこそ相性をしっかり確認すべきじゃない。目も当てられない程相性が悪かったらどうするつもりなのよ。

 そう簡単に別れられないんだから、もっとよく考えて婚約しなさいよ!


 私の叫びに、スタンは思わずというように声を上げて笑った。


「は、ははっ! 僕、振られるかもしれないんだ!?」

「当たり前でしょ何ふざけたこと言ってんの。寝言は寝て言いなさいよ」

「君以外王妃になれる人は居ないのに?」

「アンタの都合は私の都合じゃないの。甘えないで」


 知るかそんなの。

 欲しいって言われて簡単にあげられるものじゃないのよ。愛とか恋とか。

 いらないって思っていても、芽生えるものは芽生える。たとえ咲いたとしても、その花を愛でるか贈るか捨てるかは、本人が決めることで第三者が決めることじゃない。

 求められたからって、手軽に摘んで贈れるものじゃない。摘み過ぎたら花畑だって貧相なことになるから思うがまま行動しちゃだめよって、花屋のマージが言っていたわ!


 人生経験豊富な彼らの言葉を聞いて育った私は、貴族社会に順応するなんて無理だわ。

 だって私は、幸せになれと願われてたくさん大人達から言葉を贈られて育った、自由な田舎町の娘なんだから!

 貴族の絡め取るような言動に、流されてなるものですか!


「愛が欲しいならこんな逃げ道をなくすようなことをしないで正面から来なさい。私は納得できないこと、そのままにしないわ」


 搦め手が有効な相手だったら、多少納得できなくても愛に生きるような人なら、スタンの言葉に頷いたでしょうね。それか、私しかいないならと覚悟を決める人も居るかもしれない。

 私は違うわよ。

 こいつは詐欺師だから、しつこいくらい慎重に見極めないと泣きを見るんだから!


「逃げ道を潰さないと、メイジーは飛んで逃げてしまいそうなのに」

「逃げられるようなことしてんじゃないわよ馬鹿なの?」


 嫌がられるから逃げられるのよ。嫌がられることをするからだめなの。おわかり?

 胸ぐらを掴まれたまま、スタンは愉快そうに笑う。


「メイジーが平穏を望んでも、僕はそれを与えてあげられない。あの別荘に君を保護したみたいに、どこにも行かないよう囲ってしまうかもしれないよ」

「やってみなさい受けて立つわよ。アンタが私をねじ曲げるなら、私だって持てる力全て使って抵抗してやる」


 スタンが公爵みたいに私を閉じ込めるというのなら、徹底抗戦する。


「不敬罪って言われてもぶん殴ってやるわ。それもできないってなったら…」


 それもできないくらい暴走するなら。


「私が私であるために、絶対呪ってやるからな!」


 愛のキスなんて期待しないで。そんなのでしか証明できない愛とかいらないわ。

 それに話を聞かない男に贈れるものなんて、口付けじゃなくて平手か呪いくらいよ。

 宣言した私を見上げて、スタンは笑う。


「それでこそ君だ」


 本当に嬉しそうに、笑った。











「じゃあまずはお付き合いということでよろしくね」

「しょうがないから見極めてやるわ」

「お前らなんでそれで通じ合うの?」


 モーリス煩い。



もっと殴れ! 踏むんだ!! って思いながらも、スタンがちゃんと謝ったので拳を下ろしたメイジー。

今後の対応によりぶん殴るし呪う気満々。キス? しないわよ!!!!!!!!!!!!


メイジーとスタンは おつきあい を はじめた。


婚約はしていないが、婚約目指してスタンがアップを開始。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
だから、まずは、お友達になるところからだろー!! メイジー!! クソ野郎駄目男に惚れる遺伝をそんなところで発揮しちゃだめだよー!!!
[気になる点] スタンとメイジーがお付き合いを始める…って事はエヴァやお母さんに報告だー!? 話を聞いた二人の反応は如何に!? そして、母親と父親はどうなったのか…(;゜д゜)ゴクリ…
[良い点] タイトルコール キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! ドアマット&スパダリものって、「お友達から相性確認」プロセスは吹っ飛ばされること多いもんね。 でも大事。メイジー賢い。 [気になる点] …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ