表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/156

猫の日番外編

猫の日なので急いで書きました。

夜会前の隙間時間のお話。


「大変です! メイジーがまた私の代わりに呪われて…お猫様になってしまわれました!」

「わあご都合主義」


 エヴァの細腕に抱っこされている一匹の猫。

 ピンクゴールドの毛並みに臙脂色の目。まさしくメイジーを猫にしたような特徴。


「…猫? 山猫か?」

「山猫に似ているねぇ」

「フシャーッ!!」


 興味本位で手を伸ばせば鋭い爪で引っかかれそうになる。

 私に触るんじゃないわよ!!! と言葉が話せなくても怒鳴っているのが想像できる。

 エヴァに大人しく抱かれているが、スタンとモーリスには牙を剥き出しにして威嚇している。

 解釈一致。

 スタンは一人で深く頷いた。


「呪いの詳細は?」

「時間が経過すれば解けるタイプだと説明書きが…」

「なんだその親切設計」

「教えてくれるなんて親切だね。どれくらいの時間が必要なのかは書いていないみたいだけど」

「ブミャー! ビミャー! シャァアアアアッ!!!」

「そうだね、親切にするなら最後まで親切にして欲しいね。中途半端は対処に困る」

「ミャゴー!!」

「心配しなくても今日中には戻るよ。姿を変える呪いは強烈だけど、長時間変える呪いはもっとねっちょり儀式が必要だ」

「お前なんで普通に会話してんの?」


 なんとなくメイジーが訴えそうなことを予想して回答しているだけなので、実際メイジーがなんと言ったのか分からない。わからないがわかっていますよと言う顔で笑った。


「安心してメイジー。ロドニーを呼ぶほどのことじゃない」

「み…」

「あからさまにほっとしたんだが」


 何度も世話になるのはいやなんだろうなぁ。

 呪いを解くために撫で回されるのもいやなんだろう。

 ここぞとばかりに触ってくるからね、あのセクハラ男。


「ねえメイジー、抱っこしてもいいかな」

「シャァッ!!」

「撫でるのも駄目?」

「シャーッ!」

「君を気持ちよくする自信はあるよ」

「ギャシャーッ!!」

「あ」


 興奮したメイジーが目にも留まらぬ速さでスタンの手をたたき落とした。


「おいスタン大丈夫か」


 護衛のモーリスが慌てて間に入ってくる。だけどスタンは心配ないと笑った。


「大丈夫、相手はメイジーだよ」


 言って、叩かれた手を掲げる。引っかかれた痕のない、怪我一つない手を。


「噴火は早いのに思慮深い。爪を出して引っ掻かないで、たたき落としただけだったよ。肉球柔らかいね」

「ニィイイイイイイイ!!」

「表現しにくい音を出すな怖い」

「可愛いじゃないか」


 憤慨したようにシターンシターンッと尻尾がエヴァのドレスを叩いている。ちょっと痛そうだが、お猫様と呼ぶだけあり、エヴァは猫が好きだ。尻尾の感触が嬉しそう。

 スタンも猫は好きだが、あまり懐かれない。一度構うとしつこい所為だとエヴァに怒られたが、きっとメイジーに対してもそれが出てしまっているのだろう。


 スタンは気に入ったらしつこい。

 逃げていた猫が諦めて脱力するほど構い倒す。

 メイジーは人語のわかる猫なのでしっかり対話を試みたが、メイジーなので没交渉だった。

 しかしそれで諦めるスタンではなく。


 猫パンチを食らいながら、しっかり抱っこすることに成功した。


 ちなみに数時間後、ちゃんと元に戻ったメイジーは、エヴァに呪いを送り続ける相手に報復することを改めて誓った。

スタンはしつこい。

しつこい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 通常の3倍のスピードのネコパンチ繰り出してそう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ