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その26 JKは願い事を叶える

 大きめの無人島。

 山川空と海割おじさん。

 不思議なタッグは茫然と海を眺めていた。


「あのー、もう一回割ってみたらいいんじゃないかなって思うんですけど。海」

「一度失敗してるんだ。おいそれと簡単には行動できないよ」


 海割おじさんによると、海割おじさんは奇跡の力で3つだけ願いを叶えることができるようになったという。


「まさに奇跡だよ。この無人島に流れ着いてどのぐらい時が経ったろうね。もう諦めかけたその瞬間、奇跡の力を手にしたんだ。それで、恐らく私の故郷がある方向へ海を割ってみたんだが……失敗したよ」


 奇跡の力とは? 一体なぜそんな力を手に入れることがきたのか?

 もはやそんな疑問などどうでもよかった。

 なぜなら気になることは一つだけだったからだ。


「願いが叶う力なんですよね?」

「ああ。何度も言ってるじゃないか!」

「故郷の村まで飛ぶとか帰るってシンプルに願えばよかったんじゃないですか? そういうのは無理系のやつ?」

「……なんてことだ!」


 なぜ無意味に海を割って歩こうと思ったのか。

 なぜ直接一瞬で戻ることを祈らなかったのか。山川空には到底理解できなかったが、今更言っても仕方ない。


「ありがとう。君のおかげでさっと戻れそうだ」

「あのー、私も一緒に連れてってもらっていいですか?」

「君も? なぜ?」

「いや、こんなところに置いてかれるの超絶辛いですし!」

「いやいや、君のおかげで私はポンっと故郷に帰れるんだよ。願いは、あと一つ残っている。君が戻りたいところに、私が飛ばしてあげよう」

「あ、そうか! そうできるのか!」

「まあ、そうできるのかどうかは断言できないけども。君の願いを叶えたいって私が願うってのが許されるのかどうかはねえ。ルールがそこまではっきりしてないっていうか。私もこの力に目覚めて日が浅いというか」

「む、むうう」


 確かに、自分の願いを叶えるという超常パワーなのであって、他人の願いを叶えれるのかは謎だ。他人の願いを叶えたいと願う、という遠回りをしないといけない案件である。


「ただ、とりあえず一回試すってのはあるね」

「その一回でミスったら?」

「その時は悲しいけど、私は故郷に戻らせてもらうよ。最後の一回を使って」

「それって私も一緒にいけます?」

「まあ、多分……他の人と一緒にぐらいはいける、かなあ」


 ここにきて怪しい流れだ。いやそもそも、願い叶いオジサンの時点で怪しいんだが。失敗すると、最悪自分だけこの無人島に取り残されてしまうのか。それだけは絶対に嫌である。

 山川空は考えた。


「あのー、とりあえず、私と一緒に故郷に飛んでもらっていいですかねえ」

「なぜだい? 君は君の飛びたいところにいったほうがいいんじゃないかい?」

「それはそうなんですけど、順番的に、まずおじさんの故郷に飛んで、それから残った願いで私を飛ばして欲しいっていうか。まず一番やばいのは、私と一緒に故郷にすら飛べないっていう、願いはおじさん個人にしか作用しないっていうやつが一番やばくてですね。それがそもそも無理なら、もう詰んでるっていうか。まずそれを試してみて……」

「そうかな。それって、その願いが結局叶わなかったら、どっちにしろ最後の願いで私は故郷に飛んでいくわけだから結局一緒のやつじゃないかい? 結局」

「いや、そうなんですけど。でも、例えばまず私をどこかに飛ばそうとして、結局他人の願いは叶えれませんってなったとして、最後の願いで私と一緒に故郷に飛ぼうとしてそれも無理だったら、マジで二人ともシンプルに無人島にこのままロングステイってだけになっちゃうっていうか」

「! なるほど。私のための予防策でもあるのか。君、こんな状況なのに私の事考えてくれるの、めちゃくちゃいい子だな!」


 むむむ、と考えた結果、キセキ叶えオジサンは山川空と故郷に飛ぶことにした。


「いいかい、願ってみるよ。成功したら、私の故郷だ」

「はい! まず、ここを突破したい!」

「ただ先に言っとくけど、一緒に故郷に行くということは、結婚しないといけないってことだよ。じゃあ、行くよ!」

「え、ちょっと待って!?」


 そんな風習のある故郷だとは聞いていなかった。


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