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100 知らない天井だ


 ぱかっと目が覚めた。


 思わぬ爽快感。目覚めすっきり。疲れが取れた気がする。


(…私なんで寝たの?)


 記憶が途絶えているのは夜会の夜。馬車へ向かう途中で食いしん坊リスを発見し、抱き上げたところ。

 あの後、誰かに後ろから襲われて…。


(ここどこ)


 目が覚めたら見知らぬ部屋にいた。

 知らない天井だ。絶対知らない。だってなんか絵が描いてある。何この天井。

 天使が描いてある。天井に天上の絵? なんかゴテゴテした天井ね。

 これって成金っぽくてイヤ。スタンの屋敷にはこういうのなかったわ。

 …これ見ながら寝るの? 暗闇にうっすら浮かぶ天使の絵って怖くない? 妙にリアルな天使の絵って怖くない?


 カーテンが閉め切られ部屋は薄暗い。小さな灯りがぼんやり部屋を照らしている。時間的にまだ夜だ。恐らく私が意識を失ってから日付が変わるほどの時間は経過していない。多分深夜。多分。

 立派な寝台の上に寝かされていたけれど、布団の包容力はスタンの屋敷の方が上。上質な布団みたいだけど、あの布団には勝てないわ。


 ゆっくり起き上がれば流れ落ちるピンクゴールドの髪。結われていた髪は解かれて、着ていたドレスも脱がされている。なんか薄くてひらひらした襟ぐりの広い服を着せられていた。


(なんだっけこれ…ネグリジェ、だったかしら。貴族の寝間着)


 一回出されたことがある。布がつやつやしすぎて寝にくかったので、一回しか着ていない。

 膝丈でひらひらした一枚。お貴族様これで寝ていて寒くないの? お布団の包容力で寒さが緩和されている?

 というか誰だ私にこれを着替えさせたのは。


(私が着ていたドレスはどこ。ドレスも宝石も借り物なんだけど…返却しないと弁償することになるじゃない!)


 どこだ。身につけていた戦闘服と武器はどこ。借り物だけど今夜は私のものよ。


 周囲を見渡すが見当たらない。やけに広くて豪華な部屋だ。広すぎて目的のモノが見つからない。思わず舌打ちをした。


(部屋は数歩で目的のモノに届くくらいの狭さが丁度いいわ。どこに何があるかわかりやすいじゃない。こんなに広いとどこを見ればいいかわからないわ)


 ぶっちゃけ客室も広くて困った。収納クローゼットも巨大だし、なんでクローゼットの中に着替えるスペースがあるの? 余白ありすぎじゃない?


(って今はそれ、どうでもいいのよ!)


 余計なことが気になった頭を振って、私は勢いよく動き出した。

 寝台から飛び降りて、周囲を見渡す。広いけれど隠れるほど遮蔽物はない。誰か隠れている様子もなかった。

 真っ先にカーテンの向こう側を確認する。欠けた月が空に浮かび、ぼんやりと見えるのは木の枝。この部屋は二階以上にあるようだ。多分二階。

 一応確認してみるが、やっぱり鍵がかかっている。窓から逃亡はできなさそうだ。


(拘束はされていないけど、無理矢理連れて来られたし何があるかわからないわ…なんかうっすい服に着替えさせられているから、最悪豚貴族に攫われた可能性もあるし)


 貴族にはいろんな奴がいるが、庶民で有名なのは見目麗しい庶民の女を人攫いの如く連れ去っていく豚貴族だ。豚に失礼なほど極悪非道だが、たいていそういうことをする奴は何故か豚に似ている。なんであいつら皆肥え太っているのかしら。


 スタンやロドニーに会って本当にやばい奴は見た目じゃわからない…というか麗しい奴ほど信用ならないこともわかったが、庶民は理不尽な人攫い貴族を豚貴族と呼んでいる。勿論気付かれない範囲で。



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よろしくお願いします!


100話来てしまった…1000文字投稿意外と出来る物だね…予想外の方向に話が流れたりするけれど…!

新たな敵のため、力を貯めています。是非応援でいいねをお願いします。

いやスタンは敵ではないですがね。メイジー的にスタンは今乙女の敵。

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