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その25 JKは感謝する

 感謝の正拳突きを始めて、どのぐらい時が経っただろうか。

 おそらく、2日ほど経っただろう。

 ふと気づく。なんて無駄なことをしてしまったんだろうと。

 

「お腹、もっと減ったな……」


 そして振り向くと……なんと水が、海が、割れていた。まるでモーセの十戒のように。ぱっくり。


「ややや! ま、まさか! 正拳突きで?!」


 もはや理屈なんてどうでもよかった。感謝の正拳突きの力で海が割れたのか、どうなのか。

 ただ、山川空は、割れた海を歩き出した。

 そして、二時間が経過した。


「これ、今はぱっくり割れてるからいいけど……元に戻ったらやっばいなあ」


 まさかここまで長い間割れた海を歩くとは思っていなかったので不安になってくる山川空はできるだけ早歩きで進もうとするが、ふと足を止める。

 向こうの方から人が歩いてくるのが見えたからだ。


「え、マジで?」


 そして、歩いてくる人は……全然知らない人だった。


「奇遇ですね、こんなところで」

「え、あ、はい。超奇遇ですね」


 なんと、海が割れたのはその人の力だと言う。そして、山川空は伝える。ここから先は、小さな小島しかないことを。


「なんてことだ! じゃあ、私は間違えたんだ! 割る方角を!」

「わああ」


 頭を抱える大人を、慰めるすべをまだ山川空は知らない。

 とりあえず、そっとする、が一番だろうと思い頭を抱える大人をそっと見つめることにした。


「君ぃ! 何を蔑んだ目で見てるのかね!」

「言葉って大事だなあ! 伝わらないね!」


 色々考えた結果そっと見つめたのに、怒られる悲しさを山川空は知った。とりあえず思いを言葉にすることが大切なのだ。


「じゃあ、言いますけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫なわけあるか! 間違えたんだぞ! 割る方向を!」

「どっちみち怒られるんだ!」


 極限までパニックになってる人に理屈も気持ちも通用したりはしないのだ。山川空は人としてぐんぐん成長していく。

 

「とにかく戻ろう。このままだと割れた海が戻ってしまう」

「それを一番恐れてた!」


 山川空は、海割おじさんと一緒に、おじさんが元居た場所、すなわち、山川空が居た小島よりも大きい無人島に到着した。

 

早く無人島やめたい

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