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その18 JKは馴染む

「ぬううう!」

「わわわ!」


 爆発音と共に爆風が襲ってくる。

 ガリパツのポチョムキン号は風の加護を受けているので爆発音も爆風も相当弱まっているはずだが、それでもガリパツの運転がヨタつくぐらいには衝撃を感じた。

 

「ふいー、こけるかと思った。なになに? 何が起こったの?」

「時の狭間が崩壊しているようだ」

「うげげ。絶対によくない状態じゃん」

「絶対にようない状態ではあるが、崩壊するならばそれに乗じて脱出もできようぞ」

「たまに喋り方おかしいよね」


 ガリパツの口調が安定しない件はさておき、ガリパツの運転は相当に安定している。クタァとした時計がボカンボカンと爆発する度にものすごい衝撃が襲ってくるが、ガリパツがヒュウと口笛を吹くとその衝撃を感じなくなる。


「それも風の加護ってやつ?」

「ああ。強めたんだ。これでひとまずは安心だが、やっこさんが時計の爆発程度で終わってくれるのかどうか」


 やっこさんって、崩壊のことを指してるのかなあ。と山川空はリアクションが取りずらかったが、取りずらかったので無理せず無視した。


「この空間が崩れ落ちているわけだから、きっと時空間を行き来できるヒビみたいなのが出来ていると思うのだよ。勘だがね」

「その勘がめっちゃくちゃに当たっててほしいなあ」


 ガリパツはさらに速度を上げて崩壊する時の狭間内を爆走する。ギョババババとドリフトもする。スクーターでドリフトなんてできるんだな、なんて山川空は思わず、ただただガリパツにしがみつく。


「ひいい、なんか爆発が多くなってない?」

「崩壊のスピードが早まっているね。ピンチはチャンスだ」

「なんかずっとポジティブすぎて怖い! ここに入ってくるときはどうやったの?」

「ああ、それは簡単さ。とにかくあちこちを走りまくって時空間を繋げるトンネルを探したのさ。運よくこっちにこれてよかったよ」

「え、じゃあ偶然来れたってこと?」

「結果的に必然来れたのさ」


 こいつ、会話通じねえなあとため息をつきかける山川空だが、ふと何か声が聞こえた気がした。


「何か言った?」

「いや、何も」

「……テ」

「ん??」

「……マテ……」


 その瞬間、ガリパツの形相が鬼のように変わる。

 こわっ! と思ったがその後の運転は10倍怖かった。


「いかん! 時の亡霊だ! 飛ばすぞ! 風の加護じゃ防ぎきれん! よく捕まっておきたまえよ!」

「わわわ! 安全運転! がいいけど、やってる場合じゃないんだね!?」

「マテ……マテ……」


 その声の方角を見ると、目と口の部分が真っ黒で、それ以外が真っ白なボロ衣みたいなやつらがウヨウヨと追いかけてきている。


「ひええ、時の亡霊?」

「ああ、時の狭間で時間の概念を失い永遠に飛びさ迷う存在。あれに捕まると、われわれもああなってしまうぞ」

「うえええ、逃げて逃げて逃げて。私も、あのまま動けなかったらああなってたのかなあ」

「それはわからないが、少なくともやつらに捕まったらああなる。さあ行け! ポチョムキン号!」


 うなりをあげて爆走するポチョムキン号。

 時計の残骸を飛び越え、時計に突っ込みながら走り続ける。


「げええ、なんか増えてるよ。亡霊さんたち」

「うーむ。これはいかんな。早く脱出しなければ」


 そんな山川空の圧倒的なピンチに、考えるのをやめたマンドラゴラは……


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