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その22 JKは巨大化したマンドラゴラと出会う

 どのぐらい宇宙大パニックをおこしただろうか。

 そういえば、監獄にいたヨシュアは一体どうなってるのだろう。宇宙空間で山川空はヨシュアのことを思い出していた。一緒に脱獄をしようと仲間になったヨシュア。なのに今自分はガリパツと一緒に宇宙に来ている。これは一体何事か。それは誰にもわからなかった。

 もしかすると、もうヨシュアとは会えないのでは……?

 山川空は宇宙空間を漂いながらボンヤリとそう思った。

 もはやパニックは無く、宇宙空間には酸素がないから音が届かないって昔どこかで聞いた気がする。なんて悲しい空間なんだ。

 ……そこまで考えてふと気づく。


「あれ、なんで息できてるんだろ」

「風の加護だよ」

「ガリパツ!!」

「静かにパニックになってたのは、宇宙空間には酸素がないから音が響かないので何も聞こえないと思ってたのかい?」

「ばっちり言い当てられた!」

「安心したまえ。風の加護で、我々の回りには空気の層ができている」

「じゃあ話しかけてくれたらよかったのに」

「あまりにもパニックになってる風の顔をしていたからね。そっとされるほうがいいと思ってね」

「うーん。まあ、それはそうかもしれないけど」


 ガリパツによると、時の狭間にできたヒビと繋がっていたのが宇宙空間だったらしい。

 もしも繋がった先がとんでもないところだったら……と想像したが宇宙空間も相当だったと気づいて山川空は笑った。


「じゃあガリパツ、戻れるの? っていうか、このまま地球に戻ったりできたり!?」

「いや、戻れない。この宇宙は我々が知ってる宇宙じゃないんだ。地球があるとか火星があるとかって話じゃない」

「ぬうう……」

「そんなことよりも、我々が転移してきたあの世界に戻れるかどうかだが……それも無理だ」

「え!?」


 ガリパツは険しい顔をして言う。


「もうすぐ風の加護が切れてしまう。そうなると、終わりだ……」

「……マージで?」


 山川空は、自分でも驚くほどに冷静だった。あまりにも死が目の前になるとパニックにもならないのか。

 

「あとどれぐらいで切れる?」

「わからない。だが、長くはもたないとしか言えない。すまない」

「なんでガリパツが謝るのさ!」

「君を助けにきたのに……結局救うことができなかった……」


 そういえばガリパツはなぜ助けにきてくれたのだろう。わからないことがいっぱいだ。このまま死ぬのだとしても、せめて最後の最後まで楽しく生きたい。ガリパツのことを聞きながら終わっていくのもいいかもしれない。いや、よくないか。

 山川空はまとまらない考えを無理やりまとめて、ガリパツに話しかけようとしたその瞬間、巨大なマンドラゴラがニョキニョキと現れた。


「ええ!?」

「な、なんだ!?」

「ま、マンドラゴラ!?」


 そして、マンドラゴラの根っこが触手のように山川空とガリパツにまとわりつき……次の瞬間に山川空たちはどこかに飛ばされた。


「わあああ! ま、またどこかに飛ばされるの!?」

「ぬうう! ポチョムキンに捕まるんだ!」

「ひいいいい! マンドラゴラ、なーんでー!!!!」


 気が付くと山川空は小さな島の真ん中で目が覚めた。

 まさかの、無人島に一人パターンである。山川空は、今度は無人島かよ……とため息を吐いた。

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