5話 有限
5話 有限
昼休みが来たな・・・。
男が。
午前の業務中は、空腹を耐えたぞ・・・なかなかこたえた。ちょっと、痩せたかな・・・?
会社の昼休み 。
昼食は、自販機のコーヒーと、ウイダーinゼリー3個だ。結構好きだ。普通の食事は、大変なんだよな・・・魔法ですき焼きとか出てきたら、食べるんだけど・・・ラーメンとか、おにぎりとか・・・。
会社のオフィスの机・・・ではなく、高層ビルの、高層階の1室、景色がよく見える、ガラス窓。もはやインテリアと化した、重量可変式のダンベル。12.5キロ×2。
ああ、このダンベル?ダンベルカールは、大変でね・・・なんだかんだ、ウエイトトレーニングと、ランニングで済むんだよね。鉄アレイで良いと思うよ、もう、重すぎて、捨てるの大変そう・・・。
都会の景色。晴れ。車、人々、電車・・・人工的な、男の好きな景色。いつか、大地震が来るのだろうか・・・。
ああ・・・コーヒー、おいしいな。ボスのブラックアイスコーヒーが、良い・・・。
男の部屋のダンベルと、ほとんど無駄であろう、ダンベルにつける重りに、今日のホコリがつもる。
・・・そうだね、まず、何から話そうか・・・。
ファイティングロード製のダンベル・・・ズームイン、黒一色までズームインして、ズームアウト・・・男の、メガネの、縁の、黒だった。
・・・有限、話していいかな?
男は、今日の話題を決定した。
・・・このエクスカリボルグ、有限なんだよ、ちょっと、悲しいんだけど・・・人間的だよね。
男の記憶、その生産は、有限だった。
まあ、作文なんて、原資が記憶だ。有限だ。無限の作文は、無いと思うよ。いわゆるネタ切れだ。
男は、エクスカリボルグの事を話し始めた。
元々、スマートフォンゲームが暇つぶしだったんだけど・・・課金がね。お金がなくてさ。無料で、スマホで、暇つぶし、それが、エクスカリボルグだ。
男は、食事を終え、会社の廊下を徘徊する。スマートフォン片手に。しかし、高層ビル。
ウイダーinゼリーは、3個で540グラムだ。良い量だ。午後は会議だ・・・なんとかうまく話せると良いんだけど。結局、エクスカリボルグは、無敵で無限の聖剣なんて事はなくて、有限で、隙だらけの剣みたいだね。
男は、エクスカリボルグを眺めて、これからを思う。
このエクスカリボルグ・・・とりあえず、何か外部の物が必要だ。いわゆるインプット。スマートフォンゲームを、無課金で遊べば、いいのかなあ・・・課金の誘惑に、負けなければ、いいのかなあ・・・。難しいよね。でも、貯金しないと・・・お金がなくてさ。欲しいんだ。
男は、空を見た。
空か・・・神が居るかもしれないね。星座になった偉人、空に呼ばれた良い人、沢山、居るかもしれないね・・・。
男は、幻想を見た。
何か楽しい事が起きるかもしれないな・・・。
男は、会社の廊下で、飲み会の誘いを受けたが、断った。
し・・・しまった、今更、断ったあとに、良いインプットの機会を、失った気がする・・・。
男は、エクスカリボルグが好きだった。無限の聖剣、無敵の聖剣。
はあ・・・別に、会社の昼休みに、どこかで話せば、良いのになあ。会社で話せない事なんて、話す事無いのに・・・。
男のエクスカリボルグは、やや稀だった。休み時間は、半分以上が過ぎた。
とりあえずは・・・インプットの問題の解決だ。誰かの作成に依存する事になる。多分、お金がかかる。でも、現実的な額だったら、許容するべきかもしれない。もう一度、要確認だ。
男は・・・。
画面は転換。男はメガネを机に置いた。そのメガネのグラス部分にズームイン。ちょうど重なった所で、きらめいて、暗転。
・・・そのあと、どうなったかって?それはね・・・。
男は、エクスカリボルグを指差して、こう告げた。
・・・ここにあるんだ、君は、わかるだろ?
-有限-
・記憶。それに関連の生産。
(誰かの作成、少量の金銭の消費が良い?)
5話_有限 終