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コヨーテのように狡くハイエナの如く貪る男  作者: ジョン・グレイディー
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第一章 「お前は病んでる方が美しい。」

「お願い…、やめて…」


 男は女の細く細くか細い手首と両足首に銀色の重い鋼鉄で出来たワッパを嵌めた。


「良いから、これを飲むんだ。」


 男は女の顎を掴むと、口を指でこじ開けた。


 女は男の指を噛み切ろうと歯軋りをしたが、男はお見通しであるかの如く、パッと指を口から離す。


 そして、男は開いた女の口が閉じないように、


 女の顎骨を掴むと、親指で「バッキ!」と顎の関節を外した。


 女は余りの激痛に瞳に涙を溜めたが、外れた顎骨により口は動かず、言葉は作れない。


 ただ、ただ、女の喉ちんこが何かを訴えるかのよう細かに痙攣していた。


 恐らく、『やめて!』と叫んでいるかのように、ただただ、女の喉ちんこは恐怖にワナワナと震えていた。


 男はニヤリと笑い、細かに痙攣する女の喉ちんこを避けるように、2錠の丸い個体を、スムーズに食道目掛けて落とすと、その2錠は、胃液の中に『ポトリ』とカップインするかのように、狙い通り、溶け沈んで行った。


 真っ白な2錠の個体物


 安定剤と抗うつ剤であった。


 ダイレクトに放り投げ込まれた化学物質は女の胃液で燃焼され、瞬く間に血液に合流し、女の心臓を経由し、大動脈に流れ込み、脳細胞へと運ばれて行った。


 女の断固抗う強い意志は人工化合物の効果により次第と薄れて行き、その兆しとして女の瞳孔は開きっぱなしとなり、何かを言おうとした意志は、言葉ではなく、口から唾液を溢れ出して行った。


 次第に女の意識は飛んで行き、男に抗おうとした意志の最後の証でもある舌の動きは活動を止めてしまった。


 男はその良い塩梅の加減を、味噌汁に塩を入れた後に味見をするかのように、女の流した涎を指で拭いその味を確かめると、


 女の開きっぱなしの瞳孔を両親指にて瞼を閉め、そして、女の顎関節を元に戻した。


 情けなく涎を垂らし大口を開けていた女の口は、歯が音を立て、『カタン』と閉まった。


 そして、男は満足気に、死体のように横たわる女の生きた屍に向かい、


「お前は病んでる方が美しい。」と


 静かに囁き、


 女の化学物質により青白く血の気の引いた頬を指で静かになぞった。


 此処は男が妻である女を監禁・調教している家の地下室。


 女の意識の復活は巧みに男の調薬によりコントロールされ、


 女が意識を取り戻し、瞼が開いた時に見える先には…、


 男の顔しか視界にはない。


 その顔は、青白く、面長で、剃刀で斬られたような鋭い傷跡のような鋭角に伸びた直線の瞼


 その瞼の中に太陽の黒点のような高熱の瞳が小さな点として備え付けられ、


 感情の変動は生命を与えられた時から無かったかのように、その一点の瞳は動かず、死んだ魚のように、ただただ無闇に固まっている。


 悪魔の様相、それしか、女は視認することが出来なかった。


 この哀れな女性は、男が戦う事なく、百獣の王が喰い落とすことをひたすら待ち、一瞬の隙を逃さず盗み取った獲物であり、


 戸籍上、このコヨーテのように狡賢く、ハイエナのように貪欲な悪魔顔の男の妻として記載されてしまっているのだ。


 ハイエナはライオンほど大雑把ではない。


 コヨーテはオオカミほど油断はしない。


 男は、この獲物が二度と真の所有者に返納されぬよう、


 この霊安室のような地下室で、


 ヒグマが冬場、餌を雪中に埋めて保存するかのように監禁しているのだ。


 男は女の手首を掴み、安定的な脈を確認すると、


 また、意識のない女に向かい、死者までを洗脳するかのように同じ言葉を繰り返す。


『お前は病んでる方が美しい。』と…

 

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「コヨーテのように狡くハイエナの如く貪る男」 作者:ジョン・グレイディー
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