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ep.13 満月の夜に a
「私…どうして棄てられたのかな…。」
「心配あらへんて、ナロンの事は残念やったけどなあ。」
シルクとレンの会話だ。今シルク達はあの空き家の庭にある大きな木の上にいる。これはシルクが生まれて2カ月のこと…。
「わーかわいい!白ちゃん・黒ちゃん・三毛ちゃん・茶トラちゃん。どんな子に育つかなあ?」
「楽しみだね。」
楽しいひとときの少女とその母親の会話だ。
でも…
すやすやと眠る母猫シルビアと子猫達…
すっ すっ すっ すっ
子猫達をダンボール箱に入れていく父親。そして車に乗り込み、
バタン!ブーン…。
その音にシルビアは目を覚ました。
'ご主人様?…あ、赤ちゃんがいない!,
シルビアは玄関にある猫用扉から出て車を追いかけていった。
'赤ちゃん!赤ちゃん!赤ちゃん!,
必死に追いかけていくシルビア。
'赤ちゃん!,
'…ママ?,
白い子猫が薄目を開けたがすぐに眠ってしまった。
'赤ちゃん!!…ああっ!,
キキー! ドン!
その頃、少女の母親が車で仕事から家に帰っている途中だった。
「ん?」
見慣れた猫が道路に倒れていた。