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その6 JKと巨大なワニとクラーケンと

「おーい! ワニ公!」


 マンドラゴラがそう叫ぶと、何が起こるでもなくスンとした空気が流れる。

 まあ、呼んですぐってわけにはいかないよなあ。と山川空は思う。

 インターホンが鳴って、すぐに玄関に飛び出せるのかというとそうではないからだ。そんな時に限って、シャワーを浴びてたりするのが世の中というものである。


「とはいえ、長すぎませんか! もう30分ぐらい待ってますよ」

「待て待て待て。この湖は超絶でっけえんだよ。そう簡単にこれねえっての」


 そんなに超絶巨大なら、さっきの声じゃ届かないのでは? と思ったが、信じる者は救われるという言葉を思い出し山川空は待つことにした。

 さらに20分ぐらい過ぎたところで、さすがにこれは、もう一回叫んだ方がいいのでは? と提案しようとすると……


 ザババババババババ………


 と湖が割れて、現れたのはとんでもなく大きなワニだった。ちょっとした学校のグラウンドなら埋まってしまいそうなぐらいのサイズ感。あっぱれ。


「おおおおお、す、すごい……」

「久しぶりだな、ワニ公。実はよ、この姉ちゃんが湖の向こうに渡りたいんだ。いつものようにピューっと運んでくれねえか」

「うーん、それは難しいワニィ」


 ワニが喋った、ということよりも、ワニの語尾ってワニなんだ! ということに感動する山川空。

 

「実は、今湖の南の方に巨大なクラーケンが住み着いたんだワニ」

「クラーケン? あんなもん、海じゃないと生きれないだろ」

「淡水クラーケンなんだワニ」

「ああ、淡水クラーケンか」


 クラーケンが何かもわからない上に、淡水クラーケンとなるといよいよわからない。


「でもよ、この湖は他と繋がってねえだろ?」

「歩いてきたワニよ」


 クラーケンは歩ける。山川空の中で、クラーケンがいよいよ意味不明になってきた。そもそも、クラーケンとはなんだろう。


「あのー、クラーケンって……」

「だけどよお! この湖はみんなのものだ! それを我が物顔ってのは捨て置けねえなあ!」

「でも淡水クラーケンは狂暴だワニぃ」

「でっけえ図体して情けねえなあ」

「あいつはもっと大きいワニよ」


 うそでしょ……

 山川空に一筋の汗が光る。

 この巨大なワニよりも巨大な何かが、湖の南側で暴れている。ここはスッパリ諦めて、北か西に向かった方がいい。そうマンドラゴラに言おうとするが、、、


「よっしゃ! ぶっ倒してやるぜ!」

「それはありがたいワニ! マンドラゴラが力を貸してくれたら、心強いワニぃ」

「え、バトル展開!?」


 まさかのバトル展開に、山川空は汗が噴き出てくるのを感じる。

 さすがに、こればっかりは動じないもへったくれもない。山川空はそもそもが普通の女子高生であり、スポーツ経験もほぼないに等しい。運動神経が悪いとは思わないが、特別いいとも思わない。

 異世界に来て、一番恐れたことは敵との遭遇である。ただ、思ったよりも安心安全な日々だったのですっかり油断していたが、ここは異世界なのだ。

 いつどこで、バトルが始まるとも知れない世界なのだ。


「いやああああ。ちょっと怖いなあ……それは……嫌だなあああああ」

「何言ってんだよ。ここで待ってたらいいだろ」

「え? 私も行くんじゃなくて?」

「戦えるのか?」

「いや、戦えないけど……」

「おう、待ってろ。行くぞ! ワニ公!」

「ワニぃ!」


 マンドラゴラがワニに乗ってザバザバと湖を進んでいく。

 かなりのスピードで、あんなに大きかったワニが、もう豆粒のようなサイズ感に見える。


「……待ってるだけで、いいんだ。ホッ……」

バトルまでいかなかった

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